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カジロウは必要なものリストを片手に受け入れ準備の確認をしていた。


「早く来ないかなぁ〜……

猫皿…チェック!

肉…チェック!

猫用のベット…チェック!

トイレ…チェック!

籠…チェック!

……よしよし、揃っているな」


『カジロウ様!ドリーが袋を持って飛んでいきます!』


……袋で雑に運んでいるのは少し不快だが……彼女は補佐としての能力は申し分無い、不問にしよう


ドリーは家の外に降り立ち、皮袋の中身を立たせた時、巨大な爆発音が空に響く。


「ひぃ!」

「心配するな、今のは骨達が科学の実験で失敗した音……お前には何の関係もない」


ドリーはそう言うとドアをノックする。

カジロウは扉を開けてドリーと客人を迎える。


「やぁ!遅かったね……もう準備も完璧にしているよ!……」


「こ……こんにちにゃ」

「さぁ!カジロウ様が準備してくださった設備を見るんだ、入れ!」


この人は誰だ?……猫耳?コスプレイヤーならイラッとするところだが……


ブリーダーだったり?……

ああ!そうか!受け入れ先の様子を確認しに来たんだな!海外のブリーダーはそうしてから受け入れ先に渡すって聞いた事がある!


ようし!……猫耳だから猫と会話できるんだろうが!俺の準備に抜かりは無い!


「それでは早速、こちらへ!」

「フフフ……良かったなマタミ……カジロウ様は気に入って頂けたようだぞ?」


マタミは少し悲しい顔で家に入っていく。


「見てくれ!これが餌だ!」

冷気のマジックアイテムで作った冷蔵庫を開いて中に敷き詰められた肉を見せる。


「……美味しそうです……」

「でしょう?」

よしよし、ブリーダーの顔が緩んだ!まずまず好感を得たみたいだな!

だがこれだけでは無い!


「次にこれがトイレです!」

「えっ!?」


カジロウが指差したのは小さい桶に砂が盛られただけのもの……マタミは悪魔の本性を見た気がした。


「カジロウ様……素晴らしい……」

「だろう?骨達に陶芸させて焼かせたんだ」


「さぁさぁ二階へ!二階には猫部屋を用意してますから……」


カジロウに連れられてドリー達は二階の部屋へと入る。


そこには壁に板が張られ、猫が昇る為の棒などが置いてある。


「ここを飛んでもらうんです……どうです?いいでしょう?」

カジロウは自慢げに棒から突き出てる板をトントン叩いた。


猫が自由に飛び回れる空間を作った……これで文句を言うブリーダーはいないはずだ!


「す……少し小さい様な……」

「そんなこと無いでしょう?猫は狭い方が好きだと思うけれど……ダメでした?」


「そうだ!カジロウ様は正しい!文句を言うな!」

ドリーはマタミの肩をたたくとマタミは目を潤ませて下を向いた。


……ファンタジーの猫は俺が思ってるより大きいのかも……失敗した……

カジロウは少し反省した。


「ところでカジロウ様……この部屋にはクローゼットもないので?常に同じ服というのも不衛生……もし良ければわたくしが……」

「ドリー!俺は猫や犬に服を着せるってのが気に入らない!彼らは蒸れやすいんだ!」


「ひぃ!」

「も!申し訳ございません!……しかし、素晴らしい……」

マタミはフルフルと唇を震わせて泣き出し、ドリーは謝りながらもニヤついている。


裸であんな小さなトイレで用を足させ……棒をよじ登らせて愛でる……なんで崇高な性癖なのだ……サキュバスの私でもここまでのものは……


「ドリー!俺の意見に文句があるのか?」

「フフフ……いえ、ございません!……只々素晴らしいと思います」


「で?猫は近くに居るのかな?」

ドリーの顔がギュッと険しくなった。


「申し訳ございません!」

《ビビビビビー》

ドリーは焦りながら急いでマタミの服を破る。


「待て!何やってんだ!ドリー!やめろ!」

「カジロウ様の気持ちを察する事が出来ずに!申し訳ございませんでしたぁ!」


カジロウ様は怒っていて今のは警告……このままモタモタしていては受け入れの話自体流れてしまう。

そう思ったドリーは焦っていた。


「キャーいやにゃー!帰りたい!」

「ええい!傷を付けるわけにはいかない!抵抗するなぁ!」


マタミはドリーと服を引っ張りあっている。



ドリーが錯乱した……よりによって心象が大事な今だ!……ふざけるな!


カジロウはイライラした。

ドリーはそれを感じ取り、さらに焦ってマタミを乱暴に振り回す。


「はやくしろぉぉぉ!」

「こんな所嫌にゃー!私は住みたくないにゃ!帰るにゃ!」

「そんな事言うと村ごと消すぞ!」


「え?……ドリー……どういう事だ、落ち着いて説明してくれ……」


ドリーはマタミの素晴らしさをカジロウに訴えた。


カジロウはドリーの話を聞いて理解した……猫とはこの猫人間の事だったのだ……違うんだ……俺は猫人間じゃなくて猫が欲しかったんだ……


「帰してあげなさい……俺はもう寝る……」

「申し訳ございません……」

ドリーは涙を流して謝ってきた。


「許す……」

猫を連れてこなかった罪で処罰なんて……人の上に立つ者のやる事ではないから不問だが……


カジロウのウキウキ感は消え失せた。

「カジロウ様……明日は魔王会議に……」


「出発だろ?……わかっている……飛行船の準備も既に完了している……」


「そうですか……マタミ!こっちへ来るんだ!」

ドリー達が出て行った後、カジロウはしばらく猫の部屋で動かなかった。



ーーーーーーーー翌日


《ヒュンヒュンヒュンヒュン》


巨大で平坦な土地に飛行船がガスを補充し、プロペラを試運転させながら止まっていた。


「お久しぶりてすなぁ……」

「ああ……今回はよろしく頼む」

カジロウの護衛任務を受けたAランク冒険者のザンガンとそのパーティが

カジロウと共に飛行船に近づいていった。

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