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見世物サーカス

作者: 火野村

『サーカス団 Walking Dreams』

ガラガラ ガラガラ


街に響く馬車の音

大きな馬車

華やかな馬車

馬車の上

笑う異形の人達

虹色紙吹雪

ライトグリーンのチラシ

白昼夢ウォーキング・ドリーム

見世物サーカス


『いらっしゃいませ、チケットを拝見させて頂きます、はい、確かに!それではご入場下さい!』


入り口の一つ目少女

大きな目が輝く

開く怪しげなカーテンが

私をサーカスへ誘う


『レディース・アンド・ジェントルメン!今夜はご来場頂きありがとうございます!』

『今日貴方が何を見るかはお楽しみ、どう思おうとも貴方の勝手!』

『さぁ、楽しんで行って下さい!』


叫ぶ大きな口の子供

にやりと笑った悪い顔

思い出される都市伝説の女


ああ、ショウが始まる


登場するは一人の女

華やかな衣装

美しいブロンド

そんなこと気にしてられないような

10本の足の曲線美

脳裏に焼き付く歌う彼女


お次は手と足の多い男

肩の腕の背中の手

3つの右足

6本の指

イッツアショータイム

可愛らしい手品


その次は口の多い女

5つの口を開けてみせて

赤毛を揺らし

赤い火を噴く

赤い衣裳を纏いながら

火で照らされる無邪気な笑み


目の多い男と女

ギョロギョロと

百目を動かしてワルツ

観客の子供をステージに呼んで

ああ

なんて楽しそうに踊るのかしら


それから馬のような女

反対に曲がる妙な足

蹄のような靴

四つん這いで玉乗りをする

玉の上でジャグリングする

観客たちは感嘆の声を

観客たちは盛大な拍手を


次は真っ白な男が登場

高い台の上 手を振る

そのまま一歩踏み出して

ぐらぐら綱渡り

なんとか渡りきった

彼の笑顔は少女だった


そして真っ黒な男が

獣を引き連れやって来る

蛇の首飾り光らせながら

ライオンと目を合わせる

火の輪をくぐる獣たち

火と獣と男の黒が

戦いを彷彿とさせている


大きな水槽の登場だ

ぱしゃりと水の音がする

魚男が跳ねて泳ぐ

美しく舞うようにして

最後に観客に微笑んで

水槽ごと舞台袖へ消えていく


どうやらこれで最後らしい

女の子双子と男の子双子

どちらも二人で一人な子

皆に見上げられる中

スポットライトから逃げるように

空中を舞っていく

ブランコが揺れる

双子たちはどこか不気味に笑う


最後は拍手喝采也


カーテンコール

花とおひねりが飛ぶ

手足のない美人は団長と名乗った


『皆様、楽しんでいただけましたでしょうか』

『本当にありがとうございました』

『どうか、また来て下さいね』


最後は皆笑っていた

彼等は皆笑っていた


二度と来るか見世物サーカス

また来ようね見世物サーカス


私は彼等の笑顔が忘れられなくて

また彼等と会いたくなった


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