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3 由来に違わず

 桜木瑠奈さくらぎるな。法学部法律学科の3年生。話によると大学の文化祭の目玉、ミスコンに推薦されるほどだったがそれを本人がまさかの辞退。高校の頃からその可愛さは有名でちょっとした有名人だったらしい。


「瑠奈が私たちのサークルに居るってわかった途端に体験者が続出しちゃってさー。本人曰く私がキャプテンだからって言ってくれるけどね」

「それはあると思いますよ、ここまで話しやすいキャプテンも少ないと思います」

「高木君、君は出世するよ。誰に何を言えばいいか即時に判断できる。実に素晴らしい」

「先輩、手のひら返し早すぎません?もはやドリルと言っても過言かと。」

「過言なんだ」

「え、お手てで削岩さくがんできると思ってるなら目覚ましたほうがいいですよ。」

「高木君、君は没落するよ」

「俺いつから平安貴族認定されたんですか」


 気が付いたら二人だけで話が盛り上がっていた。ミスコンを断る?あの人目当てでサークルに入る?今しがた花巻さんから語られた内容を整理しつつ忘れないように頭にメモする。とにかく今はあの人の情報が欲しい。


「、、、花巻さん。俺テニスサークル入りたいです」

「おっ、桜木トリップから帰還したね!うんうん、瑠奈の件関係なく大森君には入ってほしかったし、そのわかりやすすぎる反応!ポイント高いです!」

「、、っ俺みたいな奴を弾くためのシステムなんじゃないんですか?」

「いやもう君隠すつもりないじゃん、、。無害君じゃなくて無敵君とかにしたら?」

「名付け親を選べる幼児はこの世に居ませんから」

「的を射る発言ありがとう。じゃあ私が命名してあげよう!」

「花巻さんは俺の親では無いので」

「なんか君たちさ、モテそうでギリギリモテない呪いとかかけられてる?」


 そんなわけであっという間に所属サークルが決まった。花巻さんの人柄に惹かれた点、俺の望む環境でテニスができそうな点、そして桜木瑠奈さんという点。迷う余地は無かったし、どうやったら桜木さんに認知してもらえるか、それがとにかく頭の中を埋め尽くした。一目惚れとでも言うしかないのか。とにかくもう一度会ってみたい。空席になった隣を眺めながら漠然と思う。


 しかしあまりにもレベルに差がありすぎる。片や浪人生活を終えた一般男子、片や大学のマドンナともいうべき高嶺の花。性格も、テニスの腕も、人間関係もわからない。外見がよくても例えば虚言癖があったら嫌だな。割り勘とか1円単位まで気にするタイプだったらどうしよう。小銭なるべく準備しとくか。なにはともあれまずは行動あるのみ。自分に言い聞かせながらこの出逢いとチャンスをものにしたい。


「大森君は瑠奈のことどう思う?」

「外見だけじゃ分からないことも多いんですけど人気だろうなとは思います」

「角を立てず、でも本心も言う奇麗すぎる回答。じゃあ大森君的には瑠奈とどうなりたいの?」


 花巻さんの容赦無い質問。あまりのストレートな質問に思わず腰が引けてしまいバットを短く持つ。この勢いのストレートに当たったら手とかバットとか絶対痺れる。しかし逃げるわけにはいかない。こんな転がり込んできたチャンス。ここでの行動は桜木さんに近づくチャンスと思ってもいい。花巻さんは桜木さんと一緒にご飯を食べるような間柄なのだ。ここでの俺の発言は桜木さんに伝わる可能性が高すぎる。ここは脳内の監督からのサインを無視して自己決定に基づく。そもそも野球のあのジェスチャー、腕やらベルトやら帽子やら触って何もわからん。あ、わからないからサインなのか。一つ学びを得た。漢らしく散ったらそれまで!

「どうなりたいの?」

花巻さんの再度の問いかけに思いっきりスイングした。


「一緒にテニスしたいです」


言ってやった。ありのままの本心を。出会って間もない人に対して。赤裸々に。


「は」

「え」


 二人分の呟きが聞こえたがもう引き返せない。脳内監督が大声で「セーフティバントのサインやぁ!?」と叫んでいるのを全力無視。あ、サードランナーすまん。もうフルスイング一択!


「欲を言うなら雑談とかできたら最高です」


「、、、。」

「、、、。」



「今は、まず、もう一回姿を見たいのが紛れもない本音です」




「高木君」

「なんでしょうか」

「こういうときなんて言うのが適切かな」

「浪人してそのレベルなのか。精神年齢15歳か。見た目は大人、頭脳は子どもなのか。あいつは大森ですよ?先輩は言うべきセリフがわかってるはずです」

「そうだね」



「大森君」

「なんでしょうか」


「流石ミスター無害。」


、、、喜んでいいのだろうか。食堂を後にする気持ちは複雑だった。脳内監督は無表情でこちらを睨んでいる。サインはやっぱ覚えよ。サードランナーに後でジュースでも奢ろう。

こんにちは、未定です。

次回の更新はやや遅れるかもしれません、誠に申し訳ありません。書いてる途中に更に書きたいことが増えてしまい整理しながら執筆しております。

こんなにも難しく、楽しい作業とは思わず困惑していますが何卒よろしくお願いします。

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