表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/20

8.異端者

明くる朝、私は母に起こされる前に、目が覚めた。


昨日読んだ、歴史書の中に出てきた言葉。

『異端者』『能力者』『精神魔法』。


それが一体、何を意味するのか?

気になって仕方なかった。


私は、いつも通り、職場へと出かける父と母を見送った。

そしてその後、自分の部屋に戻った。




さて…………。


どの本から調べようかな?


とりあえず私は『魔法について』と言うタイトルの本を調べてみる事に。


この本は主に、魔法の種類とか、その効力について、書かれていたような気

がする。



「もしかして この本に載っているかな~?」。



『魔法について』の本は、両親の部屋にある。

ちょっと難しめの本だったので、後から読もうと思っていた。


私は両親の部屋から私の部屋へと本を持ち帰り、机の上で本を開いた。

最初の方のページには、次のような事が書かれていた。




【魔法】


『魔法』とは、活力の世界の力を利用し、エネルギーとして物質の世界に現

れる力を言う。


その力は『火属性魔法』又は『水属性魔法』として現れる。



男性も女性もその原理は同じであるが、物質の世界に現れる際は、男性は火

属性魔法として、女性は水属性魔法として現れる。

 

そのため、男性は水属性魔法を、女性は火属性魔法を使う事はできない。



その理由は『陰陽気』によるものとされ、男性は陽の気が強く、女性は陰の

気が強いためだと言われている。



ん?


陰陽気?


前世の陰陽 見たいなものかな?



確か前世で陰陽とは、互いに反する性質の気で、日と月、火と水、男と女の

ような関係だっけ…………。


陽は積極的性質、陰は消極的性質だったような…………。



ふむ~。


陰陽気が違うから 男女によって物質の世界に現れる魔法が 違うって事?


分かるような 分からないような…………。




【魔法の使用】


魔法はイアール人、ザナール人を問わず、全ての人が使用できる。


但し全ての人が使用できるのは『ファイヤーボール』と『ウォーターボール』

の初級魔法のみである。



また魔法が使えるのは、7歳以降である。

魔法を使用するためには『魔眼』が必要である。


魔眼は、活力の世界又は精神の世界に通ずるための、必要な神経器官で、脳

の一部にあるとされる。


7歳までの幼少期に魔眼はない。



ほ~。


母の言ってた とおりだな。




【魔法能力】


『魔法能力』とは、使用できる魔法の難易度が高いか低いか、又一度に利用

できる活力の世界のエネルギー量が、多いか少ないかを言う。


魔法能力が高いほど、難易度の高い魔法を使用でき、一度に放てる魔法の量

が多くなる。



また魔法能力は遺伝性が高く、貴族に中級魔法以上を使用できる者が多く、

庶民に少ないのは、このためだと言われている。



へ~。


庶民って 初期魔法しか使えないのか…………。


でも母は『ヒール』を使っていたな?


ヒールって何級魔法 なんだろう?




【魔眼】


『魔眼』は人の第2次成長期において、形成される。


人は生まれながらにして全ての人が、魔眼の元である『種』と言う神経組織

を持っている。


これが第2次成長期において、変態し魔眼となる。



第2次成長期は、個人差はあるが、通常7歳~12歳までの期間を言う。

12歳を迎えるまでに、人は大人と、ほぼ同じ身体になる。



そのため『選別の儀式』は、第2次成長期前の7歳の誕生日までに行われ、

通常、学校入学前に行われる。



ん?


12歳までに大人?


これ 子供の頃の時間 短か過ぎじゃないか!


ところで選別の儀式って何じゃい?




『異端者』『能力者』『精神魔法』について、調べるつもりだったが、以外

にも魔法について、色々な事が分かった。


その後、私は『魔法について』の本を、パラパラと流し読みした。



実際に魔法が使えないんじゃ 効力について覚えても意味ないし…………。



ちなみに…………。


『ヒール』は水属性の中級魔法。

水属性の最上級魔法は『水神』。

火属性の最上級魔法は『火龍』であった。


それでは、次の本、行ってみよう!




私は再び、両親の部屋でそれらしい本を探して見た。



「ん?」。



分厚い本が1冊ある。

私は本を取り出し、とりあえずパラパラとめくってみた。



これ もしかして?


辞典じゃん!




私は辞典を、私の部屋へと持ち帰り、再び机の上に置いた。

そして最初に『異端者』の項目を探した。


そこには、こう書かれていた。




【異端者】


『異端者』とは、生まれながらにして『前世』の記憶を持ち、生まれながら

して『魔眼』を持つ者を言う。



えっ?


なぬ?


前世だと?



私は、鼓動が早くなるのを感じた。

そして、前世と言う言葉に、一瞬、固まってしまった。


しかし、焦る気持ちを抑えられず、更にその先を読み進めた。




異端者の能力は極めて高く『身体能力』『魔法能力』全てにおいて、常人と

は、かけ離れた能力の持ち主である。


但し異端者に、遺伝性はない。



また異端者と認定された者は、直ちに王宮に召し抱えられ、その国の法に従

い、厚遇される。



歴史上では、

ザナール人『アルテミス』。

イアール人『勇者オルティス』。

が有名である。




【異端者の前世について】


『異端者の前世』については、


現世が『イアール人』なら過去世は『ザナール人』。

現世が『ザナール人』なら過去世は『イアール人』と言う規則性がある。


そのため異端者は、両者の人生の記憶を併せ持つ。




【異端者の血】


『異端者の血』も通常と同じく、


イアール人は青色。

ザナール人は緑色である。



本来、色の違いは、お互いを本能的に『忌み嫌う者』として認識する要因の

一つ、とされている。


しかし異端者に限っては血の色が違っても、本能的に相手を『忌み嫌う者』

として認識しない。

又認識もされない。


これは異端者が、両者の人生の記憶を持つから、と言われているが定かでは

ない。



ちょっと待って!


ここで一旦落ち着いて!


状況を整理 整理!



私は深呼吸をし、気持ちを落ち着かせた。

前世の記憶と言う言葉が出てきたので、最初は動揺したのだが…………。




これを読む限り『異端者は生まれながらにして『前世』の記憶を持つ者』。

とある。


しかし私は、生まれながらにして前世の記憶は、持っていない。


途中で思い出した口だ。

突然変異型だ。


これについては、私は異端者に該当しない。

そう言う事になる。




それに私の過去世は地球人。


つまり、この世界から見ると私の過去世は『異世界人』。

イアール人でもザナール人でもない。


これについても、私は異端者に該当しない。


よって私は、異端者ではない。


そう言う事になる。



多分…………。


まぁ とえあえず。



「ほっ」。



私は胸を撫で下ろした。

安心したせいか、胸のドキドキは収まっていた。



「そうだ!」



念のため『地球人』とか『異世界人』とか、辞典に載っていないかどうか、

調べてみよう!


私は辞典を隅々まで探してみた。

しかし、そんな言葉は、どこにも見あたらなかった。



「ふむ~」。



載っていないか…………。


この世界に、異世界人の前世の記憶を持つ者は いないのだろうか……。



とりあえず私が『異世界』からの転生者である事は、誰にも話さず、秘密に

しておいた方が良さそうである。


もし面白ければ、ブックマーク登録、評価を頂ければ、嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ