6話 水の都レヴァイアスン
ご無沙汰しております。
ちょっと久々なので内容がブレてるかもしれませんので違和感がございましたら報告お願いします。
天に登り人の姿に戻ったリョーマが未だ空中に浮く竜馬車の中に入るとアーシャが飛びついてきた。
「遅い! もう……私をあまり心配させないで下さ――――キャッ!」
飛びついてきたアーシャに押し出されて危うく馬車から落下するところだったリョーマは慌ててアーシャを押し倒して車内に踏みとどまる。
「危ないって、遅れたのは悪かったと思うが、王子とやらはぶん殴ってきた、早いとこ次に行こうぜ」
「次ですか? ……次はここからだと水の都レヴァイアスンでしょうか」
「水上都市か、塩水でもないのに海みたいになってるとこだったか、なら飛んでいくべきか?」
水上都市レヴァイアスン、広大な湖に囲まれ城塞としても優秀な都市でありゲームでは湖の端は海とつながっていて特殊な水生モンスターの宝庫だった。
水上、水中を問わず様々なドラゴンやモンスターが生息しているため航路での侵入はまず不可能とされるが空路であっても許可がなければ都市の守護竜が出てきて迎撃される為。
正式な手順としては定められた関所を通り、税を納めてから護衛の飛龍に連れられて入るしかなく、手続きには時間がかかるため一日五組程度しか行くことは出来ず関所付近には宿屋も多い。
「きちんと関所を通らねば攻撃されますが……今更ですね、リョーマ私はこの度でリョーマ以上の男性など居ないという事をお父様に示さねばなりません、つまりこれから行く先々の国を滅ぼしても進まなければならないのです」
アーシャの言い分に少なからず引いてしまうリョーマ出会ったが先のパリューゲンの事を思えば確かに今更かと思い直し覚悟を決めて立ち上がる。
「それじゃあ水上を進むか、滅ぼすっていうのならあそこの資源は水だからな、干上がらせる事なんて大したことないし」
「えっと、私はそういう意味で言ったわけじゃ……でも、そうですねリョーマが決めた事なら私はどこまででもついていきますよ」
「それじゃあアーシャには悪いがまたここで待っててくれ、一応この雲で近くまで行くがそこからは俺が障害を排除してそれから迎えに来るから」
「また待たなければいけないの? 無茶なお願いだとは思いますが私も連れて行って下さいな、もう待つのは嫌なの……」
アーシャは縋り付く様にリョーマに抱きつき、上目遣いで目を潤ませながら頼んだ、流石のリョーマもこれには思うところがあったのか少し悩む素振りを見せてから答えた。
「んー俺のかっこいい勇姿を見ててくれって思うが、正直危ないし何より俺が戦う姿ってドラゴンだしな……アーシャはドラゴンの姿ってあまり好きじゃないんだろう?」
連れて行くのには何ら躊躇う理由はないがドラゴンが苦手だというんじゃ近くには置いておけないしなというスタンスを示すリョーマに間髪入れずアーシャは答える。
「私は! 確かにドラゴンは好きになれていないのかもしれませんが……それがリョーマであるというのなら私はドラゴン嫌いを克服するためについて行きたいのです!」
アーシャはこれまでリョーマがドラゴンに変身するところを幾度となく見てきて、それによりリョーマ限定ではあるがドラゴンという存在を受け入れようとしてきたのだった、そして今回その想いが置いて行かれた時の不安や寂しさ、戦うリョーマを心配する気持ちなどでどんどん膨らんでいき破裂寸前にまで達していた。
そうなってくると困るのはリョーマだった、確かにそう言う傾向はドラゴン好きのリョーマにとっては喜ばしいことだが、逆に戦場に出た場合のことを思うと余計にドラゴン嫌いが悪化するのではという懸念もあった。
確かに間近に置くということは一緒に戦うってことだが、そうなると襲ってくる敵ドラゴン達によってアーシャが怖い思いをして更なるトラウマでも生まれたら取り返しも付かない。
「やっぱりダメだな、戦いとなると危ないし……見るだけでいいんなら一応出来なくもないんだが」
「それじゃあそれでもいいです、何もわからないのでは嫌なだけなのでそれでもいいです」
ここいらが妥協案だとアーシャも感じ取ったようでリョーマにお願いしますと頭を下げた。
「竜魔法、遠見の竜眼……この目玉を見つめてれば俺を背後から見えるようになるから」
目玉というより宝石のような輝きを放つ水晶玉のようなものをアーシャに渡したリョーマの背後にそれと似たような対となる水晶玉が現れた。
「それじゃあここで待っといてくれ、ちょっと一飛びしてレヴァイアスンを潰してくるわ」
「いってらっしゃい」
リョーマは竜馬車を飛び出しバルバランドに変化して飛び去った、現在地は未だパリューゲンよりの上空でレヴァイアスンまでは少し距離があったがアーシャの安全面を考えるとこれが一番だと判断した結果だ。
そしてレヴァイアスンの領空に入ったリョーマは更なる変化をもたらす詠唱を始める。
「我は氷成りて、大地を凍てつかせ、天を覆い、海を凍らす……我は北の果て極地にして太古の時を留める氷にして、星の記憶なり『氷海凍結の始祖竜、亜武装龍刀零、招来』」
微細な氷が吹付けバルバランドの体を凍りつかせ、背後の空間から現れたる巨大な龍がその身を丸呑みし、核たるリョーマと同化した後に眼下の水面へと着水――――それと同時にそこに連なる全ての水という水が凍りつき、氷の大地を形成した。これで水中からの敵に警戒せずに済む、そしてレヴァイアスンからは既に守護竜がリョーマへ向けて飛び出してきていた。
リョーマはそれを吹雪ブレスを吐きかけ迎え撃つ……これより氷による氷のための氷漬け蹂躙祭りが始まるのだった。
そして世界征服ルートへ。