表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/98

十七話・シンデレラ4

「可能なら狙って行くつもりです」


「おぉ、強気だね。でも、シンデレラは今まで攻略した者は()()()そうだよ。頑張る事だね」


 話してる内に注文した物が出来上がったようだ。ゴワゴワしており、まるで赤ずきんの話世界ストーリーワールドの猟師さんを思い出す。


「これがオオカミの毛皮で作成したウルフジャケットだよ。初心者としての装備では防御は高い方だね」


「ありがとうございます」


 早速、ウルフジャケットを装備してみる。やっぱり、猟師さんを思い出させる。元気になってると良いんだけど・・・・・・


「そうだ、これも何かの縁だ。フレンド登録しないかい?」


「えぇ、いいですよ。えーと・・・名前は」


「まだ、自己紹介してなかったね。私はシャーリー、見ての通り裁縫屋を営んでいる」


「シャーリー、これからもよろしく」


 王子たかしとシャーリーが握手を交わしたところで、待ちきれなくなったシャルルが店の中を覗いて来た。


「王子様ー、まーだ?」


 握手を交わしてる二人の顔と手元を向後に見るとシャルルは爆弾発言を落とした。


「・・・王子様、また女を口説いてるの?」


「シャルル、これは違うよ。ただ、フレンド登録してただけだよ」


「ふーん、王子様の事()()()()()()()


 何処からか取り出したリンゴを素手で握り潰し店の外に出て行った。


「・・・」


「あれが噂の赤ずきんちゃんかい。大変だね。あははははっ」


 シャーリーは王子たかしの肩を叩き苦笑する。

 ため息をつきながら、シャーリーの店を後にすると直ぐ近くの鍛冶屋に入り、イベントリからオオカミの爪や牙を取り出し"ウルフソード"の注文した。

 鍛冶屋のプレイヤーは王子たかしの事を知らない様で無言でカーンカーンとハンマーで鍛冶作業を黙々としている。


「はいよ、ウルフソードの出来上がりです」


「ありがとうございます。これ、お代です」


「確かに、またお越しを」


 王子たかしは刀からウルフソードに装備を変え、みんなと合流した。


「お待たせ・・・どうした?」


「・・・兄さん、今度は何処の女を落としやがったんですか?」


 フローラが軽蔑するような冷めた目でこちらを見てる。

 やめて!そんな目で見ないで!と恐怖を感じながらも辺りを見渡すとシャルルと目が合った。合った瞬間に目を反らし口笛を吹いている。シャーリーのやり取り(ほぼ捏造された)を言いふらした犯人は見つけたが━━━━


「・・・兄さん何処に行く気ですか?まだ、私の質問に答えて貰ってませんが」


 ヤバい、どうしよう。怖すぎる。何かもうすぐであの恐怖が再臨━━━般若が出そうな気がする。

 ガタガタと震え、助けを呼ぼうと周りを見るが、みんな例外無くソッポを向いている。この原因を作ったシャルルでさえも知らん振りである。どうにか説得するしか道はないのか。


「えーとね、これからも装備に関してお世話になるかもしれないからさ。フレンド登録しただけだよ」


「そう言う事なら納得です」


 フローラの怒りが収まっていくのを見るや否や王子たかしは緊張の糸が切れたかの様にヘナヘナと地面に座った。


「助かったようだな」


 座り込んでいる王子たかしの下へメリッサがバツが悪そうにやってきた。


「裏切り者、知らん振りしやがって薄情者」


「わ、悪かったって。でも、反対の立場だったら・・・出来たか?」


「・・・それは・・・出来ないです。はい」


「よろしい、この話はお仕舞いだ」


 地面に座り込んでる王子たかしにメリッサは手を差し伸ばし立たせた。


「これから、どう行動するかだが誰か意見はあるか?」


「俺はシンデレラ━━━いや、エラの家が何処か知りたい。今後のクエストを円滑に進められる様に」


 王子たかしがそう言うと、さっきの事は曖昧になったと思ったのかシャルルが王子たかしに近づいたが━━━


「シャルルは後でお仕置きだ」


 シャルルの服の襟を持ち宙ぶらりんな状態になったというのに「きゃぁっ♪」と嬉しそうな声を出す。

 反省してないようでボソッと落とす。


「痛っ、王子様乱暴なのよ」


「兄さん、そんな女なんか捨てて早く行くのです」


「何ですって!妹だかなんだか知らないけど、私と王子様の恋路の邪魔しないで下さる」


「それはこっちのセリフよ。兄さんの事を王子様って言ってなに夢みてんのよ」


 よく世界の中心都市(セントラル)では喧嘩しなかったもんだと全員思った。

 子供染みた喧嘩をしてる隙にフローラとシャルル以外の四人はシンデレラことエラの家を探すために歩を進めた。


「あの二人止めなくても大丈夫なんですか?」


「「あぁ、大丈夫大丈夫」」


 何故かアテナと王子たかしがシンクロする。


「まぁ、その内来るだろう。それよりも、シンデレラの家は確証はないが噂があってな。だいたいのそれらしい場所はあるにはある。

 しかし、それを確かめたプレイヤーは誰にもいない。どうやら、シンデレラのクエストを受注していないと分からないらしいんだと」


「そうすると、この世界で俺しか確認出来ない訳か」


「その通りだ。ほれ、噂だとあの辺のはずだ」


 メリッサが指を指した。その先には家が三軒並んでおり、どれも庭付きの豪邸だった。設定でエラの継母が実はとある貴族の娘で金は持ってるらしい。あくまで設定だが━━━━


「じゃあ、行ってくる」


 シンデレラの家がどれか探るため、一旦別行動を取るのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ