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『ヒカルトキ』  作者: コトネ
2/4

~ホールド~

お待たせしました(><)

ちょっと、今回はグダグダ編!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

今日は月曜日で、部活は無し。早めに帰れるということで、ホームルームが終わって帰り支度をするらいと。


らいとは学校の教室にいた。そして、そばを通り過ぎる同級生たち。

「なあ、らいと!お前も来いよ!」

「えっ、どこに?」

急な誘いを受けた。僕はさっきのさっきまで帰り支度をしてたから、同級生たちの話、一切聞いてなかったんだけど、いいのかな。僕はこんな感じに、それなりに遊びに誘ってもらえる。いい奴らだと思う。こんな僕でも、こうやって遊びに誘ってくれるのだから。

「どこにって、そりゃ、決まってんだろ!」

こいつの名前は、五木(いつき)さとる。さとるは、ニヤニヤしながら答えを言わずに勿体ぶっている。周りの奴らもニヤニヤしながら、僕の反応を窺っている。決まってんだろって言われてもなぁ。分かんないよ。

「なんだよ。分かんないから教えてくれよ。」

まださとるたちはニヤニヤしている。…前言撤回。悪い奴らだ。なんか、もう知りたくなくなってきた。僕の反応を楽しんでるんだろうか。なんなら、変顔をしてちゃんと楽しませてあげるのに。こんな状況が続くぐらいだったら、全然構わないぞ。本当に、よくある罰ゲームなんかよりも質が悪いと思う。誰だって、突然、ルールも知らされずに、あるゲームの鬼みたいな役にされて勝手に楽しまれたら、不快感を覚えるだろう。そんな気分だ。

とまあ、ただ遊びに誘われて、その場所を教えてくれないだけで、ここまで不快になる僕も僕だけど。

「悪い。分かんないや。僕はやっぱり帰るよ。」

僕があっさり帰ろうとしたから、さとるたちはニヤニヤ顔をやめて必死に引き止めてきた。

「ちょちょちょーっと!俺らが悪かった。ごめんな。実は、百瀬あかりの家に行こうって話してたんだよ。」

「へぇ、そうなんだ。でも、そうしたら尚更僕はパス。」

僕は構わず帰ろうとする。さとるは余計必死になった。

「ちょーっと!待てって!おい、ちょっとらいとを取り押さえてくれ。」

すっかりほかの4人にホールドされてしまった。ほかの4人とは、六角(ろっかく)まもる、七尾たもつ、八戸(はちのへ)かおる、九条とおる。こんなことしていいと思ってるのか。

「らいとに来てもらわないと困るんだよ。」

情けない声でさとるは言った。うんうんと頷くほかの奴ら。じゃ、このホールドしてる状態は、頼む態度として間違ってるんじゃ…。

にしても、なんであかりの家?

「あのさ、思ったんだけど、それってあかりが来ていいよって言ったのか?」

「「「「「んなわけねーじゃんっ!」」」」」

盛大なコーラスが返ってきた。さっきまでのニヤニヤ顔が、忘却の彼方へ行ってしまったかのように、みんな涙している。

「だから、らいとを誘ってんだよー。」

なるほど、読めた。

あかりは、やっぱりその可愛さで結構学年で人気があって、狙っている男子も少なくない。現にこうして、あかりの幼馴染みである僕は、あかりん家に連れてけと、この5人組にご丁寧にホールドまでされて頼み込まれているほどだ。でもなぁ、あかりん家は…。

「悪いけど、僕は行けないよ。ごめんな。」

さとるたちは、膝から崩れ落ちてシクシク泣き始めた。そんな涙する程にか。自然とホールドから解放された僕は、よしよしと彼らの肩をさすった。

「ねぇ。」

いきなり後ろから呼びかけられた。今日はやけに、急に話しかけられることが多いな。僕は後ろを振り返る。

「なに?」

「一緒に帰ろ?」

あかりだった。


僕は、あかりと家路に着いていた。結局、僕はあのあと、さとるたちに再びホールドをかけられ、今度は俺らも一緒に帰るの誘ってくれよな!と捨て台詞を吐かれた。どうせなら、今日一緒に帰ればいいと思ったんだけど、どうも泣き顔を、目当てのあかりに見られた後じゃ決まりが悪かったらしい。あいつら5人組はそそくさと帰ってしまった。僕が言える立場じゃないけど、しっかり受験勉強しろよな…。

そう思ってふと気づいたことがあって、隣で歩いているあかりに聞いた。

「あかりはさ、どこの高校行こうと思ってるの?」

「え、ああ、うん。あきらお兄ちゃんが行こうとしてた高校。」

あいつら、本当にしっかり勉強した方がいいぞ…。かなり頭良かった兄ちゃんが行くところだ。だけど、あかりだったら安全圏内…あいつらは…。って、そんな僕は…。見やると、あかりがこっちを向いて、らいとは?って顔をしていたから、なにとなく答えた。

「そうなんだ。僕はどうしよっかなぁー。やっぱり兄ちゃん捜し…。」

その瞬間、あかりは歩みを止めて、僕の眼をまっすぐに見つめて言った。

「昨日、おばさんも言ってたけど、らいとはらいとの人生をきちんと考えないとダメだよ。あきらお兄ちゃんのことも大切だけど。」

いつものあかりとは違うその気迫に、僕は言葉を発せなかった。何も言えないでいる僕に気付き、あかりはハッとしていつもの雰囲気に戻った。

「ごめん。責めるつもりじゃなかったの。でも、見つかった後も考えた方がいいと思っただけで…。」

「う、うん。大丈夫だよ。僕こそごめん。」

自分の人生を生きる、か。あかりは決して間違ったことを言っていない。でも、僕も間違ったことは言っていないつもりだ。

だって、本当に感じるんだ。兄ちゃんは生きてるって。

2年間も行方不明だけど、その時からずっと、この感覚は続いてる。そして恐らく、この感覚は僕だけにしか感じられないはずだ。だったら、僕はこの感覚があるうちに、兄ちゃんを捜し出して家に連れて帰って来るべきだと思う。兄ちゃんの存在を感じたまま、僕は普通に進学して高校生活を送るなんて、そんなの、僕の人生じゃない。

読んでいただき、ありがとうございます!

また不定期にですが、書けたらあげますね!

また、短編の方が出せちゃうので、そちらもよければ♪

感想等もお待ちしてます(人´∀`*)

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