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『ヒカルトキ』  作者: コトネ
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~雨は降り、そして止む~

どうも、コトネです!

書いてみたくなったから書いたのに、落ち着く先が分からず…

でも、一応あげてみました!

では、どうぞ!

【登場人物】


千広 らいと:主人公。見晴(みはらし)中学の3年生。兄のあきらを2年前から捜し続けている。


千広 あきら:らいとの兄。見晴中学を卒業後、行方不明となる。


百瀬 あかり:あきら、らいとの幼馴染み。見晴中学の3年生。



僕には兄ちゃんがいる。とても頭が良くて、かっこいい兄ちゃんだ。僕が友達にいじめられてたら、すぐに駆けつけて助けてくれた。そして、大体そういう時兄ちゃんはこう言った。

「本当にお前はいじめられてばかりだな。そんなに兄ちゃんに助けられるのが好きか。」って。

兄ちゃんのことは好きだけど、別にいじめられるのが好きなわけじゃない。そんなやつ、いるわけないだろ。でも、内心、僕を助けてくれた兄ちゃんは本当にかっこよくて、本当にヒーローみたいで…。そんな兄ちゃんを見れるのは嬉しかった。


「兄ちゃん…。」


僕は1人、電気もつけず、兄ちゃんの部屋にいた。窓の外は雨が降っていて、じめっとした感じが中にまで伝わってきてる。僕は兄ちゃんの机の上にある写真を見た。写真に写っている僕と兄ちゃんは、とても幸せそうに笑っている。僕は、写真の中の兄ちゃんを指でなぞり呟いた。


「どこに行っちゃったんだよ…。」


僕の泣き声を宥めるように雨はずっと降り続いた。


「らいとー、どこにいるのー?」

「ここ?」

パチッと明かりがつく。いきなり明るくなったあきらの部屋には、机に突っ伏して寝てるらいとの姿があった。

「いた。ほら、夕飯出来たわよ。下に降りて来なさい。」

「んん…。」

母さんは、そのまま部屋を出ていき下へ降りていった。しまった…つい寝てしまってた。母さんに泣いてると思われたかな。とにかくお腹がすいたから下に行こう。

僕は、明かりを消して兄ちゃんの部屋を出た。


下からはいい匂いがした。夕飯は、僕が好きなハンバーグだった。食卓には母さんと、父さん。そして、女の子が1人座っていた。その女の子は僕を見ると一言いった。

「目。」

いや、一言どころか一単語というか、一文字だけだった。て、目?僕の目がなんか…。あっ!

「ちょっと、うがいしてくる。」

そう言って僕は足早に洗面所へ向かった。泣いた分、目が赤く腫れていたからだ。しっかり顔を洗って、なんとか元に戻ったのを確認して食卓に戻った。

「うん。大丈夫。」

あの女の子が席に着いた僕に笑顔でそう言った。この子は僕の幼馴染みの、百瀬(ももせ)あかり。静かな女の子だけど、さっきもそうだったように、時々見せる笑顔は、とてつもなく可愛い、と僕は思う。いつも笑顔でいればいいのに、と思う反面、時々見れるからこその可愛さだとも思う。まあ、そこは本人の自由だから、僕がそこまで言うことじゃないってのはよく分かってるんだけど。


そうそう。なんで幼馴染みのあかりが、こうして僕の家族(兄ちゃんいないけど)と夕飯を食べているかというと、あかりの両親が共働きで帰りが遅いからだ。もう中学3年生のあかりだけど、おじさん、おばさんも年頃の娘を一人家に残すことに不安があり、せめて夕飯だけは僕の家で食べさせたいと頼んできたそうだ。母さんは専業主婦だから、

「全然構わないわよ。それに家は男ばかりで華がないから、あかりちゃんがいると、名前の通りぱあっと明るくなって嬉しいわ。」

と、二つ返事でOKしたらしい。それにしても、一言余計な気が。どうせなら、二つ返事じゃなくて一つ返事だったらよかったのに。ま、男だけなのに華があったら、それもそれなんだけど。そこにぼやく必要がないのは分かってるんだけどね。おっといけない、このままじゃなかなか話が進まないよね。


そして、僕らは夕飯を食べ終えて各自自由に過ごした。あかりは母さんの皿洗いを手伝った後、真面目に学校の宿題と受験勉強をしていた。ちなみに言うと、今漫画を読みながら、実況・解説をしてる僕も受験生だ。あかりと同級生の中学3年生。今はまだ5月だからというのと、兄ちゃんの捜索で、あまり受験勉強に身が入ってない僕は、あかりのその熱心な態度に感心する。そして、母さんの小言をもらう羽目になるのだ。

「らいとー。あきらのことで受験どころじゃないのは分かるけど、だからって自分の人生を大切にしなくてもいい、というわけじゃないのよ?」

まあ、確かに、その通りだとは思う。けど、受験って人生って言えるほどのことなの?高校に進学しなきゃいい人生歩めないとか、そう決まってるのかな?それだったら、兄ちゃんの人生はどうなってしまったんだろう。

兄ちゃんは頭がとても良かったから、いい高校に行くことが決まってた。高校に行って、勉強して部活して、彼女も作ったり、兄ちゃんはかっこいいから高校でも絶対モテたんだろうな。そんなことを考えると、本当に兄ちゃんは…。


「その漫画、読んでるの?」

「っわ!!?」

いつの間にか帰り支度をしたあかりが間近にいた。

「お、驚かすなよ。どうした?もう帰るのか?」

「うん、母さんがそろそろ帰るって。」

「そっか。じゃ、送っていくよ。」


そうして、僕とあかりは夜道を歩いていた。外は昼の雨もすっかり止んでいたけど、むしっとした感じはずっと停滞したままだった。

「あきらお兄ちゃん、見つかりそう?」

ふいにあかりが切り出した。

「いや、もうほとんど手がかりもない状況だなぁ。」

「これからも捜すの?」

「当たり前だろ。」

これからも捜す、とは言ったものの、他に手がかりがない以上、ほぼお手上げ状態だった。しかし、だからと言って諦めるわけにもいかない。僕が諦めたら、他に誰が兄ちゃんを捜すんだよ。両親も警察に捜索願を出して捜してはいるけど、警察も、捜して2年も経っている人のこと、どこかで見切りをつけているんじゃないか。そんな気がしてならない。両親は両親で、夕飯の時はああやって気丈に振舞っていたけど、兄ちゃんがいないということに関して、ひどくショックを受けているはずだ。ただでさえ辛い現実を、2年以上も目の当たりにし続けている。僕も同じ状況だけど、いや、僕にはなんとなく感じるんだ。兄ちゃんがどこかでまだ生きているって…。


「なあ、そうだろ。兄ちゃん…。」

そう独り言を零した僕を、あかりは驚いた顔で見つめたが、顔をしゃんとさせて言った。

「うん、あきらお兄ちゃん絶対見つかるよ。らいとがこんなに捜してるんだもん。」

「本当だよな。僕が困っていたらすぐ駆けつけてくれる、そんな恰好いい兄ちゃんだもんな!」

そして僕とあかりは星に祈るように夜空を見上げた。

読んでいただきありがとうございます!

連載とはしていますが、この話の更新は遅くなりそうです…(´・ω・`)

色々感想や意見を頂けると嬉しいです(*Φ∀Φ)


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