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クラス転移でハブられた俺、勇者の力だけ与えられた現代で無双する。  作者: ふぇありす


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第6話:ケモ耳少女と西園寺家

「奥様、お連れいたしました」


メイドさんが襖を開けると、私服だろうか艶やかな着物に着替えた西園寺ママ。俺と同じく湯上がりで少し着崩した西園寺さんがそこに居た。


「小鳥遊君こちらに」


「あ、はい……お風呂ありがとうございました」


「いえいえ、温まった様で何よりよ。それで早速なんだけど、説明をしていただきましょうか……零音」


「はいっ……」


僅かな布擦れの音と共に西園寺さんの白い肌が晒される、本来ならば目を逸らすのが礼儀なんだが直接生えた尻尾と獣耳、そして大きく残った傷痕から目を離す事が出来ない……。


「先程、介助した女中が気づいたらしいのだけど。どうやらここまで大きな痕と耳と尻尾なのに零音は覚えてもいないし痛みも無いみたいなの。何か思い当たる節はあるのかしら?」


「思い当たる節……」


どう考えたって先程の戦闘で西園寺さんが受けた傷と同じ場所みたいだし、思い当たる節しかない。


「小鳥遊様、健全な青少年とはいえそこまで熱視線を当てられると」


「あっ、すみません!」


反射的に謝って目線を逸らす、目を潤ませて恥ずかしそうな西園寺さんの身動ぎで身体に熱が沸き立つ。


「それで、どうかしら?」


「あ、はい……先程の戦闘で恐らく怪我をした場所です」


「怪我?」


「はい、実は……」


先程の戦闘の際にあったことを出来る限り思い返しながら説明をする。とはいってもあの魔獣を倒した方法とかは思い出せないので、そこら辺は素直に覚えていないと言う。


「そうなのね、零音の蘇生に必要な身体の欠損部位を魔力を魔獣の魔力で補ったのね……」


「俺の記憶じゃそうみたいです、あの時の事は頭の中がふわふわしてたのでうろ覚えですが……」


「そうなると、欠損したと言わた部分が主に関係してるのね」


大きく肩で息をする西園寺ママ、それから俺と西園寺さんを見て口を開く。


「先程、私が狐窓こそうで視たのだけれど、零音の魂にもう一つの魂が寄り憑いてる状況なの」


「寄り憑いてるって、取り憑かれてるってことですか?」


「そうなるわね。恐らくだけど、獣耳と尻尾が出る原因がそれだと思うわ」


「それって、何か問題あるんですか?」


「かなり……ありますね……」


顔を青くする西園寺さん、よくわかって無いけどかなり大事の様だ。


「小鳥遊君……長い付き合いになりそうだし、鷹翔君って呼んでもいいかしら」


「あ、はい」


「それで、鷹翔君は犬憑きってどのくらい知ってるのかしら?」


西園寺ママさんの言葉に俺が首を横に振る。


「そうなのね、じゃあ説明しないと」


西園寺ママさんが部屋の奥から数冊の本を持って来て西園寺家について説明される。内容は、眠気もあって酷くさっぱりなのだが昔から続いている凄く高貴な家という事だけわかった。


「そして、ここからが重要なんだけど。私達は分家で、今でいう愛媛の方にあった伊予西園寺家の子孫なの。まぁ、戦国時代に豊臣氏に攻められて伊予西園寺家は消えちゃったんだけどね」


そういって一つの巻物の封を解いて俺の前に置く。


「うん、さっきまでの説明は日本に描かれてる歴史の一つ。ここからは日本の歴史に描かれなかった部分の歴史よ」


広がった巻物には魔獣によく似た存在と、鬼と戦う侍たちが描かれている。


「これは?」


「日本の裏歴史ってところね。魔獣や妖との戦いを描いたものよ、その中でここの部分を見て欲しいの」


指さされた部分は魔獣に似た存在と鬼の場所だ。


「これは犬憑きと、その眷属達との戦いを描いたものよ。目を凝らして見て頂戴」


そう言われよく見ると、鬼として描かれている存在の殆どは甲冑を付けていてまるで人間の様だ。


「さっき私達の家が伊予地方の出とは言ったじゃない?」


「あ、はい」


「そして、犬憑きというのは四国地方じゃ妖怪であり、人が転じた悪しき存在と言われているのよ」


そこに描かれる姿は最後に犬の顔になった侍の首が落とされ、勝利を祝っている姿が描かれている。


「それじゃあ、西園寺さんは?」


嫌な想像が駆け巡る、西園寺さんを見ると顔を伏せていた。


「という訳で、鷹翔君には〝責任〟を取っていただこうと思います」


「へっ? セキニン?」


「えぇ、文字通り零音を〝傷物〟にしたのですから」


「え、いや!? それはそうですが!」


確かに大怪我させちゃったし、大きな傷が残っちゃったけどさ!


「それに、鷹翔君が零音の近くにいれば。どうやら魔獣の力を抑えられるみたいなのよね」


「マジですか……」


「えぇ、零音」


「……はい」


恥ずかしそうにしつつ西園寺さんが隣に座り俺に触れてくる、凄く熱を持った手が俺に触れるたびに俺も顔が赤くなっていく。


「あ、耳と尻尾が……」


西園寺さんについている耳と尻尾が消えていく。


「こうして収まるとはいえ、本家の人達が見たら決していい顔はしないわ。それこそ、座敷牢で生涯を終えるか、はたまた一族の恥さらしとして処分されるかのどちらかよ?」


確かに、力の本質は違うかもしれないが第三者から見たら同じだもんな。


「という訳で。零音の症状が完治するまでの間、我が家か、鷹翔君のお宅のどちらかで、一緒に生活をしてもらいましょうか」


「「……えっ……えぇ!?」」


「あら、やっぱり息ぴったりね」


「いやいや! 流石にまずいですよ!?」


「そそそ、そーです! 嫁入り前の男女が同じ家で生活なんて!」


「うーん。でも、貴方達昨日……」


「「あっ!」」


「ふふっ、詳しくは一眠りしてから話し合いましょうかしら。それで、鷹翔君。ご両親に連絡を取りたいのだけど?」


「あー父さんは出張中です。それと、母さんは夜勤ですね……」


「そうですか、では先にお母様にお話を通しておきましょう。電話番号をいただいても?」


「はい、えっと……書くものありますか?」


「それはこちらに……」


メイドさんがペンとメモ帳を手渡してくれたので受け取り、母さんの番号を出して書き写す。


「ありがとう。では、後は任せましたわ」


足早に立ち上上がると西園寺ママさんは部屋から出ていった。そして残されたのは困惑している俺と顔を真赤にしてぶつぶつと何かを呟いている西園寺さんだった。

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