くらいセカイ
どうも柚子胡椒と申します。大変読み苦しいとは思いますが
呼んで頂けたら幸いです。
嫌だ、寄って来ないでっ!
私のすべてを奪わないで!
ピピピピピピピピピピ!
目覚まし時計が鳴り響く。
ここは、どこだろう、?
長い間眠っていたような気もするが、短い時間眠っていたようなそんな不確かな目覚め。
それになんだろ、体がうまく動かない様な気もする。
「・・ここは、?」
私の小さな言葉は雨音にかき消された。
この部屋は、、寝室?かな?
「お嬢ちゃん、目が覚めたかい」
背後のドアが空き、男の声が聞こえた。
「なぁに、そんな不審者を見るような目で見なくても大丈夫だよ、何もしない。」
現れたのは白髪赤眼の白衣の男。身長は高く体は痩せ細っているが足取りはしっかりしてる。
「あ、、あなたは、?」
「あぁ、名乗るのを忘れてたな、とは言いったものの、名乗るのは面倒だ。ドクターとでも呼んでくれ。
ついでに今お嬢ちゃんが居るのは俺の自宅と病院を兼ねた教会だ。」
「、、病院、?ということはあなたはお医者様、、?」
「まぁそんなところだ。ヤブだがな。」
男はニヤニヤしながら答えた。その顔のまま驚くべき事実を吐き出した。
「お嬢ちゃん、半年も寝てたんだぜ?ずっとうなされてたぞ?何か訳ありみたいだが、?」
「・・っっ!」
心臓を鷲掴みにされたようだった。まどろみの中で滲んでいた記憶が戻って来た感覚がした。それは逃れようのない絶望。無慈悲に振るわれる暴力。絶対的な孤独。
「、、っはぁ!!はぁ!」
気づくと病的なほどの汗をかいていた。呼吸を忘れてたようだ。
「すまねぇ、思い出させるつもりはなかったんだが、やはり過去に何かあったな?」
「なんで、、わかる、の?」
「そりゃ、そんな体してたら誰だってそう思うだろ?」
そう言われて私はおもむろに体に乗った毛布をどけた。
すると見えた私の体はツギハギの後があり、顔にまで及んでいる。肌は病的なほど青白い。まるで死人のような出で立ちだった。
「・・ひっ!!」
「まぁ、無理も無いよなそんな体。」
「、、どうしてこんな体、?いやぁ、」
「どうしてって昔のこと覚えていないのか?お嬢ちゃんは、傷だらけの体でスラム街の道端に倒れてたんだよ。それを引き取ったってわけ、おぼえていないかな?」
「・・おぼえていない、、」
「せめて名前くらいおぼえてないかな?このままお嬢ちゃんって呼ぶのは少々気が引けるな、、」
「なま、え、、?」
思い出そうとすると靄がかかってるみたいに思い出せなくなってしまう。
「、、思い、出せないみたい。」
「、ごめん、なさい」
お母様から頂いたたった一つの名前を忘れてしまった、私とお母様をつなぐものをなくした気分だった。
「仕方ない、俺がつけてやるから、、、
フレンデル、、フレンデル=クシルと名付けよう。今日は君はフレンデルだ。いいね?」
正直、嬉しかったのを覚えている。
「ふふふ、変なお名前」
「あっ!初めて笑った!」
これは1人の女の子の御伽噺
いかがだったでしょうか?この物語は時代設定や季節設定などを決めておりません。皆様の頭の中でそれぞれの物語を作って頂けたら嬉しいです。
それでは皆様、想像して下さい。