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第一乃書「神殺しと認知」

人間は、それ単体として独立して生活することができる。しかし、元々私たちは二つで一つの存在だった。

私達が、不完全で欠乏に満ちた存在であることは証明すら必要ない自明の事実なのだ。


私達は、産まれた時から自分の、もう片方の片割れを探してい生きることを運命づけられている。


それは、意識的というよりも無意識的に行われている。


しかし、私は知ってしまったのだ。


容姿、思考、身体構造の異なる二者は本来、別の個体だと考えられる。


しかし、世界中の全ての人間のうちのただ一個体は、自分と呼応しており、自分の不完全な部分を全てもっており、逆にその個体に不足する部分を全て自分が持っていることになる。



これを知ったのは、ほんの偶然からだったが、私は鳥肌がたった。



私は、師の教えに忠実に生きていた。師はとても徳のある人間で、他人の持ち合わせていない教養を身に付けていることから、周囲から畏敬の念を受け、さらに疎まれてもいた。


聖職者によくあるタイプの胡散臭さはなく、ただ仁徳を金備えた人間だった。


しかし、何事にも無器用で要領が悪く万人に教えを説く事は苦手としていた。


人間は欲望に忠実な存在なので、道徳や律法をしばしばおろそかにしてしまう。


だから、それを守ろうとするのは非常に困難だった。

ある日、私は師の教えを破り聖なる生き物を射殺してしまった。猟銃を持った私はすっかり野蛮な人間さながらに殺してしまった。


私は泣きながら神に、また師に許しを請うたが、妙にサバサバした気持ちになった。


自分が今まで、法や仁徳を忠実に守ってきたのが嘘のようだった。


師はすっかりそれを見抜いていて、


「お前は自分の中の神を殺したのだ」


と言った。


私は、その言葉すらも心に響かなくなっていた。ただ、これが人間というものか…と思ったのだ。


私は師の元を去る時に、師の秘密を知ってしまった。

師は寝床で自分が神を殺したしたことを喜んでいた。

師は


「今や、不完全な二者のうちの片側が神殺しを行う事となった。そして、それはもう一方に神の導きがあったということだ。」


と叫び。


「あのヒトラーが私の片割れであったように、彼の片割れはきっと世界を救うに違いない。私はこの時を待ち望んでいた…」


そして師は、そのまま絶命した。


私は、この事実をつきつけられて以来、私が神に忠実に生きたことすらこの裏切りのためにあったのだと思うようになった。


そして、私は自分の片割れというものをこの目で確かめてみたいという欲求にかられた。



そうやって片割れを意識すると、不思議なもので自然と自分の片割れが誰なのか分かるようになった。


私は夢の中で、片割れに出会った。


彼女の名は

「エリアーデ」

。理知を持ち、多くの書を読む女。あの日、私が神を殺した日に神に導かれた。

彼女の頭の中には世界があった、それは真理だった。

頭の中に真理を隠した女性

「エリアーデ」


私は、日々彼女の存在が心の中で大きくなっていくのを感じた。



彼女が死ねば、永遠に真理は失われる。そして、彼女を守ることが私の使命なのだと気付いた。


運命の歯車は回り始めた。世界は因果律のなすままに私とエリアーデを引き合わせるだろう。



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