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深緑の涙に恋をした公爵は、今日も粘着気質を拗らせる  作者: ChaCha


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18/25

通された部屋は…

通された部屋は、南向きで柔らかい陽光が降り注いでいた。

壁には花々の意匠が施され、窓から入る風はほのかに甘い香りを運んでくる。


(ここは……公爵夫人のお部屋……?

どうして……どうして私なんかが……)


フローラは胸元を押さえ、驚きと戸惑いで立ち尽くした。

屋根裏の薄暗い空気しか知らなかった彼女には、眩しすぎる空間だった。


白いカーテン。

絹の寝具。

専属侍女が控えていて、どんな要望にも応えられるよう準備が整っている。


(……夢みたい。

でも……怖いくらい……優しすぎる)


そんな静かな混乱の中――




――公爵レオ側。


レオは廊下の陰で、ガッツポーズを決めていた。


「よしっ……!」


執事長は感極まり、鼻をかんでいた。


「坊っちゃまが……ついに……!

正式に……迎える日が……!」


影は壁にもたれながら、心底安堵の息を吐く。


(ああ……“あの部屋”じゃなくて……本当に良かった……!

全方位で安全かつ優しすぎる部屋の方に通してくださって……心臓がもたん……)


レオは胸に手を当て、深呼吸を繰り返していた。


「……今夜は “初夜” だ」


執事長はすぐに姿勢を正す。


「滞りなく準備しております。

灯り、緊張を解すお香、オイルなど

主寝室を整えてございます」


影も頷いた。


「すべての逃走経路、強化しておきました。

万が一、フローラ様が混乱されても安心してお過ごしいただけるよう」


レオは微かに笑った。


「あの日、涙をこらえていた彼女を――

やっと…やっと……俺の手で…

泣かせることができる…!!」



胸の鼓動は速い。

待ち望んだ瞬間まであと少し……


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