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ドラゴシャの部下は見えるだけで6体
カニ、お化け木、ローブ4体
ドラゴシャの合図でローブを来た三体がカジロウに向かい、歩み寄り他の奴は待機している。
ザンガン達がカジロウに寄ろうと思った瞬間、巨大なカニが横走りで歩み寄りハサミを横に大きく振った。
それに瞬時に反応したバンペルトはそれを剣で受け止める。
「っぶね!うぉぉぉ!」
「なんてつれねぇガイ!挟ませろガイ!」
バンペルトはハサミを力任せに打ち返した。
ハサミはそれを軽く受け流し、先程より開き剣をバンペルトごと挟み込む。
「俺の自慢のハサミはもう離さないガイ!」
「ぐっ!」
バンペルトの鎧がミシミシと軋んでいた。
「それはない……そう思う」
「痛ガイ!」
ハサミの上に乗り、彼女は甲羅の隙間にナイフを突き刺した。
ゴリっと音が鳴り響く。
「まだハサミはあるガイ!」
「そうはいかないわ」
もう1人の女性がレイピアを突き立て同様に関節を掻き回す。
「ほっほっほ」
【ウィングクロス】!
ザンガンはカニの腹目掛けて風の刃を叩き込んだ。
「いっちょあがり!うぉら!」
バンペルトは体勢を低くし、剣で傷付いた腹目掛けて突進する。
カニは後方に吹き飛び砂埃を立てながら壁に激突した。
「硬え〜!痺れたぜ!」
「ほっほっほ……やったかのぅ?」
「いや……ダメだ……手を増やして受けやがった」
「許さんガイ!このグラーヴ様に傷を付けやがったな!」
砂埃から現れたカニは甲羅を青から赤へみるみる変化させ、腕を4本生やして冒険者達を威嚇する。
「ほっほっほ!こりゃ全部折るのが先か、ワシの骨が折れるのが先か……」
「折る……と言ったガイ?それは無理ガイ!」
「油断するから折られるの……そう思う」
砂埃にまみれたユリは再び関節を攻撃したが、ナイフは弾き飛ばされた。
ユリは狙うハサミを掻い潜り、バンペルト達の元へ戻る。
「だから言ったガイ!お前達の力ではこの身体は無理ガイ!無理ガイ!」
カニは破壊されたハサミを切り落とし、切り口からハサミを再生させた。
「ほっほっほ!時間が掛かりそうだわぃ……カジロウ殿……申し訳ないが、そちらまで手が回らんわぃ」
三体のローブがカジロウに以前向かってくる。
「ご心配なく……カジロウ様の護衛は足りております」
ドリーはそう言うとカジロウが前進させた将軍と共に歩み出した。
『オーラとカイゼンは部下を連れ、ローブ達と戦え!』
ローブとドリー達は両者走り出した。
「面倒ね……」
最初に行動したドリーは黒い炎を握る。
その手首をネッキングツリーのロープが絡みつきドリーを瞬時に引き寄せる。
「ヒヒヒヒ!捕まえた!やっと捕まえたよぉ〜!」
「あら?何をはしゃいでいるの?ネッキングツリー」
「お前を吊りタイィ!この時をずっと夢見てたぁ!」
「ふふふ……可哀想に、それが出来るなら樹王様の秘書をしていた時にやっていたのではなくて?」
ドリーの炎がロープを伝って燃え広がろうとするが、本体に届く前にロープは切断された。
「失礼……」
「ヒヒヒヒ!そう!お前は強い!だから1人じゃないよ〜ん」
「あら?カマイタチ?……魔王様の小間使いの貴方ごときが何の用?」
「ドリー様……我が使命のため……その命頂きます」
「それが出来て?」
カマイタチは叩き落とそうと繰り出したドリーの腕を切り刻みネッキングツリーの枝に乗る。
「ヒヒヒヒ!ああ!その美しい皮膚が俺の枝の先でグズグズ腐っていく!ああ!早く!早く!」
「貴方中々早いわね……良いわ……相手してあげる……でも手早くね」
一方カジロウの眼前ではローブと将軍達が切り結ぼうとしていた。
『【ファイアレッド】!【オーラブレード】!』
将軍はカイゼンの出した炎を体に取り込み、その紫の炎で斬撃を繰り出した。
カジロウからは横一線にローブ達は切り裂かれた様に見えた。
『手応えが2つしかない』
「一つ……お前達は速度を見誤った」
『【3点シールド】』
カジロウの眼前にランスを持った銀色の騎士が立っていた。
「二つ……お前達は我の貫通力を見誤った」
その騎士が繰り出したランスが護衛隊長達のシールドを貫通した。
『カジロウ様!』
将軍の繰り出す斬撃を銀騎士は避け、瞬時に将軍とカイゼンをランスで貫いた。
「三つ……ローブの中身は一体ではない」
ランスで空いたシールドの隙間からネズミが大量にジャンプして突撃してくる。
「チチチ……カジロウ!積年の恨み!ぐえ!」
カジロウに到達しようとしたネズミに肩に乗っていたマタタンは首を伸ばして噛り落とした。
「ほう?これはこれで美味い!ネズミか……素晴らしい……我輩と遊ぼうではないか」
「ね……猫!貴様もか!?……何故カジロウに!」
「何の事だ?」
マタタンは降り立ちネズミに飛びかかる。
その隙にカジロウは走ってその場から離れようとしたが耳元で声が聞こえる。
「あら?何処へ行くの?」
女性がカジロウの肩を掴み引き寄せる。
カジロウの骨兵と護衛隊長は瞬時に女性を剣で突き刺したが女性は平然としている。
ニヤリとカジロウに笑いかけたその顔はグニャリと液状化し、カジロウの耳に炸裂し、耳の穴から脳を貫き、鼻から喉を貫き、胃に入ってくる。
「あら恐怖を堪能する前に貫通しちゃったわ……貴方の肌ってなんて柔らかいの?今までで1番よ……もっともっと楽しみたかったわ」
液体女は胃を飛び出して正面に立ち、失禁するカジロウを眺めた。
…………このクソ女!必ず苦しめて……ぶっ殺してやる!




