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十三話赤ずきん12

これで赤ずきん編完結です。

次回はシンデレラ編

「そう、私と戦うのね。なんて酷いお人、かつて愛した女を自分の手で殺すのね」


 グサッと心臓に槍を突き刺された風に精神的ショックを受けた。もし、精神ダメージが設定してあったなら大ダメージを受けてるはずだろう。


 だって、しょうがないじゃないか。人間だ━━━間違えた、クエストだもの。


「シャルルはやっぱり優しいね。隙を見せたのに撃たないなんて。俺の頭をぶち抜けたのに」


 どうにか精神ダメージから回復し、立ち上がった王子たかしは言う。


「ううううう煩いわね。本気な王子様と戦った方が面白いに決まってるじゃない」


 そんなに動揺して顔を赤く染めて言われても説得力ないと思うのだが、それよりも敵になっても可愛く見えてしまう。なんて戦いにくいんだ。


「もう、いい加減戦うわよ」


 シャルルはそう宣言すると、パーンパーンと撃ってきた。


「うぉ、危ないじゃないか」


「う、煩いわね。つうかそう言うなら当たりなさいよ」


「だって、当たったら痛いじゃないか」


 ヒュンヒュンと弾を避け、刀で弾く。余裕がある時は某アニメの様に銃弾切りをやってのける。完全に遊んでるようだ。


「きぃー、そんな余裕も今の内よ」


 シャルルは二丁拳銃を懐に仕舞うと、それをチャンスだと王子たかしは走り出し近寄ろうとするが━━━それは間違いだと気付く。


 なんと何処からかシャルルはガトリングガンを取り出したのだ。


「げっ!まじかよ」


 後ろに跳躍し木々の影に隠れた。さすがの王子たかしでもガトリングガンの弾は捌き切れない。蜂の巣になってしまう。


「うっはははは、オラオラ死ね死ね死ね」


 ウィィィィンと回り出し、バババババと次から次へと森の木々を粉砕していく。

 オーバーヒートしたのかガトリングガンから弾は出なくなり、シャルルはガトリングガンを投げ棄てた。


「あっ、止まってしまいました」


 そのチャンスを見逃さないように駆け出し、シャルルの懐に潜り込もうとしたが━━━


「ふふふふ、残念でした」


 そう言うと手榴弾を手に取り、口でピンを外しこちらに投げてきた。


「うおっ、危ねぇ」


 刀で手榴弾をガキンと横側に弾き、数秒後爆発した。少し爆風を受けたが軽い火傷ですんだ。


「くっ!さすがに、火傷は負ってしまったか。これくらいなら、まだ行ける」


「ちっ、王子様の血飛沫が見られたと思ったのに、何で避けちゃうのよ」


 そりゃー、ゲームでも死にたくないし、痛いの嫌だからな。


「キャハハハ、次はこれよ。カモーン」


 ロケットランチャーが召喚され右肩に担ぎ銃口を王子たかしに向ける。


「えっ!ちょっ、それはさすがに・・・・この森を破壊する気か!」


「ふふふははははっ、それはモーマンタイ・・・王子様のみを追い掛けるから大丈夫よ」


 ロケットの先端を見ると透明になっており、その中のカメラでロックオンした相手を決して逃がさない。


「くっ!あれを喰らったら一発KOだ」


 踵を返し木々の影に隠れロケットのカメラに姿が写らないようにするが━━━━


「プックククク、無駄無駄無無駄逃げても無駄だよ。人間の体温も感知して、どこまでも追っていくんだから。地球の彼方までぶっ飛んで逝けー」


 シャルルがロケットランチャーの引き金を引くと少し反動があったのか後ろに転びそうになったがピュシューと発射には成功したようだ。

 王子たかしの体温を頼りにロケットは追い掛けて行き、数秒後、木々の中から王子たかしは姿を現しロケットと追いかけっこをしている。


「ハァハァ、うおぉぉーー、負けてたまるか」


 某アニメの様に足をバタバタとばたつかせながら走ってる。端から見たら、どんな原理で走ってるのか疑問に思う程に変な走り方である。


「えっ!ちょっ、こっちに来ないでよ。きゃぁぁぁぁ」


 ロケットに追い掛けられてる王子たかしがシャルルに向かって来るのでシャルルも追いかけっこに巻き込まれた。


「あっちに行ってよ」


「無理を言うな!なら、シャルルがあれをどうにかしろよ」


「私に死ねって言うの。本当に酷い人ね」


「なら一緒に死ぬか?わっはははは」


「だっ、誰があんたなんかと!」


 王子たかしの言葉に僅か頬を染めてシャルルは文句を言うが今のシャルルは照れ隠し━━━ツンデレだと確信する王子たかしである。


 王子たかしとシャルルの二人はおばあちゃんの家に何故か入ってしまい、開けたままのドアからロケットが数秒後に入り爆発したのであった。


「「ゴホッゴホッ」」


 モクモクと黒煙が舞う中、二人で家から出てきた。

 王子たかしは爆発で所々装備の防具はひび割れ服は焼けてボロボロである。頭が某アニメの様にアフロ状になっていた。

 それに加え、シャルルは王子たかしと同じく、服が爆発で焼け大事な局部のみを残してる状態になっている。逆にこっちの方がエロいかもしれない。


「よ、よくもやってくれたわね」


 拳銃の銃口を王子たかしの頭に向ける。


「しょうがないだろ。条件反射みたいなもんだからさ」


「し、しょうがないじゃないわよ!私の服がボロボロじゃない。どうしてくれるのよ」


「はぁ、それでその拳銃でどうするつもりだ?」


「撃つに決まってるじゃない」


「止めておいた方がいい」


「はぁ!何言ってるのよ。この状況で!確実に当たる距離じゃない」


「だから、無駄って言ってるだろう」


 閉じてる右手を上に掲げ開くと銃弾がポトッポトッと落ちたのを見たシャルルが驚愕の表情を浮かべ、カチャカチャと何度も拳銃の引き金を引くが弾は一発も出なかった。


「い、何時抜き取ったのよ」


「うん?それは爆煙の中で、こう颯爽に抜き取ったのだが・・・・気づかなかったかい?」


「どんな早業よ」


「まだやるかい?」


「くっ、私の負けよ。降参だわ。それでこれからどうするのよ」


「・・・・そうだな」


 シャルルは負けを宣言したがクエストクリアのアナウンスが流れない。まだ、クエストは続いてるのだろう。王子たかしは考えとある案を思い付いた。


「・・・・」


「何よ。黙って何か喋りなさい」


「・・・・少し痛いかもしれんが我慢してくれ」


「えっ!ちょっ、何を━━━」


「ゼロ距離素手技・ブライ」


 ゼロ距離で相手の腹にパンチを当てる。いわゆる、ただの腹パンである。それでも、効果はあったようで━━━


「グフッ!い、一体何を・・・」


 バタンと地面倒れ、王子たかしは気絶したシャルルを家の壁に寄りかかせるが直ぐ異変が生じた。直ぐに後退り刀を構え様子を見る。

 シャルルから黒い靄みたいなのが出てきたと思ったら、黒い靄は人間の形状になり、明治時代に着ていそうな紳士服を着た六十代程の御老人になっていた。ただし、色は全体的に黒一色だが。



 ・クエストクリア


 ・クリア報酬:赤ずきんシャルル


 シャルルから出た黒い靄が見た目は人間に成った時にクエストクリアのアナウンスが聞こえたとなると、目の前のヤツはクエストとは関係ないのか?話が通じるか問いかけてみた。


「お前はだれだ?言葉は分かるか?」


『ほほほほっ、勿論分かりますよ』


 話は通じる様で少し安堵する。だが、まだ敵か味方かは分からない。


「お前は一体何者だ?」


「私か?ふーむ・・・・名前を聞いてるなら答えられない。何故なら、私個人には名前がないからだ。

 正体を聞いてるなら心の闇に潜む者(ダークネス)と周囲から呼ばれてるよ。私━━━いや、私達は人々の心の闇が大きくなると生まれ又は寄生するのだよ」


「モンスターなのか?」


「ふーむ・・・・モンスターか。私自身、実は良く分かってないのだよ。この少女を無意識とはいえ操ってしまった事は謝る。この通りだ」


 心の闇に潜む者(ダークネス)は帽子のハットを自分の胸当たりで持ち謝罪した。


「ハァハァ、無意識だと言うのか!モンスターなら討伐しなきゃならない」


 刀を構えるが立ってるのがやっとの様子である。


「無理はするではない。私には戦闘の意志はない。それに、もし戦っても今のお主では私には勝てんよ。それでは去るとしようか。それではご機嫌よう」


「ま、待て!」


 王子たかしは踏み込み刀を振るうが心の闇に潜む者(ダークネス)が黒煙状に変化し上空へ逃げ去ってしまった。


『ふっはははは、またいずれお会いしよう』


 完全に見えなくなったのを確認後、気絶中のシャルルの元へ駆け寄った。


「シャルル!大丈夫か?」


「うーん、王子様?」


「あぁ、そうだよ」


 パチクリと気が付いたシャルルを心配そうにのぞき込むと王子たかしの事を完全に認識したシャルルは王子たかしの首筋に両腕を回し抱き付いてきた。


「王子様王子様、私怖かったよ。ずっと真っ暗い所にいて、どこまで歩いても私一人しかいないの。王子様がいて良かったよ」


「俺はここにいるよ。どこにも行かないよ」


 シャルルの震えが止まるまで優しく抱き付いていた。落ち着いたシャルルは自分の服が破けている事に気付き大慌てで王子たかしをぶっ飛ばして、おばあちゃんの家に入ってしまった。


 おばあちゃんの家のドアが開くと新しい服に着替えたシャルルが出てくると、再度お互いの存在を確認する様に軽く愛しあった。

 その後、オオカミの腹を切り裂き、おばあちゃんを助けると森に置き去りにしてある猟師さんを回収するため、二人で家に帰る事にした。


「シャルル、お帰り・・・猟師さんどうしたんですか!」


「森でオオカミにやられたみたいで、応急措置は施したんですが、早くベッドに寝かせた方が良いでしょう」


「えぇ、こちらにどうぞ」


 猟師さんをベッドに運ぶと、みんなはリビングに移動し、森であった出来事を説明した。ただし、シャルルと戦ったことはふせた。余計な心配をさせないために・・・・


「大変でしたわね。良く帰ってくれて、嬉しいです」


 シャルルのお母さんはシャルルと王子たかしを抱き締めた。


「本当に無事に帰ってくれてありがとう」


「お母さん・・・・心配かけてごめんね」


「王子様、どうか娘をよろしくお願いします」


「えっ、お母さん!」


「あなたは王子様と行きなさい。そして、幸せになりなさい」


「お、お母さん」


「娘をお願いします」


「は、はい、シャルルを幸せにします」


 この後、王子たかしとシャルル二人は赤ずきんの話世界ストーリーワールドから世界の中心都市(セントラル)に移動した。


 ━━━世界の中心都市(セントラル)━━━━


「あぁぁぁぁぁ、やっと見つけた」


「えっ、なんでお前らいるんだ!」


 王子たかしにとっては予想意外な人物と会ったのである。



 

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