第9話:異能力者テスト①
「お~姫ちゃん、来たか~」
眠そうな顔で手を振る女の子がそこには居た。
「木戸さん、姫ちゃんはやめて下さいと、何度も言ってるじゃないですか……」
「えー良いじゃないか~、私の娘と仲良くしてるんだし。それに姫ちゃんの身体は隅々まで知り尽くしてるんだよ~?」
なんだろう、少しマッドサイエンティストな感じの喋り方が癖になる人は……。
「変な事言わないで下さい!! それに静香さんとは生徒会で一緒なだけです!」
顔を赤くして西園寺さんが怒る、というかこの身なりで子供いるのか……。
「んで、彼が例の?」
「はい、神と出会った少年です」
「ふーん、じゃあ……えっと……」
「初めまして、小鳥遊 鷹翔です」
「そうだそうだ、タカト君だタカト君。いやぁ……最近忘れっぽくてね……」
「忘れっぽいって……見た目はかなり若いと思うんですけど……」
「あはは、嬉しいねぇ! こう見えて澪奈よりもそこそこ年上だよ!」
「澪奈さんよりも!?」
西園寺ママさんよりもそこそこ年上って……少なくともアラフォーなのでは!?
「あぁ、そうだねぇ。私の家系はある一定の年代……おおよそ10代以降見た目の年齢が変化しない者が偶に生まれるのさ。言い伝えじゃ私の先祖が八尾比丘尼を助けた事から一族にかけられた祝福と言われているよ」
(八尾比丘尼って何だろう……帰ったら調べてみるか……)
「そうなんですね……」
「ふむ、知識はそこまで無い様だねぇ……。まぁ、私の事は置いといて。早速始めようか。姫ちゃんも服を脱ぐまではいっしょにやっちゃうからね」
「「はい、よろしくお願いいたします」」
それからは簡単な健康診断に、採血やちょっと変わったMRIっぽい装置で入れられたり、視力聴力なんかの普通の検査を済ませると西園寺さんとは別行動になり。
「さて、これからは君の異能力について調べて行こうか」
「は、はい……」
「なぁに、緊張しないでも良いさ……さぁこちらに」
それからなんか象形文字っぽいものが書かれたパネルに手を置いたり、占い師が使うような水晶玉に手をかざしたり、最後にはこっくりさんまでと、オカルト的でよくわからない事をやらされたのだった。
「おっけー、これで〝身体検査は〟終了だ」
「長かったですね……」
「仕方ないさ、後天的な異能力の獲得者だからね。中途半端な能力検査だといざという時に暴発して大怪我やもっと酷い結末を負う事があるからね。過去には後天性の発火能力者が原因の重大事故とかも起きてるからね」
「うっ……それは怖いですね……」
「だから、問題が無いかしっかり検査する必要があるんだよ。さて、それじゃあ次は体力測定だ」
「はい!」
先に身体測定をやっていた西園寺さんの元に行く、丁度立ち幅跳びをやっていたようだが何か様子が違う……。
「ふっ!」
――パリッ……バチンッ!
「!?」
獣耳が現れた西園寺さんが跳ぶ、普通の人よりも遥かに遠く。
(今一瞬だが獣耳が生えたような?)
「木戸さん、今西園寺さんに獣耳が見えませんでしたか?」
「いや、いくら私が姫ちゃんを好きと言ってもそんなカチューシャを付けさせる趣味は無いぞ?」
「そうですよね……」
(多分、俺と離れてたからかな? まぁそれならあり得るか……)
「5m15cm……以前より飛べませんね……」
記入用紙に書き込みながらこちらに戻ってくる西園寺さん、というか凄い記録が出ているのだが。
「えっと……木戸さんあれは? 俺の聞き間違いじゃ無ければ立ち幅跳びで5m飛んでますよね?」
「そうだねぇ、流石姫ちゃん」
「いやいや! 人間はそんなに跳べないですよ!?」
「そうだねぇ、でも彼女くらいの異能力者だと簡単に跳べてしまうんだよ」
「マジですか……」
「マジだねぇ、ちなみに彼女の登録能力は?」
「えっと……詳しくは……雷系の能力だとは思うんですが……」
「そうか、そこまで見ているんだね……だから澪奈が――」
最後の方はなにか考える様にブツブツと喋っていた。
「検査は終わったようですね。おつかされまです、小鳥遊様」
汗を拭いながら声をかけてくる西園寺さん、どうやら彼女も一休みのようだ。
「えぇ、よくわかってないのですが。これから体力測定? に入るみたいですし……」
「そうなんですね、頑張って下さい!」
「ありがとうございます……って、いやいや! さっきのは何ですか!?」
「先程…………?」
訳がわからないといった感じで小首を傾げる西園寺さん。まさか彼女の中ではあれが普通?
「姫ちゃんの記録に、タカト君が驚いていたんだよ」
「あぁ……すみません。普段は私、体育の授業は免除されてまして……なのでこれが普通の記録だと……」
どうやら彼女は昔から西園寺家の鍛錬で身体能力が人よりも高いので、体育の授業等は全部お休みしているそうなのだ。
「それに、彼女は西園寺家の後継だろう? おいそれと、人前で力を使えないからね」
「えっ? でも……」
「君はもう見てしまっているし、それに澪奈からも問題ないって言われてるからね」
「確かに……」
あの時は逃げることに必死であんまり良く見てなかったけど、見たことに変わりな無いしな。
「そして、君も使えるんだろう?」
にやりと笑う、期待されてもやり方が分からないんだよなぁ……。
「えっと……使い方わからないんですよね……」
「へっ?」
「えっと……恐らく使ったなんですが、記憶が飛んでいるんです……」
「そうなのかい? あぁ、確かに調書には記憶障害ありと書いてあるね」
「なので、期待に応えられないんです……」
「そうかぁ……仕方ないねぇ……じゃあ、測定を始めようか……」
残念そうに口を尖らせる木戸さんが渋々と行った感じでペンを構える。
「小鳥遊様、頑張って下さい!」
「あぁ、西園寺さんの記録には敵わないだろうけど、頑張ってみるよ」
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