妖精の魔法使い
獣人、あるいは魔法を使役する、種として優れた特性を持った者達が人口の大多数を占める中、わたしに
代表されるひと、という種は、特別な能力を与えられていなかった。ただ、管轄された地域にひきこもって
いれば比較的、安全は保障されてはいたのだけど。そんな環境で十数年を過ごしていた。
一八歳の誕生日、わたしは特別区を離れることを決めた。つまらなかったとか、中での生活に嫌気がさし
たとか、そういった理由ではない。同じ学区の生徒とは仲良くやっていて、それなりに楽しい人生を送って
いた。けれども、魔法障壁に覆われた内地の向こうには、一体どんな世界が広がっているのだろうか。と、
気になってしまい、外の世界に飛び出したんだ。うん、まあ、後悔しているよ。
それから最初の内は生きていく術を身に付ける必要に迫られて、懇意にしてくれていた教官の伝手を使い
薬師の先生の、というかくそったれで優秀な女性の元で従者としての知識と、技能を叩きこまれた。
そして今は、魔法力の夏を避ける目的で外界を渡り歩いている。
※縦書きPDFでの閲覧を推奨します。
代表されるひと、という種は、特別な能力を与えられていなかった。ただ、管轄された地域にひきこもって
いれば比較的、安全は保障されてはいたのだけど。そんな環境で十数年を過ごしていた。
一八歳の誕生日、わたしは特別区を離れることを決めた。つまらなかったとか、中での生活に嫌気がさし
たとか、そういった理由ではない。同じ学区の生徒とは仲良くやっていて、それなりに楽しい人生を送って
いた。けれども、魔法障壁に覆われた内地の向こうには、一体どんな世界が広がっているのだろうか。と、
気になってしまい、外の世界に飛び出したんだ。うん、まあ、後悔しているよ。
それから最初の内は生きていく術を身に付ける必要に迫られて、懇意にしてくれていた教官の伝手を使い
薬師の先生の、というかくそったれで優秀な女性の元で従者としての知識と、技能を叩きこまれた。
そして今は、魔法力の夏を避ける目的で外界を渡り歩いている。
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