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俺と姉貴がオンラインゲームの中で付き合ってる話  作者: 黒斬行弘
第一章 俺と姉貴と微少女と
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CASE10 絶対ダメ!

本日2度目の投稿です

俺は駅のちょっと手前の道路で、古名燈色と対峙(たいじ)していた。


「あなたとエリナさんが実は姉弟で、しかも姉弟なのにゲーム内で付き合っているということをバラされても良いと?」


「言いたきゃ言えばいいじゃねーか」


 俺は別に大したことじゃない風にヒイロに言ってやった。

 しかし、改めて姉弟で付き合うとか口に出されると、気持ち悪いことこの上ないな・・。


「なんでですか?」


 おーおー、ヒイロのやつ明らかに動揺してるぜ。

このネタを出せば絶対オレが言うこと聞くとか思ってたんだろうな。甘いぜ!


「あのな?俺にとってそのくらい、恥ずかしいとか思えるレベルじゃないんだよ」


 古名燈色には、俺が今日一日で体験した出来事を赤裸々に語ってやった。


 まずは、往来で大声で「ダーク君」と呼ばれた。

 あれはすげえ恥ずかしかったぜ・・。


 あと、自己紹介までは匿名だったにも関わらず、事前にキャラ名をバラされた。


 名前ネタを散々いじられた。


 明海さんに最初から最後までいじり倒された。

 姉弟で散々皆様に御迷惑をかけた。特に千隼さんに二人共お世話になったしな。


 そして最後には、再び明海さんにやられたし!

 あんな人通りの多いとこでダークとか呼ぶし、人を変質者扱いするしで、最悪だよ!

 今日一日でギルド内での俺の立ち位置が決定的なったな・・・。

 何より、千隼さんにはあんな目で見られたのが悲しすぎるぜ。

 

 あ、そういえばヒイロの奴、俺が明海さんにいじられてるのを見て、プルプル震えながら笑ってやがった!あと、シカトもされたな!

 くそー、今考えると無性に腹が立つな。


 あと、こいつに言う義理はないから言わんけど、姉貴との約束をすっぽかした上に、姉貴に逆ギレしようとしてたこと。

 そりゃもう、今日の俺は情けない出来事のオンパレードだ。

 今更、姉弟であることがばれた所で痛くもかゆくもねーな。


「今更恥ずかしい事の一つや二つ増えた所で、痛くもかゆくもねーんだよ!」


 どうだ!?言葉もでないだろう?


「本当に恥ずかしいですね・・・・」


 物凄い哀れみの目で、美少女ゲーマー古名燈色に見られた・・・。

 やばい、涙目になりそう!


「と、とにかくだ!別にばらしたきゃばらせよ。俺は別に構わないよ」


 それだけ言って、俺はとっとと駅に歩き出した。


「あ、・・・・」


 俺が歩き出したのを見て、ヒイロも俺を慌てて追いかける。

 さすがに俺を脅すのは無理だと諦めたようだ。

 黙って後ろから付いてくる。


 てか、とんでもない奴だなこいつ。

 まさか、弱みを握って脅しをかけてくるとは思わなかった。


 これ、後で団長に伝えといたほうが良いだろうか?

 いや、でもなあ。今まさにネカフェで盛り上がろうとしてるところだからな。水を差す必要もないだろう。

 明日以降、ゲームにログインした時にでも相談しよう。


 でそしてその日はゲームにはログインせずに、色々疲れたんでそのまま眠りについた。


 

「真司ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!」


 オフ会から数日後、学校から帰って昼寝してた俺は、里奈の奴の馬鹿でかい声で強制的に目覚めさせられた。

 そのまま部屋に走りこんできて、俺の上にどんっ!と乗ってくる。


「ぐえええええっ」


「どうしよう真司!?」


 しかし、そんな俺の苦しそうな声は無視して、里奈は話しかけてくる。


 首根っこを掴みながら! 


 里奈の顔を見ると、めっちゃ青ざめてて、何かただ事でない事態が起きていることがわかった。


「と、とりあえず落ち着け」


 そして俺の首を締めているその手を話せ!

 じゃないと死んじゃう!俺が!


「こんな時に落ち着いてられないよ!」


 里奈のやつ、「どうしよう!><」って感じで、本気で焦ってるようだ。

 こんな時はとりあえず話をさせながら落ち着かせるに限る。

 とりあえず、何があったか話すよう俺は姉貴に(うなが)した。


「あのね・・・、ヒイロちゃんに私達が姉弟だってバレてたの!」


 ああ、つまりヒイロの奴、俺が全然困ってない感じだったから、姉貴にゆさぶりをかけたって事か。うん、それ大正解だ。俺の目の前には、ヒイロの思惑以上にテンパってる姉貴がいるからな。


 簡単に言うと、今日の夕方俺がゆっくり昼寝をしてる時ね。

 大学から早めに帰ってきた里奈は、ルンルンでゲームにログインしたらしい。

 で、ヒイロから呼び出されて、姉弟だってことバラしますって言われたようだ。 

 


「あーなんだ、そんなことか」


 俺は大したことじゃない風に極力言ってやった。

 ここで俺まで慌てると、こいつのテンパリ具合が頂点にたっするからな。


「そんな事か、じゃないでしょ!バカ!この事ばらされたら、私恥ずかしくて、ゲームなんか出来ないよ!」

「俺と姉弟なのはそんなに恥ずかしいですか・・・」


 里奈のあまりにもひどい言い様に、俺は盛大にショックを受けていた。


「違うわよ!あんたと私が姉弟なのに付き合ってるとかばれたらって事でしょ!」


 あ、そっちか!びっくりしたぜ・・。まだ怒ってるのかと思ったわ。

 それと、付き合ってる「ふり」だからね「ふり」!


「そのことなら俺も昨日言われたよ。」


 俺は昨日のオフ会からの帰り道での、古名燈色との会話を簡潔に里奈に教える。

 バレても困らないって返事した事も含めてね。


「それはダメ!困る!」


「別に良くないか?理由話せばギルドの皆もわかってくれるでしょ。」


 実際ゲーム内では、恋人だけが装備できるレッドリングの性能目当てで、別に好きでもないのに恋人申請してる奴も居るくらいだし。

 特に高レベルプレイヤーの間では、当たり前にやってるって聞いたことがある。


「却下!」


 里奈の奴、ぷいっと顔を横に向けて、(かたく)なに拒否しやがった。

 別に、そんなに嫌がることでも無い気がするんだがなあ。

 たぶん、うちのギルドで気にする奴なんかほとんどいないぜ。

 

「だったら、あいつの言うこと聞くしか無いじゃん」


 俺は嫌だけどな!

 人を脅して言うこと聞かせようというこんたんが気に食わない。

  

「そもそもあいつ何が目的なんだ?それは聞けたのか?」


 まあ、俺と里奈を脅す目的なんて限られてるけどな。

 俺はともかく、里奈の装備とか狩りで手に入れたレアアイテムをよこせとか、そういう(たぐい)だろう。

 ちょっと前に「エリナ」の装備を見せてもらったが、あれだけの装備持ってる奴って、俺達のサーバーでもかなりレベルの高い奴らだけじゃねーかっつーくらいのレア装備だった。

 

 このゲームは、一人でもプレイ出来ない事も無い。

 だけど、レアアイテムを手に入れるには、それなりに長い時間狩場に居ることが前提になってくるんだ。

 レアなアイテムだけに、すぐに手に入ることはめったに無い。

 後、高いレベルが求められる事も多いので、一人じゃレア装備集めは難しい。


 けどヒイロの場合、あいつの職業は回復役である「僧侶」だ。

 なので、単騎でレアアイテムが出る狩場に行くことは難しい。

 まあ、里奈くらいの装備とか召喚獣を使えるレベルがあれば話は別だけどな。

 そして俺は、あいつが誰かと狩りに行ってるのをあまり見たことがない。


 だとすれば、やはり装備をよこせか、レアアイテムの横取りが濃厚(のうこう)だろう。


「それがなんか「狩りに行くときは私も一緒に連れていくこと」それが条件だって」

「は?それだけ?」

「それだけ」

「そこで出るアイテムを寄越(よこ)せとかじゃなくて?」

「その可能性も聞いたら、「レアイテムは分配でお願いします」って」


 なんだそりゃ?

 俺たち姉弟の弱みを握って、それで脅しをかけた目的が、狩りに一緒に連れてけ?

 わっけわかんねー。

 いや、そもそもあいつはわけわかんないんだけどさ。


「もおおおおお!せっかくゆっくりゲーム出来ると思ったら、なんでこんな事になるのよ・・・・。」


 里奈の奴、がっくりと肩を落としてやがる。


 うーん。

 とりあえず、ゲーム内で本人に直接会って聞いてみるしか無いか・・。

続きは明日掲載予定です

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