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俺と姉貴がオンラインゲームの中で付き合ってる話  作者: 黒斬行弘
第二章 俺と姉貴と栄光の騎士

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CASE29 それぞれの挑戦

 俺と姉貴と燈色(ひいろ)の絶叫が、俺の部屋の中に響き渡る。あんなカッコいい紋章を、この面白ロールプレイ野郎が作っただと・・・・・?


グラマン「誰が面白ロールプレイ野郎だ!」


ダーク「あれ?なんで考えてる事わかったの?」


団長「ダーク君、もう完全にわざとだよねそれw」


 団長が笑いながら俺に突っ込む。あー良かった。やっと団長喋ってくれたよ。さっきからずっと黙ってたから気になって仕方なかったんだよ。


千隼(ちはや)「でね、真ん中の剣士、これモデルは私なの」


 ああ、言われて見れば、なんか女性のフォルムだわこれ。


千隼「でね、右がグランで左がワールド」


ダーク「ああ!つまり、3人の創設者を紋章にしたって事ですか?」


千隼「いえーす♪」


 なるほどねえ。しかしグラマンにしちゃあよく考えられた紋章だわ。あ、今度は口に出さなかったからね。


あれ?ちょっと待てよ?ギルド名がシャイニングナイトって事は・・・。


ダーク「ギルド名って、千隼さんの名前から取られたんですか?」


千隼「お前が言い出しっぺだから自分の名前から取れって、ワールドに言われてねw」


 なるほどねえ。確かに、ワールドナイトやグランドナイトより、シャイニングナイトの方がカッコいいし、しっくり来てるかも。


千隼「まあでも・・・」


 千隼さんは一呼吸置いてから、話し始めた。


千隼「結構すぐに、ギルドはバラバラになっちゃったんだけどね」


グラマン「ですな」


 最初の頃は、ギルドメンバーの勧誘やら、バトルの作戦立てやらで、忙しいながらも充実した日々を送っていたらしい。


 だけど、それぞれの考え方が決定的に違う3人がバラバラになってしまうのは結構簡単だったようだ。


千隼「グラマンはギルドの人間関係をとても大切にする人だし、私は、やるならなんでも一番に楽しみたいって人だしね」


 なのでこの二人は、ギルド内でも割と仲の良い良好な関係を築いていたみたいだ。所がワールドは、当時最強と言われていた「ブラックアウト」打倒に闘志を燃やし、強くなる為だったら、多少の事にも目を(つむ)る、そんなスタンスを取るようになっていたのだという。


 まあ、さっきのワールドを見てたらそれは理解できる。なんか、弱い奴には用はねえって感じだったもんな。自由同盟の事も完全に見下してたし。


千隼「ワールドとの亀裂(きれつ)が決定的になったのが、彼が私のレベルを追い越した時だったかな」


 千隼さんが、ギルドの新規加入メンバーにギルドに馴染んでもらうために、数人のギルドメンバーと、ギルドイベントの企画について話し合っていた時に、ワールドが放った一言。


「そんな下らない事が、ギルドを強くするのに何の役に立つんだ?」


千隼「あの一言で、もうシャイニングナイトを辞めようって思ったの」


グラマン「私もあの場にいたんですが、その場が凍り付いたようでしたな」


千隼「で、すぐにシャイニングナイトを脱退したの。団長と一緒にね」


 なるほどねえ。確かに、千隼さんのプレイスタイルは、レベル上げも手を抜かないけど、それよりも皆と一緒に遊びたいって気持ちの方が前面にでている感じだもんな。そりゃあ、ワールドとは合わないはずだ。


 あれちょっと待て?今なんか大事なことをさらっと言わなかったかこの人・・・・?


ダーク「え?ちょっと待って!団長と一緒に脱退って、え?えええええ!?」


団長「ふふん、何を隠そう、僕も元シャイニングナイトなんだよ」


 そう、胸を張って(張ってるように見えたんだよ)答える団長を見ながら、今日は何回驚かされれば済むんだよ等と、PCモニターを見ながら考えていた。


 里奈と燈色もぽかーんとした顔をしている。そりゃそうだよなあ。


「ええ!団長もシャイニングナイトだったの!?」


 千隼さんの言葉から出た言葉は、俺と姉貴と燈色を驚かせるには十分だった。


団長「うん、シャインちゃんに勧誘されてね」


千隼「だって、街中で『団長』って名前見た瞬間、これは勧誘しなきゃ!って、思わずには居られなかったって言うかw」


 あー、それはわかる気がする。だって、「団長」って名前、妙なインパクトあるもんなあ。そんな人が街中でフリーで居たら、とりあえず声を掛けてみるかもしれない。


団長「でも、その後すぐにギルド脱退したから、あんまりシャイニングナイトには思い入れないんだよね」


千隼「1カ月もいなかったかな?」


団長「だって、入ってすぐに脱退と新しいギルドの話をしてたからね。だから、ワールドとは面識ゼロなんだ僕は」


 そういや、さっき千隼さんには久しぶりってワールドの奴言ってたけど、団長とは何もなかったな。まあ、団長の性格とワールドでは全く合わないとは思うから、関わりがなくて正解なんじゃないか?


団長「それで、シャインちゃんと一緒にギルドを抜けて、僕と明海あけみちゃんとシャインちゃんで自由同盟を設立したのさ」


ダーク「・・・なんか、色々あったんですねえ」


 マスター(つな)がりの3人の出会い、シャイニングナイト設立、ワールドとの確執かくしつ、団長との出会い、ギルド脱退、そして自由同盟設立。


 あれ?ちょっと待て。


ダーク「なあ、グラマンはギルドを脱退しようとは思わなかったのか?」


 だって話を聞いてたら、千隼さんとグラマンは結構仲も良かったっぽいじゃん。でもグラマンはギルドに残ってるわけで。


グラマン「もう少しだけ頑張ってみようと思ったのだがな。だが、流れは変えられなかった」


 ああ、つまりグラマンは、強けりゃ良いっていう流れをどうにかする為に残ってた事か。なんだよこいつ、なんつーか男らしくてカッコいいなおい。


千隼「ごめんねグラン。私が早々に抜けちゃったから」


グラマン「問題ありますまい。私も決心がつきましたからな」


 何の決心だ?と思ったら


グラマン「シャイニングナイトを脱退してまいりました」


千隼「そっか、お疲れ」


団長「お疲れさま」


 どうやらグラマンもシャイニングナイトを脱退したようだ。これで、シャイニングナイト創設者のうち残ったのはワールドだけか。この状況をどう考えてるんだろうなあ、奴は。


団長「さてと、じゃあとりあえず自由同盟にはいろうかグラマン」


グラマン「ぬ?」


団長「さあ、加入ボタンを押すんだ!」


里奈『ちょっと!まさかグラマンを勧誘する気!?』


燈色『え?あの中世の騎士気取りのナル男が来るんですか?私嫌です』


 お前ら、そこまで言うか。ちょっとグラマンがかわいそうになってきた。


里奈『ちょっと真司、あんた団長を止めなさいよ!」


真司『へ?嫌だよ、なんで俺がそんな事・・・おい馬鹿やめろ!』


 そして里奈が再び俺のキーボードを奪い取ろうとする。なんでこいつは思ったら即行動なんだ!


 【グランドマスターさんが自由同盟に加入しました】


そして、俺と里奈がキーボードの奪い合いをしているとそんなログがちゃっと画面に流れる。


里奈「ああもう!あんたが邪魔するからグラマン加入しちゃったじゃない・・・」


燈色「そんな、ありえません・・・」


 俺の背中をぽかぽか殴りながら里奈が文句を言ってくる。いやいや、俺が反対したところで変わりはしねーよ。というか、俺のキャラを使った反対運動はやめてもらいたい。そしてお前らは失礼過ぎ。


グラマン「あー自由同盟の皆さん、この度は団長のご配慮により自由同盟に一時的に加入させてもらい、謝罪の場を設けて頂いた事を心より感謝申し上げたい!」


 あれ?本加入じゃなく、謝罪のための一時加入かよ。と言うより、別に誰もグラマンが悪いとは思ってないのに、律儀な奴だな。


グラマン「そしてこの度は、一部のシャイニングナイトの暴走により、皆さんに大変不愉快な思いをさせてしまいました。心よりお詫びを申し上げたい」


 気にするな!とか、お前のせいじゃねーよ、みたいな声が上がってくる。あと、『グラマンキモイぞ!』っていうヤジも入ってるのはご愛敬で。まあ、グラマンは変わった奴だけど、あんな最低な事するような奴じゃないからな。


グラマン「自由同盟の皆様のお心遣い、大変感謝しております!思えば、私と自由同盟の友情の始まりは・・・・」


 あれ?なんか雲行きが怪しくねーかこれ?選挙演説みたいになってきたぞ・・・。


里奈『ほら始まった」


真司『え?』


里奈『壮大な演説が始まるわよ。へたしたら1時間くらい」


グラマン「しかし!私と自由同盟の友情は永遠であり、この程度の障害では、びくともしない強固な絆で結ばれている事を確信しております!」


 グラマンは絶好調に演説を続けている。あれだ、姉貴と燈色と楽しくお喋りでもしとこうか。うん。


 それからグラマンの演説は1時間にわたって続いた。最後には、千隼さんに「グラン、いい加減にしなさい!」と怒られて、しぶしぶ演説をストップさせた。後でグラマンに聞いた話によれば、たっぷり後1時間は話せる内容を準備していたとのこと。千隼さんGJです。


 グラマンには、団長がもう一度勧誘していたんだけど「私もちょっと考えがあるのです」と、断りを入れていた。もしかしたら、自分でギルドを作る事とか考えているのかもな。


 まあ、そういうわけで、シャイニングナイトとの騒動は、これで一応解決・・・かどうかはわからんけど、収束したとは思う。全然すっきりしないけどな。


 でも、千隼さんやグラマンの過去話とかも聞けたし、全部が全部悪かったわけでも無いかな。自由同盟の設立秘話みたいなものも聞けたしね。


 でも、もうあいつらとは狩場では会いたくない、ってのが正直な気持ちだ。




 某月某日。


 俺たちは、要塞バトルに参加するために『コボルト要塞』の門前の広場まで来ていた。何故要塞戦に参加するのかと言うと、話はシャイニングナイトとの話し合いが行われた次の日まで遡る。


 会議室でワールドとの話し合いを行った次の日、団長がいきなりギルドチャットでこんな発表をしたんだ。


団長「自由同盟は、要塞戦に参加したいと思う!」


 ギルドの誰もが「この人何言ってるの?」って空気だったと思う。


 だってさ?昨日、その要塞バトルギルドの奴らとしたくもない話し合いやったばかりだってのに、何を好き好んで要塞バトルをせにゃいかんのだ。はっきりいって俺たちの要塞戦に対するイメージは最悪よ?


団長「きっとみんなの中で、要塞戦に対するイメージは良い物にはなって無いと思う」


 あれ?団長もわかってるんじゃん。


団長「だからね?僕としては、要塞戦に悪いイメージを持ったまま、このゲームをやって欲しくない気持ちがあるんだよ。実際僕も何度か見学した事があるんだけど、凄く迫力あるんだよ?」


エリナ「でも、実際問題、私たちはバトルギルドに嫌な思いさせられたわけじゃない?」


 確かになあ。正直俺も、バトルギルドに所属する友達が居なかったら、シャイニングナイトの印象が、そのままバトルギルド全体への印象になってたかも。


団長「ん~、じゃあエリナちゃんはグラマンのことどう思う?」


エリナ「え?グラマンならうざいと思ってるわよ」


団長「いやいやいや、そうじゃなくて!」


 こんな時まで天然かよ!?里奈のやつ凄いな!そういう事を聞いてるんじゃないっつーの。


団長「じゃあ、僕もシャインちゃんもシャイニングナイトに居たわけだけど、印象は悪い?」


 その質問で、さすがの里奈もピンと来たようだ。


エリナ「それは・・・ないわね」


団長「でしょ?だからさ、結局は遊んでいる中の人次第なんだよ」


 それはそうかもしれないな。結局は、遊ぶ人次第でどうとでもなるわけだから、シャイニングナイトがそうだったからと言って、要塞バトルに参加してるギルド皆そうだと言うわけじゃない。これはちょっと反省せねば。


団長「まあ、全員強制ってわけじゃないんで、やりたいひとだけ参加ってことでね」


エリナ「はい!」


団長「はい、エリナちゃん」


エリナ「参加します!」


 おっと、こいつ切り替えはやっ!さっきまであんなにぶーぶーいってたくせに・・・。


ダーク「はい!参加です!」


 まあ、俺もだけどな。せっかくブラックアースやってるわけだし、とりあえずチャレンジはしてみようかな。


 そして俺たちは、参加希望の人だけで、コボルト要塞戦に参戦することが決定した。自由同盟の要塞戦デビューだ。

第二章終了です。ありがとうございました。

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