表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深緑の涙に恋をした公爵は、今日も粘着気質を拗らせる  作者: ChaCha


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/25

星降る夜に君といつまでも…

フローラは、公爵夫人の寝室にひとり残されていた。

清らかな香り、柔らかな光、ふわりと沈む絹の寝具。

どれもが優しくて、まるで“自分を歓迎してくれている”ようだった。


(こんな……幸せに溢れた部屋に……私がいていいの……?)


胸がいっぱいになり、気づけば頬が熱くなっていた。

母の形見のブローチをそっと握ると――涙が滲んだ。


(ありがとうございます……お母様……)


喜びの涙だった。


けれど、同時に。


「ど、ど、どうしよう……」


豪奢な寝室のベッドを前に、フローラは真っ赤になった。

理由はわからないけれど、心臓がずっと落ち着かない。


コンコン。


控えめなノックに、肩が跳ねた。


「は、はいぃい……!」


カチャ。


扉が開き、レオが姿を現した。

昼とは違う、静かで色香を含む気配をまとって。


「待たせたか?」


「い、いえ……」


なぜだか、とても……とても恥ずかしい。

胸の奥が甘く震え、視線を合わせるのさえ難しい。


部屋の空気は、

どこまでも“あまーーーい”。


レオは一度咳払いし、柔らかく微笑んだ。


「……緊張せず、話をしよう。

まずは……あれだ。フローラに出逢った時のことを」


フローラは顔を上げる。


レオの瞳には、初めて会った夜の光が宿っていた。


「涙をこらえながら、必死に礼儀を守る君を見て……

あの瞬間、胸の奥が熱くなった。

それが……一目惚れだったよ」


「……一目、惚れ……」


胸が苦しいほど温かくなる。


レオはゆっくりと手を伸ばし――

フローラの手にそっと触れた。


離そうと思えば簡単に離れられる、優しい触れ方。

けれどフローラは、そっと指を重ねて頷いた。


二人の間に、ひたひたと満ちてくる静かな幸福。


窓の外では、夜空に星が瞬いていた。

湖の向こうまで照らすほど澄んだ、煌めく星々。


レオが、囁くように言った。


「……フローラ。

君が来てくれて、本当に嬉しい」


フローラも、静かに微笑んだ。


「……こちらこそ……ありがとうございます……レオ様」


星空は、二人を祝福するかのように輝いていた。

迷いなくのばされた手に頬をよせ

互の瞳が絡まりあい…

そっと優しく唇を重ね

夜は更けていった。


――終わり。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ