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第二話 バルクアップは対話より優先される

「……それで、召喚された勇者様たちは、魔王軍を……」


 モグモグ、ゴクン


「ええと、聞いていらっしゃいますか? 那由多なゆた様」


 石造りの厳かな教会の前庭。

 本来なら聖歌が響くはずのその場所で、今、激しい爆ぜる音と肉の焼ける芳醇な香りが漂っていた。

 俺は教会のベンチを薪代わりに叩き割り、即席の焚き火を作った。そこに仕留めたばかりの熊の腿肉を突き刺し、豪快に炙る。


 味付けは、腰のポーチに忍ばせていた岩塩のみ。だが、今の俺にとってこれ以上の馳走はない。


「聞いてる。だが、俺の細胞が栄養を求めて叫んでるんだ。……リリス、と言ったか。お前も食うか? 良い筋肉になるぞ」

「いえ、私は結構です……というか、この聖域で熊を焼いて食べる方は初めて見ました」


 リリスは引きつった笑みを浮かべながら、改めて自己紹介をしてくれた。

 彼女はこのアナザーワールドの聖女であり、増長した転生者たちを止めるために禁忌の召喚術に手を染めたのだという。


「……現在、このアナザーワールドは神から授かった『権能』を悪用する転生者たちによって蹂躙されています。私の生まれ育ったこの村も、ある一人の転生者によって事実上の支配下に置かれているのです」

「間引き、だったな。そいつらを全員ブチのめせば、俺を元の修行場へ帰してくれる。……そういう契約でいいんだな?」

「はい。不本意ながら、もはや彼らはこの世界の害悪。……那由多様のその、理外の力で、どうか彼らを現実世界へ──」


 リリスが悲痛な面持ちで頭を下げた、その時だった。


「──獣臭いなぁ。せっかくの聖域が台無しじゃん。俺様の村で何してくれてんの?」

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