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ーーーーーーーーメグロ城下町
商人「今日は遅くなるからね」
妻「またですか……行ってらっしゃい」
子供達「行ってらっしゃ〜い」
閉店時間を迎えた商人は家族にそう言い残して、店の戸締りを済ました商人は裏口を出た。
裏口を出た所には馬車が2台止めてある。
一台は仕入れた盗品を入れる為、もう一台は護衛たちの馬車だ。
商人は山賊と取引する時にはいつも
アスパライアックスというグループ名の
Dランク冒険者五人組を雇う。
お互い顔見知りとはいえ山賊だ……安心できない。
商人「では今日もお願いしますね。」
アスパライ団長「おう!任せろ!……もし襲われても、あんただけは無事に帰すぞ!」
Dランク冒険者を雇うのは情報が漏れる意味でも金銭の意味でも良い事はないが、命は一つしかない。
安全にはいくら金をかけても惜しくはない、
裏取引してると脅しをかけて来ないだけ、
こいつらは良心的だ。
商人「いつもありがとうございます。
成功したら、皆さんには報酬とは別に『美女飲み』の店で宴会の席を用意しております。」
商人の愛人もそこで働いている。
妻なんかとは比べ物にならないほど若く、美しい。
一仕事終えたらそこに行く予定だ。
アスパライ団長は頭に手を置いてペコリとお辞儀する。
アスパライ団長「いつもすみませんね」
商人「さあ、行きますぞ!」
商人達はメグロ城下町を後にして、暗闇の中を馬車で走って行く。
途中ゴブリン等に遭遇したが、たまにある事、アスパライアックスが苦もなく倒して進んで行く。
山賊の拠点がある森の近くまで到達し、馬車を降りる。
森の中、拠点の方で誰かが松明で山の文字をなぞるように動している……いつもの合図だ。
商人とアスパライ団長はそれを注意深くみる。
アスパライ団長「いつも通りですね……」
商人は最低でも10回は山賊の合図を無視する事にしている。
そうすれば国の兵隊などの罠で代わりにやっていたとしても、
相手は動かないこちらを不審がっているか嘘の合図なのではと勘ぐるだろう。
今日も問題ないようだ。
合図の主は実に自信満々に合図を送ってくれている。
商人「そうですね、じゃあ行きましょう」
アスパライ団長は先頭で罠を注意しながら先導する。
アスパライ「罠も問題ないですね……いつも通り、外されています」
商人は少しだけ安心した。
拠点の扉を開き入り、松明に照らされた廊下を歩いていく。
少し歩いた所で商人は初めて違和感を感じる。
商人「アスパライ団長……」
アスパライ団長は立ち止まる商人を不思議そうに見る。
アスパライ団長「どうしました?」
商人「妙です……この通路は、こんなに綺麗でしたか?」
アスパライ団長は壁を確認する。
アスパライ団長「確かに、いつもより綺麗ですな……ですが、罠だとしても綺麗にする意味が……」
入り口の方から足音が聞こえてくる。
見張りが入って来たのだろうか……
後方の団員が叫んだ。
アスパライ団員「スケルトンだ!赤いスケルトンが入って来たぞ!」
団長はとっさに判断し、商人を掴んで大部屋を目指す。
アスパライ団長「後方1人残り、残りは全員大部屋へ走れ!こんな狭い所では不利だ!」
商人達は大部屋へ走っていく。
しんがりを任された団員は斧を構えてスケルトンと睨み合う。
赤スケルトンは武器を構えず腕組みしているが、背後からまだスケルトンが来るのが見える。
団員は赤スケルトンを睨みながら後退りしていく。
商人達は大部屋に逃げ込みギョッとした。
いつも大親分が座っている椅子には見知らぬ紺色のスーツの上にコートを着た貴族が肘をついて顎を乗せている。
その横や背後には大量のスケルトンがいる。
商人「ひゃぁ!」
アスパライ団長「なんだ!貴様!人間か?」
アスパライ団長に睨まれ怒鳴られ、カジロウは少しビクッとした。
カジロウ「騙すような真似をしてすまなかった、だがいきなりスケルトン達を見たら会話をする前に逃げてしまうだろう?……要件は取引をしたいんだ、今まで通りね」
商人「何ですと?……貴方は……一体?」
商人が目の前の貴族を見ていると大部屋にしんがりが入って来た。
しんがり団員「団長!来ますよ!数約10!」
しんがりは団長たちの目線を追い、運が尽きたと思った。
そちらには20程のスケルトンがこちらを見ている。
カジロウ「敵意は無いのです」
一体のスケルトンが宝箱を机の上に置き開けて戻って行った。
中には盗品が入っているのが分かる。
商人「貴方が魔法使いで、スケルトン達を完全に掌握している事は理解しましたが、まだ信用できない……この……」
商人は唾を飲み込む、取引を断って自分の弱みも握らず貴族は私を無事に帰すだろうか……
商人「良いでしょう……ではいつも通り品定めして金額を出しますが、こちらに護衛をつけながら作業してもよろしいですか?」
カジロウ「良いでしょう、ではお互い2名のみ護衛に付けて中央の席に座りましょう」
大親分は常に商人が品定め中に取らないか見張るらしいのでカジロウもそれに習って中央へ行く。
カジロウと赤スケルトン達を前に
商人と団長達は品定めしている。
静かな時が流れる。
品定めをしながら商人は儲ける方法を考えていた。
作業をしながらカジロウに話しかける。
商人「……このスケルトン達は素晴らしいですね、を無限に生み出せるのですか?」
カジロウ「そうですね…限界に達して作れなくなった事は一度もありません」
商人「ほぉ……それは興味深い、
私個人の興味なので不快な質問なら無視してください……
何処まで精巧に動かすことが出来るんです?例えば労働力として使う等は?」
カジロウ「出来るでしょうね」
商人「戦争なども?」
カジロウ「そうですね、実の所は今回の報酬などどうでも良いのです
残念ながら奴隷や傭兵のルートを持っていない為、その口聴き役をお願いしたい」
これは凄い金脈を掘り当てたのかもしれない。
疲れない奴隷なんて!一体100枚の金貨では済まないだろう……商人は胸躍る。
商人「わかりました!お任せ下さい!……ではこんな無駄な時間は終わりにしましょう!」
商人は品定めを途中で切り上げ、机の上に300金貨を置いた。
宝箱一杯に宝石を詰めても大損する額であるが、商人は惜しくは無い。
カジロウ「これでは多過ぎるのでは?大親分から聞いていた額とは桁が……」
商人「良いのです、今後も長い付き合いになりますので」
カジロウは笑い、商人も笑った。
その雰囲気にアスパライ団達も少し気を緩めた。
カジロウ「そうだ!酒を用意してあります……是非飲んでいってください」
商人「有難いのですが、申し訳ありません、
これから馬車で夜道を行く為、
酔った状態ではモンスターに襲われた時に大事になります」
カジロウ「そうですか……では次の機会にでも……」
カジロウは立ち上がり、商人と握手した。
商人「そうだ!……お近付きの印にメグロ城下町で飲むと言うのはどうでしょうか?」
カジロウ「メグロ……フフ……いや、失礼…気を悪くしないでいただきたい……彼処には良い飲み屋があると聞いていたので……だか、スケルトンの護衛を町に入れると言うのはどうだろうか?」
商人「心配いりません、馬車にはローブが数枚積んであります、ブーツとローブを着ていれば暗がりでは分かりませんよ……分かったとしても危害を加えない魔法は街で使用しても違法ではありません」
丁度良い気分転換になるな。
カジロウ「よし、行きましょう」
商人「それは良かった!では行きましょう!お恥ずかしい話ですが、そこに私の愛人もいましてね……」
突然2体の赤スケルトンがアスパライ団に切り掛かり、
防御の間に合わなかった団員1名の首が飛び、
商人の顔に血飛沫が掛かる。
アスパライ団長は赤スケルトンの攻撃を咄嗟に受けて叫んだ。
アスパライ団長「おい!お前ら!……くっ!グェッ!」
アスパライ団長は2体の赤スケルトンを相手にして、斬撃を受けきれずに首を落とされた。
他の団員達は30対3の戦いを余儀なくされ、数の暴力に負けて、メタメタに叩き殺された。
カジロウ「プランB」
ガタガタ震える商人はカジロウが突然不快な表情になったのを見て絶望した……
さっきまであんなににこやかに会話していたのに……命乞いをした。
商人「お…おぉぉ願いです……命だけ……お願いしますぅ!」
カジロウ「昔私にも、愛する人がいたが……お前のような奴は一番嫌いだ!」
カジロウは商人をスケルトンに持ち上げさせて骨犬に乗せ、骨犬と商人を縛り付けた。
商人「痛い!痛い!助けてぇ〜!」
骨犬はピョンピョン跳ねて踊り、商人は叫んだ。
次第に商人は何も言わなくなったので両足をスケルトンに掴ませると、両足が引かれて絶叫しながら股が裂けて死んだ。
カジロウはアスパライ団員4名を骨兵にして、
うち一体と商人死体で小隊長を作成し、
団長の死体は血抜きをさせた。
カジロウ「よし、馬車は麓に隠してある!血抜きが済んだら死体を積み込み、ここを焼き捨てるぞ!」
カジロウ達は馬車二台に武器、金、死体を積み込み、メグロ城下町へと向かう。
山賊の拠点のあった場所はパチパチ燃え上がる。
道中、1匹のゴブリンに出会ったが、カジロウに八つ当たりされ、むごたらしく惨殺された後、骨兵にされた。
ーーーーーーーーーーーー拠点
馬車2
ーーーーーーーー死体
アスパライ団長
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ーーーーーーーーーーーー戦力
小隊長 4
小隊長 1(商人)
骨兵 34
骨犬2
ーーーーーーーーーーーー本
骨兵 召喚 9p
効果時間:永久
説明:人や動物の骸を生贄に人型の骨を召喚する。
骨犬 召喚 29p
効果時間:永久
説明:人や動物の骸を生贄に犬型の骨を召喚する。
骨小隊長 召喚 99p
効果時間:永久
説明:骨兵と骸一体を生贄に
人型の骨を召喚する
10体まで骨兵を統率する
その知識は骸側の物を引き継ぐ
トイドール 5p
効果時間:任意
説明:召喚した骨系兵士を1/10サイズに変換する。
骨罠 召喚 5p
効果時間:3時間
説明:動物に噛み付く罠を地面に設置する。
ゾンビ化 100p
効果時間:3日
説明:死体を生きた物に対して、無差別に噛み付き仲間を増やすゾンビに変身させる。
スケルトンエコ パッシブ
効果時間:永久
説明:骨系魔法の消費ポイントを1p下げる
魔力上昇1 パッシブ
効果時間:永久
説明:マジックポイントの回復量を20上げる
現在のマジックポイント22/107
EXP 24/27
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