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「何だぁこの腕はよぉ!クソ猫が!おれの腕に何しやがったぁ!クソォ!元に戻しやがれぇ!」


腕は黒く巨大な腕に変化し、その重みで彼は巨大な腕の上でもがいている。


その様子は滑稽で楽しいが……同郷のよしみだ一思いに殺してやろう……

吾輩は尻尾に力を込め、尻尾を地面に叩きつけて得た勢いで彼の喉元に食らいつく。


「うっ!痛ぇじゃねぇか!グッ!いぎが!クゾネゴ!ガゴッ!ググググググググ!」

彼の喉は見る見るうちに変化し、魚のエラになって窒息死した。


ーーーーーーーー


「それを看取った吾輩はその後、のらりくらりと今日まで使い魔業に勤しんでいた……というわけだだよ、カジロウくん」


カジロウは猫に首を傾げた。

「ん?……なんか最後の能力説明を端折ってない?」


「まだ分からない?そうだなぁ……百聞は一見に如かず……見せてあげよう」

「ほう?」


猫は尻尾で近くの檻をこじ開け、インプを尻尾で捕まえて自分に寄せた。

「キーッ!キーッ!」

「ああ!お客さん!」


ドリーと契約書を作成していた店長がこちらの様子に気が付き、大声を上げる。

「店長……このインプも買い取る……さぁ猫ちゃん見せてくれ」


《ドスッ》

猫はインプの両太ももにネコチョップを繰り出した。


「キーッ!」

インプの右足は巨大なバッタの足……左足はネバネバした人間の足に変化した。


「吾輩の能力は傷を付けた部位を扱い切れない上位種の物に変化させる能力……

本は既に失われ、その能力名や詳細は不明だが、

この能力に人間風に名前をつけるとすれば【猫に小判】……と言ったところか?」


……面白い能力だが……なんか危険っぽいな……

カジロウは少し考えたが、猫が欲しかった。


「気に入った、君を連れて帰る」

「そうか……それは良かった」

「唯し、爪を切ってマニキュア塗って貰うからね……俺が変化したらたまらないから」


「その心配はない……何故なら……

キーキー煩いな……」

猫は尻尾でインプの頭を床ごと突き抜いて殺した。


「骸王様?書類は終わりましたが……」

ドリーは猫の挙動に目を光らせて観察している。


「ドリー、悪いけど床の弁償もお願い……あとドリーの好きなインプも選んでね……

猫ちゃん、心配は無いとはどういう?」


「ああ……この尻尾はジーニアスクラゲというとても賢い種族の触手だ……

彼らの触手は脳であり腕であり口だ、吾輩はこの尻尾を手に入れてから徐々に侵食され、今では過去の肉体は完全には残っていない……触手と全身が同化してしまったのだよ……だからホラ」


猫は手をカジロウに見せ、爪を出したり完全に無くしたりしている。


「へぇ……」

「吾輩もまた自分の能力で死んでしまった様な形だな……まぁ猫として生まれ育ったからこの姿が一番落ち着く……」


「骸王様……全て完了しました」

「そうか、ご苦労様……じゃあ次はどこに行こうか……」


「吾輩の名前はマタタン……日光浴がしたい」

猫はカジロウの方に乗って首に巻きついた。


「店長、それでは先程指定した使い魔はこの送り先に送って下さい」

「かしこまりました」


「日光浴か……ドリーも行く?」

「はい、日光浴でしたらちょうど良い場所がございます」


カジロウは使い魔ショップを出て、ドリーオススメの公園でお昼寝をした。




ーーーーーーーーインド


黒曜ゴーレム達、彼等はドラゴンの一撃を受け切ると言われる程の硬度と重量を誇っている。


彼等の村の一角で一体のゴーレムが左手のみで畑を耕している。

そのゴーレムに仲間達が近寄り声をかけた。


「おーいゴレミ、左手だけじゃ大変だろ?無理すんなってオレ達が畑を耕すよ」


「ごめんね……みんな」


ゴレミと呼ばれるゴーレムは後天的に右腕が極端に細く弱い、50年前、ゴレミが寝ていると突然細くなってしまったのだ……村人達でその病を治そうと手を尽くしたが、結局、その理由さえも解明不可能だった……


「みんな……本当にゴメンね……」

「気にするなって、助け合うのが俺たちゴーレムじゃないか」

「そうじゃ……ワシは思う、その腕は神様の腕なのじゃ、みんなで守らなくてはいけない」


そのか細い腕は、ゴレミの自重すら支える事は不可能……元々こんなではなかったのに!

ゴレミは悲しくて仕方が無い。


ああ……こんな腕、邪魔なだけだ。


ーーーーーーーー北極の海


思考を巡らす事が大好きなジーニアスクラゲ達は群れで今日も流氷の中を漂い泳ぐ。


「ねぇねぇおじいちゃん……何でおじいちゃんには、そんなおヒゲがあるの?お父さんにはないのに」


「ほっほっ、よう分からんが50年前に触手が二本消えて、毛が生えてきたのじゃ」


「へぇ〜フッシギー!」


「そうじゃな……ワシのおじいさんやお父さんにもこんな物生えておらんかった……50年時々考えてみるが……今だにようわからん」



ーーーーーーーーアリゾナ


グレートキャニオンの一番大きな山を登る、ベトヒューマン達がいた。


彼等は四肢に粘液を分泌する器官を持ち、山登りにおいては右に出る種族はいない。


1人の男親が息子達を連れて山を登っている。


「もう少しだ!頑張れ!この山を登ればお前も一人前だ!お前達なら……」


一番遅れている末っ子が突然叫んだ。


「ああぁぁ〜!助けて!左足が!滑る!滑るよ!落ちる!お父さん!あぁぁぁぁぁ!」


末っ子は山からズリ落ちて見えなくなってしまった。


ーーーーーーーーアフリカ


狩りが下手なデラザウルスがいた。

もう5日も何も口にしていない……彼は必死の思いで草むらに突っ込み、バッタ達を追う。


バッタ達の脚力は強力で普段であればアッサリ逃げられてしまうが、今日は右足が小さなバッタが草むらでもがいたので食事にありつく事ができた。


こんな日が続けばと思いながらデラザウルスは空腹を満たす。


ーーーーーーーー日本海

海を我が物顔で泳ぐ魚達、彼等はスピードザサンマと呼ばれる魚、

尖った形をした彼等の進行を妨げようという生き物はいない。


そんな事をすれば、海中最強の部類とされる水龍でさえ、その物量の前にズタズタに引き裂かれてしまうだろう。


群れで泳いでる間、グレートザサンマは最強最速だ。

そんな彼等の中にも脱落者は存在する、

今1匹がエラを失い、群れから離れて溺れ死んで最弱のプランクトン達にタカラレ、分解されていた。


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