竜はウサギを乗せて配送する。
タナカハナ様の人外宅配便の企画の参加作品第二弾として参加させていただきます。
今回は大夢の愛竜ななの目線です。
ねえ、大夢
なげくことなんかないわ。
「なな、今日もお疲れさま。」
私の竜騎士が優しく鱗を拭ってくれてる。
白いミツアミが背中で揺れてる。
「なんで、僕、小柄なのかな?」
大夢の悩みはつきない見たいね。
『ウサギだからじゃない?』
なぐさめるつもりで言った。
「ななまでひどい!」
大夢は赤い目をウルウルしてた。
私の竜騎士は白ウサギの獣人なのよ。
ふだんはウサギ型で私の世話をするときとか
大きい荷物を持つ時だけ人型になるの。
だから貴重な人姿なのよ。
『ななちゃん、あんたんとこの騎士ちゃん相変わらず可愛いわね。』
同じ竜舎のセレンが言った。
『大夢の悩みのたねなのよ。』
私は言った。
『あんだけ可愛いければ、男なんて選り取りみどりでしょうね。』
セレンが言った。
『大夢は男なのよ。』
セレン、お馬鹿ね。
『し、知ってるわよ。』
忘れてたわね。
私が女なんだから大夢が女のわけないでしょう。
騎士竜は育てる騎士と逆の性別で生まれるんだから。
セレンの騎士のガルフィードさんも男じゃないの。
「なな♪おはよう」
次の日の大夢は復活してたわ。
『おはよう♪仕事?』
私は言った。
「うん、行こうか。」
そういってふわふわの毛皮の感触が背中に乗ったわ。
「相変わらず可愛いね。」
井上さんがハピネスさんに乗りながら言った。
「僕は男ですよ。」
大夢が悲しそうに言ったわ。
今日も空が青いわね。
大夢の座ってるところがぽかぽかね。
「こんにちは、ドラゴン急便です、お荷物お届けに参りました。」
大夢が声をかけると
小さい女の子が出た来たわ。
「お母さん~、うしゃぎさんがきたー。」
その子の後ろからやっぱり小さい女性が出たきた。
「御苦労様、判子です。」
その小さいお母さんは言ったわ。
小人族かしら?
「保子、誰から?」
旦那さんらしき男性も出てきたわ。
「知美さんが明菜の誕生日にケーキとプレゼント贈ってくれたみたいよ、御礼いっといてね。」
小さいお母さんが言ったわ。
「うん、わかった。」
旦那さんは言ったわ。
「ともおばちゃんありがとう♪」
女の子は駆け回った。
「判子お返しします、お誕生日おめでとうございます。」
大夢はにこにこして言った。
「うしゃぎさんー、バイバイ!」
元気に見送られて大夢も手をふりかえした。
ウサギの手だとなんか可愛いわ。
「こう言う、配達なら楽しいのに。」
大夢はため息をついた。
「今日は、ドラゴン急便です。」
ちょっと大夢、テンション低いわよ。
「光田さん、いらっしゃい。」
家の扉から出てきたのはあの顧客ね。
「お荷物お届けに参りました。」
その荷物が重いので大夢は珍しく、人型よ。
狙ったわね。
「光田さん、重いから玄関までお願いしますね。」
その男はなめまわすように大夢を見たわ。
「はい。」
この顧客、大夢指名なのよね。
「光田さん、私の個人秘書になりませんか?」
顧客が言った
「僕、デスクワーク系の資格持っていませんからお断りします。」
玄関に荷物を置いて大夢が言ったわ。
「別にいいんですよ、給料は今の三倍出しますよ。」
顧客は言ったわ。
それ、秘書じゃなくて
愛人のお手当てでしょう?
この人、大企業の社長らしいもの。
男なのに男の大夢がいいの?
「いいえ、お断りします、判子をください。」
大夢が伝票を差し出した。
顧客はそのまま大夢の手を握った。
「つれない事いわず、一緒に暮らそう。」
顧客は色気のある声で言った。
「判子ください。」
大夢は言った。
『大夢大丈夫?』
私はやっと出てきた大夢に言った。
「あの、変態ヤロー。」
大夢が言った。
『きをとりなおして仕事しましょう。』
私は言った。
「うん、なないこうか。」
そういって大夢はいつも通りのウサギ姿で
私に乗った。
次の配達先はどこだったかしら?
「光田くん、後閑様にまた、迫られたらしいね。」
大夢が私の世話をしてるところに
わざわざきて高田主任が言ったわ。
「なにか、苦情がありましたか?」
大夢が言ったわ。
「むしろ、今後とも君指名できたよ、後閑様の個人宅の分は。」
高田主任が顔をしかめた。
「そうですか。」
大夢がため息をついた。
「まあ、セクハラされたら言ってさすがに会社も動くだろうから。」
高田主任が大夢の頭を撫でた。
ねえ、それもセクハラだと思うわ。
大夢、嘆く事なんてないわ。
大夢はちゃんとした男性なのに。
勘違いする連中が悪いのよ。
だから、気にせず
お仕事頑張りましょうね。
私の可愛い竜騎士様。