CASE13 ギルドチャット誤爆事件(1)
深淵の森での狩中、里奈と燈色の言い争いはヒートアップしていた。
グラマンこと、グランドマスターが現れてからも、その勢いは衰えることは無かった。
燈色SKYPO「一体何度言えばわかるんですか?右へ行こうと提案したのは私ですが、先導したのはエリナ先輩です」
里奈SKYPO「はああ?じゃあ私のせいだって言うの!?」
燈色SKYPO「誰のせいとかナンセンスだと思いますけど」
正直言うと、近場の街までテレポート出来るアイテムがあるので別に迷子くらいどうって事無いのだが、あれはもう意地のぶつかり合いなので、あえて放っておくことにする。
グラマン「なあ、ダークよ。エリナさんには俺が見えていないのか?」
グラマンは、さっきからずーっと黙ってヒイロと向かい合ってるエリナが不思議で仕方ないらしい。まあ、無料通話のSKYPOでヒイロと話してるのなんかわかるわけないからな。話してるっつーか、言い争いしてるだけなんだけど。
なのでグラマンには適当にうまく誤魔化す事にする。
ダーク「お前には黙っていたが、実はあの二人、付き合ってるんだ」
グラマン「な、なんだとおおお!」
エリナ「そんなわけあるかああああああああ!」
速攻で姉貴に否定された。
里奈SKYPO「真司!あんた何好き勝手いってんのよ!」
真司SKYPO「え?だって暇だったから」
燈色SKYPO「真司先輩は、女の子同士がいちゃいちゃするのが好きな属性の人ですか?」
グラマン「え?違うのですか?」
エリナ「もちろん違います!」
里奈SKYPO「ほらー!グラマン信じちゃってたじゃない!」
真司SKYPO「知るか。後、百合は嫌いじゃないが姉貴をそれに混ぜようとは思わんな」
里奈SKYPO「ゆ、百合?あんた何言ってんのよ!」
燈色SKYPO「真司先輩変態ですね」
グラマン「いやあ、びっくりしましたぞ。まあ、エリナ殿にかぎってそんな事は無いと信じてましたがな!」
そう言いつつグラマンは豪快に笑う。文字でだけどね。
いや、お前思い切り信じてたじゃん。
てか、SKYPOとノーマルチャットが入り混じって、一瞬わけがわからなくなるなこれ。でも実は、ギルドチャットもやってるんだよねこれ。
なので現在「SKYPO」「普通のチャット(主にグラマンと)」「ギルドチャット」、以上の3種類の会話が成立してる状態にある。
まあ、幸いギルドチャットの方では、俺らに対しての会話は今の所ほとんど無い。
グラマン「しかし、この森で狩りをするのなら私も誘ってくだされば良いのに」
エリナ「は?いや、戦士なら間に合ってるから別にいらないわよ。」
グラマン「何故ですか!?私は全身全霊をもってエリナ殿をお守りするというのに。」
エリナ「あーもう、いつも言ってるけど、そういうのがうざいって言ってるの!」
SKYPO燈色「なんです、あの気持ち悪い中世の騎士気取りのナル男は」
SKYPO真司「お前ひどいこと言うな・・・」
SKYPOでの会話はグラマンには聞こえてないので問題はないが、容赦なく相手をぶった切るなこの女。
エリナ「そこは燈色に同感ね!」
グラマン「何がですかな?」
ぶっ、姉貴の奴誤爆しやがった。
こんな風に複数チャットをやってると、一番怖いのが誤爆だよな。今の姉貴みたいに、SKYPOとチャットを混同する事だってあり得る。
エリナ「な、なんでもないの!とにかく、嫌なものは嫌!」
姉貴の奴、よほど誤爆が恥ずかしかったのか、物凄い拒否り方してんな。ちょっとグラマンが可哀想になってきたよ・・・。
【センジンさんがログインしました。】
俺達がそんなバカみたいな話をしていると、突然ギルドチャットにログが表示された。久々にギルドメンバーの一人「センジン」さんがログインしてきたんだ。
センジン「みなさん、こんばんは!お久しぶりですねー」
ギルドチャットに、センジンさんの明るい挨拶が響く。