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1 こんな大学生活もあっていい

 「無害そう」。

これは誉め言葉なのだろうか。人とは不思議なもので色々なジャンル分けを行う。「真面目系」「ウェイ系」「地雷系」、、、。いったいこれらのジャンルは誰が言い出すのだろうか。そして俺は「無害」というこれまた不思議なジャンルに区別されたのであった。

もう一度言うがこれは誉め言葉なのだろうか。


 「よ、大森。いや、敢えて大森後輩とでも呼ぼうか?」

長いようで短かった、いや、やっぱり長かった浪人生活に別れを告げ、結局一年間頑張ったにも関わらず地元の大学に通うことになった俺はさっそく絡まれた。

「聞いたことない日本語話すな。語尾につくのは先輩だけって相場が決まってんだよ」

「いやいや、君は酷く厳しい閉鎖的な一年間を過ごしたんだろうが俺はその間にも世界を知り、己を知り、そして幼馴染が後輩になることを知ったんだよ。分かるか?後輩よ」

「俺基本的に先輩とか嫌いなんで。高校の時も部活の先輩からのメッセージとか普通に既読無視してたんで。お前も目視無視で。」

「お前も聞いたことない日本語話すなボケェ」

「よかったな、また新しい世界とやらを知れて。コロンブスも新大陸を見つけたときは今のお前と同じ感情を抱いたんじゃね」

「俺の貶しの言葉から世界史の知識マウントを取ってくる後輩とか要らねぇ、、、。」


 大学の食堂でカレーを食べながら高木と相変わらずの流れで話す。高木は俺より要領が良く、中学も高校も学校の成績ではあちらが上。幼馴染で、尊敬とまでは言わないが信頼している友人である。もっと偏差値の高い大学もこいつなら射程圏内だっただろうが確実性を優先させたのだろう。俺が浪人時代に腐らず頑張れたのもこいつの存在が大きい。SNSや娯楽から距離を置いていた浪人生活の中でやはり友達の存在は支えとなり、今もこうして食事に付き合ってくれてる所を考えるとやはりというべきか人が出来ている。


「、、、これでゲーム以外に興味を持てばお前は輝けるのになぁ。やっぱり高木は現代じゃなく奈良時代とか平安時代のほうが合ってると思うし人気もでると思う。一考してみてくれ」

「大森、発言の全てをスルーするが失礼なことを考えてることだけは伝わった。とりまバルス。あと奈良時代は新興宗教の最盛期でもある。どうせなら平安時代がいい。和歌で季語のコンボ決めたい」

「目がぁぁぁ 私の目がぁ 見えないぃ」

「字足らず。」

 

 何も変わらない。年齢や外見が変わったって男同士いつものノリ。なんてことない会話の中にユーモアを含ませる俺たちはやっぱり似た者同士というか類は友を呼ぶとはよく言ったもので。ほら、隣で昼食を食べてる二人組の女子も笑ってるって。「男子ってやっぱ男子だよねー」みたいな発言聞こえちゃってるから。早くうどん食べないと伸びますよ?あとミニうどんっていかにも女子らしいランチですけどうどんも立派な炭水化物ですよ。お昼には鶏のササミとかおすすめです。

 でもこうして高木と話せる時間が再び訪れたことは地元の大学に通うことになって唯一のメリットかもしれない。いかん、俺も世界へと目を向けねば。知っている娯楽の世界が狭すぎる。そんなことを考えながらカレーを食べ終わると高木がまた話し出す。


「サークルとかどうするんだ?って言ってもお前には愚問か?」

「ああ。組織も人数構成も組織も予算も組織も知らんけどテニスだな」

「どんだけ組織事情知りたいんだよ。DNA大好きかよ。あれお前生物基礎も受験科目?」

「おれ、文系。おまえ、理系。おぅけぃ?わたし、生物、イラナイデショアホナノ?」

「斬り捨て御免。これで俺の手は血に汚れたわけだが平安時代ならとりま藤原氏バンザーイって言っとけば許されるだろ」

「道長舐めんな。」

あ、うどんちょっとこぼしたな。見たかこの男子の中身の無いトーク力。


 高木がゲームなら俺はスポーツ。運動なら基本的になんでも出来るが中高と続けてるテニスは大学でも引き続きやりたいと考えていた。


「テニサーか。俺の意見だけどあまり良いイメージは無いんだよな。てか実際に良くない。ほら、ちょうど今は新入生の歓迎期間だろ?スポーツ系の勧誘はどうも全般的に強引でさ」

「、、、。」

「男はあからさまに可愛い女の子に声をかけてて、女の子もイケメンがいるサークルの勧誘にはすぐ食いつくもんな。あからさまにもほどがある」


 高木の意見に何も反論できない。そもそも言われることも分かっていた。既に経験がある。高校の頃の大会を思い出してもテニス部は全体的にゆるい奴が多かったし、女子に至ってはまともにテニスに取り組んでる人のほうが少なかった。つまり男女ともにテニス自体が目的ではなかったのだ。そんな中俺はただただ愚直に練習したし誰よりも部活に熱中した。単にテニスが好きだったからなのだが周囲から見れば相対的に評価が上がったのだろう。


「お前も高校の頃は凄かったよなー。テニス部部長、学級委員長、生徒会副会長。どんだけの人望と人気と長さがあればそんだけ役職ふられるんだよ」

「人望とか人気は知らないけど長は三つだけだろ、適当言うな、張り倒すぞ」

「武力行使への抵抗が少なすぎる。もう少し電流や電圧の事を考えろ。それに人気は自他ともに認めることだろ?それは謙遜じゃなく嫌味に聞こえるぞ」

「、、、わりぃ」

「お前ほど稀有な奴も少ないよ。男女平等に接するし、オタクにも自分から話に行くし、んで運動神経抜群。属性ありすぎだし弱点少なすぎかよ、ドラゴンタイプかよ」

「ちゃんとフェアリータイプのナーフ入ったじゃん」

「世界がお前をナーフだと?己惚れるなよ非凡が」

「そこは凡夫でこいよ、調子狂うな」

あれ?ごはん終わったなら片づければ?女子って食べ終わっても動かない生き物?


「俺はあくまで一般人だよ。そもそもオタクって言葉も好きじゃない。アニメとか誰だって見るしたまたまアウトドアな気質に生まれただけだ。高木がインドアなように。」

「出やがったなぁ、ミスター無害」

これだ。これが俺のニックネーム。


無害。

いつからそう呼ばれたのかもう覚えてない。だけど気が付けばその二つ名が広まり、俺を知った人は口々に「なるほど」と口にした。

頼りになる、運動神経バツグン、誰にでも平等に接し、ただ打算もなく生きてきた結果多くの信頼とありがたい(?)呼び名を貰った。


「ねぇ、無害君。私たちのサークルに入らない?」

唐突に隣の席の女の子に声をかけられてハッとする。そこにはミニうどんがあったはずの場所にチラシが広げられており、黄色いボールとラケットのイラストが。


「新大陸あったじゃん」

高木の声はどこか楽しげだった。

初めまして。未定と申します。

先にいうと完全な初心者で独学です。ライトノベル、そして平和なラブコメがとにかく大好きで遂に自分で書いてしまいました、、、。本当に何も知らずに体の思うままに書き始めていますのでどうかよろしくお願いします。緊張で手足が震えていますがなんとか書き切りたいと思っています。

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