りょうたんから
いよいよ終わりです。
またいつか改正番を書きたいと思います。
その時はまた読んでやって下さい。
僕はその日からご飯を残さず食べる様にしたんだ。
お姉さんもお兄さんもいろんなご飯を作ってくれたよ。病院にもがんばって行って、注射もしたよ。
お散歩もがんばって、電車の駅まで歩いたんだ。
お姉さんが乗ってると思ったら、電車の音も恐くなかった。
でも、だんだん寝ている時間が長くなっていったんだ。
夏のおわりの暑かったある日。
夜、蝉時雨が鈴虫たちの鳴き声に変わった頃、僕は横たえた重たい身体を引きずる様に持ち上げて立ち上がる。
もし、寝てしまったらいけないから、「今日もありがとう」って挨拶にしておくの。
お兄さん、お姉さんじっと僕を見ているよ。
大丈夫だよ。
少し横になるだけだから。
フローリングの床が気持ちいいんだ。
瞳を閉じる。
まぶたの裏にある、そこは靄がかかった場所だった。
湿度の高さはそこを視界をひどく限りなく零にしていた。
僕とお兄さんとお姉さんは川原にいる。
リードも付いていないから自由に走り回ることも出来る。真っ白い靄をかっきり前足から川の中へ入っていく。
足元にはいつか見た小さな魚が、いっぱい寄ってきてはチョンチョンとついばんでくる。
僕は足が届かない深さの所まで来ると手足を使って泳ぎ出す。
振り返るとふたりは「戻っておいで」と何度も叫んでいたよ。
風がサーッと葉っぱや匂いをさらって行く。
「りょうちゃん、ダメ!」
お姉さんが叫んだのが背中で聞こえた。
僕は振り返らずに、泳いで行く。
お兄さん、ありがとう。
泳ぎの練習してくれて。
グイグイ向こう岸まで泳いたんだ。
振り返るとふたりは、もう見えなくなってたよ。
行きたい所があるんだ。
また次に会ったら教えてあげるね。
僕は草むらをザックザックと胸を張り進んでいく。
また、会おうね。
お兄さん、お姉さん。
りょうたんから
初めてなので色々戸惑いました。
未だに投稿などうまくいかず折角書いたものをけしてしまったり。
次からはエッセイを書いていきます。
今後も読んでやって下さい。
宜しくお願い致します。