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もどかしい。
もどかしい。
何が何だかわからないけれど、もどかしい。
灰色の空を見上げた。メタセコイアの緑からは微かな葉音が聞こえる。
七時間目のロングホームルーム。修学旅行の下準備中だ。
「七班さん! 予算書しか出てないよ!」
突如聞こえた、担任の耳に触る声。もう少しどうにかならないものか。
そんなことよりも。いつか、どこかで、だれかに、なにか伝えたいことがあったような気がするのだが。何のことだか、全く浮かばない。
学校にはいい子が多くて楽しいけれど、女子は怖いし、担任はうるさいし、部活はハードだし。
何かと不満というか、なんというか……。いつも結局、よくわからないの七文字で終わらせてしまう。何事も面倒くさいのだ。
私はよく大爆笑をする。心の奥底から笑えていると思う。それでも数秒後には大きなため息をついて空中を眺めてしまう。
どうして、今、ここにいるの。
なんで、笑えているの。
答えを聞かせて。
卯月の灰色は答えない。