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クラス転移でハブられた俺、勇者の力だけ与えられた現代で無双する。  作者: ふぇありす


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第5話

「お、お母様……」


「零音ちゃん……」


険しい顔をした西園寺さんのお母さんが、真っ青な顔をした西園寺さんに近づく。


「こ、これはです「なにこれ可愛いぃぃ!」……ね?」


突如興奮した西園寺ママさんが西園寺さんを抱き締める、顔は瓜二つだけど胸のサイズは相当違うようで西園寺さんが埋もれている。


「――んぐーっ! ――んぐぐーっ! ――んぐぅ……」


抵抗が薄まっていきピクピクし始めた、漫画やアニメでしか見たこと無い胸で窒息するというのはこういう事なのだろう……いいなぁ……。


「あ、あの西園寺さん! それくらいしないと娘さんが……」


「あ、あら? れ、零音ちゃ〜ん!?」


慌てた西園寺ママさんが手を緩めると、窒息しかけたのか顔が赤くなっていた。


「はぁ……はぁ……苦しかったです……」


「ごめんね零音ちゃん、まさかケモミミがこんな可愛いとは思わなかったの……」


西園寺さんを抱きながら撫でくりまわす西園寺ママさん、豊満な胸から解放された瀕死の彼女が肩で息をする。


「さーさて! 自己紹介をいたしましょう、自己紹介を!! 私は西園寺澪奈(れいな)と申します。元呪術師で、現在は祈祷師を専業とさせていただいて、たまーに退魔師のお仕事をしてます」


街頭の光に銀髪を煌めかせる西園寺ママさん。顔が西園寺さんと瓜二つなので、西園寺さんと話してるようでなんというかすごい違和感がある。


「えっと……俺は小鳥遊 鷹翔たかとです。数日前に西園寺さんとお話させていただきまして……今は、友達? ですかね」


「ふぅん……お友達……。そういうわりにはこんな時間に一緒に居るのはおかしい様な? それに現場の連絡を受けてから現場に到着するにはかなり早いような?」


「うっ……」「うぐっ……」


二人して目を逸らす、やましいことは無いんだけど……無いんだけど!!


「へぇー……。まぁ、零音のちゃんのぼろぼろになった服と携帯は小鳥遊くんのお家から回収させてもらったから。一緒に居た事は知ってるんだけどね」


「ふぁ!?」


「えぇ!?」


最初からバレてるじゃん!?


「え、えっと! 今日は疲れてたみたいで、西園寺さんをウチで休ませてただけです!」


「そそそ、そうですお母様! 最近魔獣の出現回数が増えて対応が間に合っていないのです!」


「それは知ってるわ、引退した私の所にまで討伐依頼が来るんだし……でも、ねぇ……」


じっーっと俺の事を見る西園寺ママさん、鋭く見透かされる様な視線に悪い事をしていないのに冷や汗が流れ出る。


「ふーん……まぁ良いわ、詳しい出来事は我が家で話しましょう。小鳥遊君のお家、壊されてしまっているようですし。流石に娘の恩人をこんな夜更けに帰らせるのも悪いですし」


「あ、そういえば……って何で俺の家を知ってるんですか?」


西園寺さんが連絡したとか?


「それはですね、色々と法律があるのですが。簡単に言いますと、魔獣や魔法によって破壊された建物等には調査と修復が入りますから。それで今現在、小鳥遊様のお宅も調査中でして」


「そうなんですね。でも、それだとどのくらいで帰れますか?」


「そうですね……。おおよそ1日あれば調査と修繕は終了するかと……」


「わかりました。両親になんて伝えよう……」


「それはこちらの方で上手く処理しておきます」


そうしている間に日が昇り始める。日が差した公園には抉れた地面や壊れた遊具などが散乱している。


「もう朝か……。あっ、学校どうしよう……」


「小鳥遊様、流石に今日は学校へ行くのは……。それに小鳥遊様の健康診断がありますので……」


「へっ? 健康診断?」


確かに、俺の記憶には無いけど不思議な力を使って戦ったんだよな。


「はい、魔獣に襲われましたので。魔獣の力に中てられた等、人によっては動悸、息切れ、めまいだったり。酷いと発熱や食欲不振等も発生したりしますので……」


申し訳無さそうに言う西園寺さん、どうやら勇者とか覚醒とかは黙っててくれるようだ。


「それじゃあ、行きましょうか」


西園寺さんに手を引かれる。そして以前見た黒い高級車に乗せられ西園寺家に向かうのだった。


◇◆◇◆◇◆◇◆

一般家庭とは程遠いお屋敷に連れてこられた俺は、お風呂に案内されていた。


「ではこちらで身を清めて下さい」


「は、はい……」


何故かぴったりと付いて来るメイドさんに風呂場を案内される。確かに地面を転がったり血やとか色んなものに汚れたので正直有難い。


「お怪我などは大丈夫でしょうか? 介助が必要であればおっしゃって下さい。ちなみに私は服脱がすのが得意です」


「あ、ありがとうございます。でも特に問題は無いので一人で入れます……」


「かしこまりました……チッ」


その場で佇みこちらをガン見しているメイドさん、というかこんな近くで待たれると座りが悪い。


「あ、あの……すみません、流石にこんなに近くで待たれると……」


「いえ、気にしないで下さい」


「いや! 気にするから! すみませんがせめて脱衣所から出てもらえませんか?」


俺の懇願が効いたのかたっぷり待った後、大きなため息を一つつく。


「では、終わった頃に合わせて戻ります」


「えっ? それって、どういう?」


「では、失礼いたします」


「ちょ! ちょまてよ!!」


俺の悲鳴は無視され脱衣所が一人になる。もう仕方ないので一息ついて服を脱ぐ。


「あれだけひどい怪我をしたのに、治ってる……」


治癒魔法って聞こえたからそうだと思うんだけど。怪我したとは思えない綺麗さだ。


「膝下からばっさりだったんだけどなぁ……」


固まった血や砂等を軽く払ってからシャワーを浴びる、少し熱めのお湯が体を温め酷い汚れを落としていく。


「湯船は……入らせてもらうか……」


身綺麗にした後湯船に入る、肩まで浸かり深呼吸すると爽やかな香りが鼻腔をつく。


「はぁ……」


気が抜けたのか眠気がやってくる。戦ったからなのか、魔法を使ったせいなのか疲れとのダブルパンチでである。


「それにしても、両脚を切り落とされた筈なんだけど凄く綺麗だな……」


ズボンは斬られてたし、切断されたと思わしき血の痕はあったから切られたんだろうけど先程洗い流して見た限りじゃ綺麗さっぱりになっていた。


「うぅ……やばい……ガチで寝る……」


旅館の様な広い湯船だし、ここで寝落ちをしたら事件《土左衛門》になってしまう。あったかい湯船の魅力を無理矢理振り切って出る、そのまま軽く湯で流してそそくさと着替えていると先程の女中さんがガラッと開けてから舌打ちをする。


「チッ……若い男の裸体を見せろよ……」


「えっ?」


なんか今、想像を超えた言葉が飛んで来たんだけど?


「そうだ。もう一度、着替えません?」


可愛く言って来るがそんな余裕は無い。


「遠慮します……」


「チッ……それじゃあ、奥様の元に案内します」


つまらなさそうな侍従メイドさんに連れられて屋敷の奥へ連れて行かれるのだった。


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