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ダンジョンの入口から罠を警戒しつつ、一本道を進んでいく。
外が暑かったからか……なんだか湿っぽくて涼しく感じるな……
松明の光に照らされている壁に手を当て確認した。
壁はレンガヌメヌメしている……いや、スベスベしているのか?
指で壁をこすったが手は濡れていない……スベスベなんだな……何故
骨シーフは立ち止まった。
『カジロウ様……この先が開けた部屋になっています、そして大量の気配が……』
老人は立ち止まるカジロウ達にに話し掛けた。
「どうしたんですか?」
「ああ、この先に大量の気配を感じる……」
カジロウ達は大部屋の入口に待機し、警戒した。
【ホーリーライト】
ホーリーライトが部屋を照らし、顎の発達した20cm程のワラジ虫の様なモンスター達が光からガサゴソ音を立てながら大量に逃げ回り蠢いている。
おぇぇぇ!……大量に壁や地面に!キモチワリ……
えっと今の隊長の装備は……
戦士が斧2、盾剣5、両手剣1
シーフがナイフ、ハンターが弓、聖職者はメイス……か……
『おい!絶対にこの通路に入れんなよ!』
この虫達に体を齧られるなんて……想像しただけで気持ち悪い……
盾を持った骨戦士3は部屋の入口で通路に来る虫を切り殺しながら待機する。
【スローイングナイフ】!
【マルチショット】!
ハンターとシーフは天井を走って来ようとする虫達を突き殺す。
カジロウが念じると虫の死骸から骨兵が生まれる。
「骨兵は詰まるから、ドンドン虫部屋に入って兎に角虫を叩け!」
骨兵は虫にかじられるのを御構い無しに部屋へ入り殴っている。
『数が分かるやついるか?』
『結構広い部屋です……高校の体育館程度でしょうか?……気配は2000はいますね』
『良し!両手剣1!斧2は部屋に入って虫を潰せ!多少骨兵を巻き込んでも構わん!』
骨兵は小隊長が居ないと統率できない……隊長達は虫より骨兵を邪魔に感じているようだった。
隊長達は突撃して虫を叩き潰していく。
【アックストルネード】!
斧隊長はグルグル回って骨兵と虫を次々巻き込み潰し、汁を飛ばしていくんでいく……
カジロウには虫の死亡判定がピクピク動いているのは生きてるのか死んでいるのか?
よくわからないので骨兵召喚を念じ続ける。
気配で分かる……もう骨兵が500程生まれた。
「カジロウ様……ワシも早く……」
老人は愛用の両手剣をギュッと抱きしめていた。
「良し!いいだろう!」
カジロウは護衛に老人の首を落とさせ、即座に隊長にした。
『こ……これは……この感じ……若い頃……いやそれ以上の力の充実だ!……しかし……闘気は練れん……のか……』
む?……闘気?……この爺さん……魔法使えるのか?
『爺さん!魔法が使えるのか!』
『魔法かは微妙なんです……私が作ったオリジナル技でした……生前は老いて使えなくなりましたが……』
やってみるか……行ってこい!
【魔力注入】!
老人隊長は部屋へ突撃していった。
【オーラブレード】!
【オーラマント】!
老人の剣から放たれた光る斬撃が虫を切り飛ばし、老人が動く度にマントは虫を切断する。
おお!爺さん!ナイスだ彫り出しもんだ!
老人は興奮の中にいた。
『テレパシーによる仲間との連携……剣を力一杯振り続けられる無限の体力……恐怖や焦りで動けないことは無い……』
『爺さん!久し振りだな……懐かしいな、その技、憧れて練習したのに……結局俺には会得できなかった……』
『おお!お前は……確かヒヨッコの……』
隊長は直ぐに部屋の2000の虫達を平らげ、骨兵は2165出来上がっていた。
カジロウはワラジ虫のいた部屋へ入り、あたりを捜索させた……宝箱も何も無い……
『カジロウ様!何かがまた来ます!数は20程です!』
『何?』
『カジロウ様……恐らくワラジ虫の体液の匂いにつられた大物ですじゃ……警戒してくだされ』
『よし!この部屋で迎え撃つぞ!』
「骨兵共は邪魔にならない様に部屋のから馬車へ行け!」
次第に大物昆虫の足音がヒタヒタと聞こえてきた。




