仮面のあの子
悪魔である父のプート。母のフルー。
天使であるガブリエルとその二人の副官が封印に出かけて、おそらく帰りは遅いものだろと思った矢先に、帰ってきた。
ものの三十分もしないうちだ。
「いやー、大変でしたね。」
ガブリエルには疲れた様子はないのだが。
「お茶にでもしましょうかね〜。」
そう言うとフルーは早々に台所にいってしまった。
円卓のテーブルに6人が座る。
始めは副官の二人は座る事にためらいを見せていた。
ガブリエルがいくら促そうとも副官が横に座っていいものか?と戸惑う。
アリエルは「え?え?」
っと戸惑う可愛い挙動を見ていたかったのだがプートに勧められ覚悟を決め座っている。
「さて、今回の一連の出来事に不可解な点がありますね。」
ガブリエルが顎をさすりながら話す。
「なぜここに『はぐれ』が来たか?ですね。」
フルーが答える。
「もう数十年も姿を現さなかった、見た姿も闘気の片鱗さえ感じれなんだ、にもかかわらずな。」
プートも答えながら、また自分自身にも投げかけたように考える。
突然。
「たまたまだな!うむ!!」
父は考えるのやめたようだ、考えてもわからないものはわからない。僕からしてみたらそもそも天使や悪魔なんて規格外、金田一さんのお孫さんや一向に大人に戻れない頭脳は大人の男の子だって推測もたてれる存在じゃない。彼らだって相手は必ず人間に限定されてるはずだし。
そんな人達が総じて『はぐれ』はよくわからないモノって言うんだからわかるはずもない。
「そうですね。。。」
ガブリエルは答える。
「時にアリエルと言ったか?」
父は急に思い出したかのようにアリエルを見る。
「はい、なんでしょう?」
急に振られて戸惑っている、上から目線はどうした?天使ちゃん。
「その仮面の下は呪いの類か?」
「はい、そうですが?」
「みせて見てもらえないか?」
「いいですが、子供には少々。。」
「大丈夫です!」
平気だ、なんせこちとら前世では自分の醜い身体を毎日みていたのだからな。
それにアリエルの顔が見てみたい。ただそれだけ、単純にそう思っただけだった。
「そうですか?」
仮面を外す。
なにか顔を伝い垂れる、黄色いもの、膿だ。
直視する、
外傷はほとんどみられない、ただ、皮膚の下に虫のようのものが何匹か這いずり周り皮膚から出ようとしている。
出ようと皮膚が裂けた箇所から膿がでているのだ。
だが僕は不思議と「綺麗」と思ってしまった。
いや、言葉にでていた、
「ふふ、ありがとう。」
慌てた、そりゃー慌てた。劣化の如く怒られても仕方のないことだろうとも思った。口ではこうは言ってるが内心軽蔑されたか、怨まれたかもしれない、醜い姿だからこそ仮面をしていたのにもかかわらず、不謹慎極まりない言葉だった。
僕だってそうだ自分が隠したい見せられない部分を他人に見られたらどうだろう?嫌に決まっている、感想なんか聞きたくもないし、それがあまつさえお褒めの言葉だったらどうだろう?確実に馬鹿にされたと思うし確実に信じないし嫌う自信がある。よくも知らない相手にその一言で心のA○フィールドはぶっ壊される。そんな事を言ってしまった。
僕の思考回路は今や後悔と言い訳と後悔と後悔が脳の回路を巡りに巡っている。
だが!決めた!僕は言い切る!!
「はい!綺麗です!正直で嘘、偽りのない言葉です!たしかに僕はガキだから不謹慎な事を安易に言いました。それについては謝罪します。ですが、きっとこの場でなくてもその顔を見たら見惚れ無意識の内に声に発していたでしょう。僕は悪魔です!嘘もつくでしょう。あなた達から見たら僕は醜いのでしょう。ですが
僕はあなたはが美しく思います!」
「キャー。」
フルーが骸骨の顔の癖に顔を手で覆い指の隙間から茶化す。
イラッとする、この手の冷やかし方はなぜか地獄だろうがめっさイラッとする。
アリエルを見る、
顔が明らかに赤くなっている。
可愛い。地獄だろうがめっさ可愛い。
「アス!もういいか?」
親父殿はイラッとしていた。怖いよ。パピー。
再度、親父はアリエルの顔にかかっている呪いをみる。
「これはオセに障られたものか?」
「は、はい!そうです、『天の戦い』で一方的に好かれたみたいで事ある事に襲ってきまして、攻撃術式の取るに足らない箇所に組み込まれていたみたいで見誤り油断しました。」
「そうか、治せるがどうする?」
アリエルは驚いていた。
あとで知ったのだがこの手の呪詛術式はかけた相手にしか解くことはできないからだ、
「本来なら、いや昔からのやり方ならば相手の『精神体』をズタズタにした上で術式を解かせるのだが、俺もガブもお互いそうしてきたしな。戦士たるお前の矜恃を無下にしたくないのだが、しかし今や肉体を持つ身だと少々厄介ではないか?」
「おっしゃる通りですね、不便極まりないです、それに昔と今とでは天と地ほど我々の価値観は違いますよ、プート様もそうでしょ?なのでお願いします。」
プートは二ヤっと笑い、自分の手をアリエルの顔に向け掴んだ。
地球ではこれをアイアンクローと呼ぶ。
魔術の詠唱などはない、ただ掴んでいる腕から文字のタトゥーが浮かび上がる、例えるならニコニ○動画のあの横に進むコメントのように腕から流れアリエルの顔にタトゥーが収まる。黒い煙が少し上がり虫のピギャーだかなんだか、わからない断末魔が聞こえて手を離す。
手品か!!ハンドのパワーすげぇぇーー。
いや!それより!かわいい!!
また声に出ていた。
反省する。
だがアリエルも頬を赤くしてくれている。
「ありがとうございます!!」
残されたままの膿も忘れ頭を下げていた、実はすごく嬉しいのだろう。よかった。
「いや、いい。俺もあいつが嫌いだからな、あいつはこの手を好んで使う。戦わずに逃げてほくそ笑む、胸糞が悪くなるからな」
あーだから、イラッとしてたんですね!
でも怖すなのでやめていただきたい。
「私からも礼を言うよ、プート!さて、アスを借りるよ?」
ガブリエルが僕の手を掴む。
「ああ・・アス!ガブから離れんなよ。」
「外で散歩しようか?」
なんかドキドキしちゃうw