第1章:転生、そして創造の力
1項:神のミスと提案①
荒井雄一が目を覚ましたとき、周囲はどこまでも真っ白な空間だった。地面や壁があるようにも見えるが、実感としては何もない。不安と混乱が一気に押し寄せる中、背後から柔らかな声が聞こえた。
「やぁ、起きたかい。いやぁ、本当にすまないね……」
振り返ると、そこには初老の男性が立っていた。くしゃくしゃの白髪に丸眼鏡、肩にかかった長いローブはどこか寝間着のようで、緊張感の欠片もない。その姿から「神様」という言葉は微塵も連想できなかった。
「えっと……ここはどこですか?」
雄一が恐る恐る尋ねると、男性は苦笑しながら答えた。
「ここは、まぁ……君たちの世界で言うところの“中間地点”みたいなものだよ。で、私は -神様。まぁ、“運命を管理する者”と言った方が近いかな。」
「神様?」
「そう。で、まずは謝らなければならない。本当に申し訳ないことをした。」
男性は軽く頭を下げたが、その仕草にどこか親しみが感じられた。雄一は混乱したまま、状況を整理しようとする。
「……何が起きたんですか? 僕は確か……」
「事故に遭ったね。」神は少し申し訳なさそうな顔をして言葉を続けた。「実は、その事故が起きたのは、私が運命の調整をミスしたせいなんだ。」