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クラス転移でハブられた俺、勇者の力だけ与えられた現代で無双する。  作者: ふぇありす


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第1話

異世界転移……近年よくあるアニメやラノベである出来事だ。勇者の力を貰って異世界で無双してハーレムなんかを作っちゃったりしてというのが王道展開だ。


「異世界……行きたかったなぁ……」


そう一人愚痴るのも、信じられないかもしれないが。つい最近、異世界転移出来るチャンスがあったのだ。


◇◆◇◆◇◆◇◆

「あ、すまん。定員オーバーじゃ……」


「えっ?」


純白の空間で、立派なヒゲを蓄えたお爺さんが申し訳なさそうに言う。


「あーいや、すまん……。本来ならば全員を転移させるつもりじゃったんじゃがな。思ったよりも素養がよき者が多くてな。全員を転移させたら向こうの世界でのバランスが崩れてしまうんじゃよ」


神様が言うには才能の高い者ばかりを送ってしまうと、異世界のバランスが崩れてしまうらしく俺はあぶれてしまったとのことだ。


「えぇ……」


「じゃから、転移は無かった事に……。じゃがそれだと悪いからなぁ、近眼、虫歯、関節痛、腰痛、成長痛、◯茎、水虫を直しちゃる。それと病気にかかりづらく健康体でいられる様に身体能力の向上と幸運の加護も付けちゃるよ」


「病気にならないのは良いですね……ってちょ!? 待って、水虫!?」


「そうじゃ、もう水虫にはならんが帰ったら風呂場の足ふきマットを父親と別にするほうが良いぞ、めっちゃ酷いことになっておる」


「えぇ…………」


ショックがデカい、というか親父のせいで知らぬ間に水虫になってたのか……。


「という事で、すまんかった。二度と会う機会はないと思うが壮健にな」


という事で俺だけ戻され、文字通り〝ハブられた〟のだ。


そしてそれが大体ひと月前くらいだ、元の教室に戻<クーリングオフ>された時はポツンと教室に残されてた。


「おい、小鳥遊! 一体どうしたんだ!?」


「あ、先生……」


それからは警察やテレビにひっぱりだこで色々と話題になり注目されたのだが。今の時代、続報の無い集団失踪事件なんて一過性ということもあり、今ではもう話題にされる事も無くなった。


「皆、どうしてるかなぁ……」


そうして日常に戻った俺は、体育の成績が良くなった事とちょっと普段の運が良くなった以外特に変哲のない生活に戻ったのだった。


「今日は……魚が安いな……」


スマホでスーパーの広告を見ながら今日の献立<夕食>を決める。少し運が良くなった事もあり今から行けばタイムセールにドンピシャだろう。


「すみません、小鳥遊 鷹翔たかと様ですよね?」


「へっ?」


名前が呼ばれ振り返ると、黒服と目を見張るほどの美人巫女さんが立っていた。


「小鳥遊様ですよね?」


「あ、はい……ってどちら様でしょうか? 」


(わたくし)、西園寺零音と申します。突然で失礼ですがお話がありまして、少しよろしいでしょうか?」


ニコニコと笑う女性と睨み付けてくる黒服たち、正直すっごい胡散臭い。


(うわぁ……罠っぽい……)


俺の話題が収束した理由の一つに、一度だけ某国の諜報員エージェントに誘拐されかけたことがあるのだ。


「えっと……お断りしても?」


「私は良いのですが、後ろに控えている皆さまが頑張ってしまうかと……」


少し、戸惑いが入った感じで首を傾げる西園寺さん。


「それって、選択肢無いですよね?」


「はい、申し訳ありません」


「わかりました……」


いくら身体能力が良くなったとはいえ、この人数の黒服から逃げ切れる訳がないので付いていく。すると商店街から出た大通りに黒塗りのリムジンが止まっていた。


「すみません、本日はこの様な車しかご用意できなくて。どうぞお乗り下さい」


「あ、はい……」


リムジンを囲む屈強な黒服の壁に気圧されつつ車に乗り込む。中はバラエティ番組で乗せられたりした時と同じ様に豪華な内装だ。


「お飲み物はどうされますか?」


「あ、じゃあコーラで……」


小さいボトルを手渡される。こういった、怪しい相手に飲み物を渡される時は安全性が保証されやすい炭酸飲料の方が良いと聞いたことがある。


「まずは正式な挨拶を、わたくし『陰陽寮・変異災害対策課』という国の秘密裏な機関に勤めている呪術師です」


「呪術師? それってあの最近有名な漫画の?」


「はい、古来より日本は呪術師……様々な言い方もありまして陰陽師や降霊術師イタコ、後は少数ですが魔術師といった方々ですね。そういった方々によって支えられていました。卑弥呼とか安倍晴明とかが有名ですね」


「あ、蘆屋道満とかそこら辺もですよね? まさか、ビームとか出せるんですか?」


「あーあはは……。わたくしはそこまではできませんが。先達の中には神具や式神を用いて悪鬼羅刹を調伏するのに超常の御業を行った者達も居ますね」


「マジですか……。というか、鬼とか妖怪とかって実在するんですね……」


そりゃそうだ、神様らしき人もいれば異世界もあるんだ。そういった存在がいても可笑しくない。


「はい、古代から日本は立地的にそういった存在が現れやすい土地柄でして。本題なのですが、単刀直入に聞きます。小鳥遊様、異世界に行っていたというのは本当でしょうか?」


真剣な顔で聞かれる。確かにあそこは異世界だったけど……。


「えっと、異世界というか、その手前というか……」


俺は以前警察に話した事を話す、警察の人とは違いちゃんと頷いて俺の話を聞いてくれる。


「そうだったんですね……神様らしき人の手違いで、異世界へ行く手前で送り返されたと……」


「はい、ですので行ったとも言えるような言えないような……そんな感じなんです」


「そうだったのですね、概ねわかりました。ありがとうございます。だったら、ここ最近の異変は別のことが理由なのでしょうか……」


途中から聞き取れなくなってしまったが、最後には大きく溜息をついていた。


「なんかすみません、力になれないみたいで……」


「あ、いえ! お気になされないで下さい!」


それから少しの間雑談をして、俺は何事も無く開放をされた。



<零音Side>

「はぁ!! ふぅ……」


霊刀を収め汗を拭う、今回の悪鬼討伐も数が多くいつの間にか朝になっていた。


「姫巫女様……周辺調査の方、終了いたしました。特に魔力変数におかしな部分はございません」


「そうですか、ご苦労様です。原因が分からないのはもやもやいたしますわね……」


「そうですね、本部の方でも引き続き調査しておりますが、これといって有力な情報は……」


「そうですか。引き継ぎ等はおまかせしても?」


「はい、おまかせ下さい! どうか、姫巫女様もお気をつけて……」


スーツ姿の陰陽寮の方々に現場を引き継ぎ、迎えの車に乗る。柔らかいシートに座り込むと一気に眠気が襲ってくる。


「お嬢様、別邸の方に向かいますね。お湯の準備はしてありますので……」


「ありがとうございます、少しだけ仮眠をさせていただきますね……」


「かしこまりました。では、到着致しましたら起こしますね」


その、声と共に意識が闇へと落ちていく


(本当に、最近の日本はどうしてしまったのでしょう……)



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