表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深緑の涙に恋をした公爵は、今日も粘着気質を拗らせる  作者: ChaCha


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/25

幕が上がるのは悲喜劇

劇場は満員御礼。

大理石の柱がそびえ、煌びやかなシャンデリアが観客席を照らしている。

今日の舞台は王都でも屈指の人気劇団。

だが――本当に見物なのは舞台ではなかった。


休憩時間。

ロビーの中央、ざわめきの渦が巻き起こる。


そこで。


パーーーーーーン!!


乾いた音が劇場全体に響いた。

空気が一瞬止まるほどの見事な平手打ちだった。


「っ!」


ウィルの横にいた美女が、受け身も取れずに倒れ込む。

驚きと痛みに目を見開き、床に手をついた。


ルキナの肩は怒りで震えていた。


「あなたっ……“用事ができた”って、そういう意味!?」


その叫びはオペラ座の二階席まで届く勢い。

観客たちは一斉にざわつき、ざわめきは波のように広がる。


「きゃっ……ウィル様……っ」


倒れた美女が苦しげに声を漏らした瞬間。


「大丈夫か!」


ウィルはルキナを一瞥もしないまま、美女に駆け寄り、抱き寄せた。

必死の形相で彼女の肩を支え、ルキナを睨みつける。


「ルキナ! 君は……なんてことを……!」


「“なんてことを”ですって!?

私を放っておいて、その女と観劇!?

苦労して手に入れた席だって言ったのに!!」


怒声が飛び交い、観客たちは完全に舞台を忘れて見物モード。

劇場の係員まで固まっている。


――二階席、暗がり。


レオは肘掛けに身を預け、静かに口元を歪めた。


(いいぞ……もっとやれ……)


フローラを泣かせた二人の“真実の愛”。

その実態が、こうして大勢の前で暴かれていく。


ルキナの嫉妬で荒れ狂う声。

美女を庇いながら必死に見栄を保とうとするウィル。

周囲の失笑、冷たい視線、囁かれる噂。


これは屈辱ではなく――公開処刑だった。


(まだ第一幕だ。続きが楽しみだな)


レオの瞳が、闇の中で細く輝いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ