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十一話赤ずきん10

後二話程で赤ずきん編終了です。

お楽しみを

 夕食を楽しんだ後、渚と雫を送る事になった。杏璃はおじさんの帰りが遅いので、今夜は家で泊まる事になっている。


「兄さん、くれぐれも送り狼にならないで下さいね」


「誰がなるか!いいから、早くお風呂入って寝ろ」


 杏も付いて行きたいと言ったが、父さん母さんが中学生が夜に出歩く事を許さなかった。


「ドキドキ・・・・王子様と夜の道を歩いてる」


 擬音を言う人って漫画だけの話だと思ってた。実際にいるとは━━━


「ぷっくくくっ、雫声に出てるよ」


「えっ、ヤダ~、王子様に聞かれた」


 頬を赤く染めた雫は王子たかしの方をチラッと何回か見てる。何故今日初対面の筈なのに、こんなに好意をもたれるのだろうか?


「今さらだけど、俺と雫って今日初対面だよね?」


「本当に今さらだな」


「・・・・私が一方的に知ってるだけです。柄が悪そうな男二人が女一人にしつこくしてたところに王子様が助けるところを偶然見てただけです」


 あぁ、確か二ヶ月前にあった出来事だ。それを見てたのか。


「私は怖くて見てただけなのに、颯爽と助けた王子様が素敵で格好良くて、それで渚に相談したら偶然知っていて今に至るという訳です。わ、私が来て迷惑でしたか?もし、迷惑ではなかったら友達からでお願いします」


 ここまで言われて拒否るなんてしたら男━━━━いや、人間じゃないと思う。


「まぁ、友達からなら・・・・折角なんて、メルアドやLINEを交換しますか?」


 王子たかしはスマホを取り出すと、そう提案した。


「は、はい!お願いしまふ」


 あっ、噛んだ。可愛い。


「ぷっくくくくっ」


 おい、そこ笑わない!友達が勇気出してるのに━━━


「あ、ありがとう。今日、素敵な誕生日プレゼントになりました」


「「えっ!」」


「おい、なんでお前まで驚いてるんだよ。お前の友達なんだろ?」


「いや~、初めて聞いたから」


「そういや、昔からそういうの気にしないタイプだったな」


「・・・・お前のだけは知っているよ。ボソッ」


 王子たかしに聞こえ無いように小声で言う渚。


「ん、何か言ったか?」


「何でもねぇよ」


 渚はそう言うと暗くて分からないが、頬を赤く染めソッポを向く。


「じゃーな、家着いたから」


「後でLINEでも送りますね」


「あぁ、分かった。待ってる」


「・・・・王子様に待ってるって言われちゃった♪」


 雫は自分の妄想に入ってしまった。

 しょうがないと渚が雫の腕を引っ張り、家に引きずり込む。


「あっ、ちょっと渚引っ張らないで~。王子様、今日は楽しかったです。ありがとうございました」


 バタンと渚の家のドアが閉じるのを確認した後、トボトボと自分の家に帰った。この後直ぐに会うとは知らずに━━━


「はぁ、ただいま~」


「お帰りなさい。ちゃんと送っていったわよね」


「あぁ、家まで送って行ったけど・・・・」


「送り狼にはなってないわよね」


「母さん、俺のことをなんだと思ってんだ」


「だって~、渚ちゃんは見ない内にあんなにキレイになっちゃって、それにあの雫ちゃんも可愛いじゃない。襲わないなんて男としてどうなのよ」


 おい、俺にどうしろと言うんだ?


「さぁ、早くお風呂入って休みなさい。明日も学校なんだから」


 さっきの話はどこにいった!

 ため息を吐きながらも、お風呂に入り自分の部屋に向かった。


「うん?おい、なんでここに居るんだ?それに上着を着てくれ。目のやり場が困る」


 布団が妙に膨らんでいた。捲ったらパジャマというよりはネグリジェを着ている杏璃と杏がいた。


「えっ、だって~、タカちゃんの良い匂いがするんだもん。クンカクンカ━━━」


「匂いを嗅ぐな。それに杏はそこで何してる!」


「兄さんのYシャツを拝借しようかと・・・大丈夫ですよ。下着は見ませんから」


 大丈夫ってなにが!普通はどちらかと言うと男が女物の衣類を盗むような光景だよね!


「はっ、まさか足らないと思ってたら、杏・・お前が取ってたのか?」


 ギクッギギギギと王子たかしの方へ振り向くとてへぺろっと舌を某人形みたいに出した。


「・・・・返せな」


 ニッコリと微笑み、杏の眉間に右手の指を添えて、思いっきり握りしめた。アイアンクローである。


「ぎぃっにゃーーー」


 アイアンクローをくらった杏はプスンプスンと頭から煙を出して床に伏せってる。


「うぅ、兄さん痛いです。可愛い妹になんていうことを」


「・・・・いいから俺のYシャツを返せ」


「えっ!きっと私の匂いが付いたYシャツを嗅いで抜くんですね。私をオカズにする兄さん、変態です」


 急に何を言いだすんだ!


「いや違う。俺は━━━━」


「タカちゃん・・・妹の匂いで興奮するだ。へー、ふーん・・・・タカちゃんは変態さんだ」


 杏璃が王子たかしに追い討ちをかける。


「止めてくれ!俺は変態じゃない!ふぅふぅ・・・・わかった。もう返せとは言わない━━━━」


「「やったー」」


 なんで杏璃まで喜ぶ?!二人して「イエーイ」とハイタッチする。


「言質取りましたからね。兄さん」


 スマホを見せつける杏。どうやら、録音していたようだ。


「さすが杏、グッジョブだよ。ふぅ、これで私も返さなくても良くなったよ」


 おい、お前もかブルータス━━━まさか、杏だけと思いきや杏璃も共犯だとは思いもしなかった。


「満足しましたので、もう寝ます。兄さん、おやすみなさい」


「あっ、待ってよ。おやすみ、タカちゃん」


 ━━━杏の部屋━━━


「うふふふふっ、私のネグリジェ姿にメロメロだったよ」


「それはあなたの目の錯覚です。私のにメロメロだったのです」


「えぇー、それこそ目の錯覚だよ」


「それじゃー、もう兄さんの欲しくないんですね」


「それだけはご勘弁を、杏様」


 杏に土下座して頼みこんでいる。


「ふふっ、分かればよろしいのです」


 この後、仲良くベッドに横たわるとアルタイルを頭に装着したのである。


 ━━━王子たかしの部屋━━━


 まるで台風みたいな二人が出ていった後、どっと疲れた王子たかしだが頭にアルタイルを装着し、ベッドに横たわるとGWOにログインするのである。

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