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15.能力者

エメオットが奥の部屋へと行った後、私は本を開き、ページをめくった。

そして、目的の精神魔法を探した。



赤が青に見える魔法…………。


赤が青に見える魔法…………。



しかし、そんな魔法は、なかなか見つからない。


そんな中、ふと私の目に留まった、2つの魔法があった。




【ハイヒール】


『ハイヒール』とは、精神の世界の力を利用し、念により、患者を治療する

魔法を言う。


術の発動には、言葉を要する。



水魔法であるヒールは、活力の世界の力を利用し、そのエネルギーを患部に

送り込み、治療をする方法である。


これを『外的治療』と言う。



これに対しハイヒールは、精神の世界の力を利用し、その念を患者に送り込

み、患者自らの治癒力をもって、治療をする方法である。


これを『内的治療』と言う。


念を送り込まれた患者は、自らの持つ自然治癒力が、異常なほどに活性する。



また、ヒールとハイヒールを総じて『治癒魔法』と呼んでいる。


しかしヒールは、病気については治す事ができず、外傷のみの治癒となる。


これに対しハイヒールは、病気と外傷の、両方を治癒する事ができる。

治癒の程度については、術者の能力による。



へ~。


ハイヒールと言う魔法もあるのか…………。




そういや私は、ヒールについて、使えるかどうか、まだ試していなかった。


この前の一件で、もう魔法は、こりごり…………。

でも治癒魔法なら、攻撃魔法じゃないし、使えても損はない。


第一、自分が怪我をした時、自ら治療できるし…………。

将来、生活に困ったら、治癒魔法で商売をすれば、いい!


私が、治癒魔法を使えるかどうか、試してみる価値はありそうだ。




【テレパス】


『テレパス』とは、精神の世界の力を利用し、念を送った相手と、精神の世

界で会話ができる魔法を言う。


術の発動に、言葉を要しない。


テレパスを送れる範囲、及び時間については、能力者の能力による。



ちなみに、ロザリア王国の初代国王『ロザリア・ウィル・ガルガンデス』は、

その死に際に、自分がテレパスの使い手であった事を、明かしている。


ロザリア王国が北大陸を統一できた背景には、異端者の力の他に、ガルガン

デス自らのテレパスの力も、大きかったとされる。



またテレパスの能力を持つ能力者は、魔法の発動に関わらず、他人が心の中

で発した言葉を、聞き取る事ができる、場合もある。



通常、人が心の中で発する言葉は、いくつかの感情が複雑に絡み合っている。


しかし、ある特定の感情のみに支配された心の言葉。


例えば、感動や驚いた時に発する一言、又恐れや怒りの時に発する悲鳴など

は、その感情のみに支配されている。


テレパスを持つ能力者は、その心の言葉を、聞き取る事ができる。



ん?


これ もしかして…………?


心の中の悲鳴などは 能力者に聞こえるって事よね?


ふむ~。


そうだ!


これを うまく利用すれば 能力者を探せるかも!



私が広場で、心の中で『助けて~』と叫び続ける。


もし能力者が広場にいれば…………。


私の声が、きっと届くはず!



これだ!


この策だ!




私はさっそく、広場へと向かう事にした。

そしてエメオットに、帰りの挨拶をした。




再び広場を訪れた私。


私は最初に座ったベンチに、再び腰を下ろし、周囲の様子を見回した。

何人かの人々が、広場周辺で、その目的のために動き回っている。


私は、大きく深呼吸をした。


そして…………。



(助けて! 助けて! 助けて! 助けて!)。



そう心の中で、助けてを連発した。


言葉は、ゆっくり、正確に、はっきりと。

そう心がけた。


すると何人かの人々が、ベンチに座る私を、物珍しそうに見つめながら、

私の目の前を通り過ぎていく。



はっ!


もしかして 私の心が届いた?



と思いきや人々は、まるで何もなかったかのように、私の前を後にする。



な~んだ 私の声が 届いているわけでは ないのか…………。



しかし、そんな事が、度々続いた。



ふむ~。



何で村の人達は、私の事を、物珍しそうに見てゆくんだろう。

この時間、子供が一人で街をうろつくのは、そんなに珍しい事なのか?



はっ!


それとも!


私が めちゃくちゃ 可愛いから?


くすっ。


な~んね!



そんな事を考えながら、私は心の中で、助けてを叫び続けた。



(助けて! 助けて! 助け…………て…………)。



はっ!



私は、急に目を覚ました。

何と私は、ベンチに横になり、寝ていたのである。



しまった!



辺りは既に、夕暮れ時であった。




私は日時計の、もとへと駆け寄り、その影を確認した。



何と!



影は間もなく、日の終わりの文字の線に、達しようとしている。



ひ~~~~!



私は一目散に広場を出て、大きな道路を走り、家へと向かった。



何で こんな事になった?


もう 誰かさんが観光なんか 楽しんでるから こんな事に…………。


リディアのバカ!




私は『バカ! バカ! バカ! バカ!』と心の中で叫びながら、大きな道

路を走り続けた。


そして大きな道路から、家路へと向かう曲がり角まで、たどり着いた……。


ちょうどその時…………。



「カラ~ン コローン カラ~ン コローン…………」。



何と!



一日の終わりを告げる鐘の音が、フォルテの塔から、鳴り出した。



ひ~~!


もう 時間がない!



私は、坂道を一気に駆け上がり、道のりを全速力で走った。


その時である。



「あっあっあっ!」



「バッターーン!」



何と!



私は、石につまずき、転んでしまったのである。



「痛ったーーーい!」。



私は、大きな声で叫び、痛さの余り、顔を歪めた。

そして痛いのを我慢しながら、その場に、ゆっくりと立ち上がった。


膝から血が流れている。



何で こんな忙しい時に限って こんな事が…………。



しかし…………。



「こんな事に 負けてたまるか~!」。


「初日から ミッション失敗だなんて あり得ないわ~!」。



と大きな声で叫び、心を奮い立たせ、再び走って家を目指した。




ようやく家へと、たどり着いた私。


私は最初に物置へと入り、樽に浸してあるレオナの水を、軽く絞った。


そして、それを居間へと持ち帰った。


居間で私は椅子に座り、右膝を曲げ、傷口を観察した。




擦りむいたのは右膝で、傷には小石やほこりなどが、くっついている。

そして、血も流れ、ベタベタしている。


私は傷口に「ふ~」と息を吹きかけ、レオナで優しく、傷口をぬぐった。



「痛 た た た…………」。



しかし、小石やほこりは取れたものの、血はまだ完全に、止まってはいない。



どうしよう…………。


もうすぐ 母が帰って来る…………。


母に見つかったら きっと怒られる。


そうだ!



私はまだ、中級魔法のヒールを試していなかった事を、思い出した。

そして両手を膝に当て、すぐさま魔法を唱えた。



『ヒール!』。



しかし、何も起きなかった。



駄目か…………。


やはり私は 初級魔法しか 使えないのか…………。


そうだ!


今日 覚えたばかりの『ハイヒール』も 試してみよう!



私は再び、両手を膝に当て、魔法を唱えた。



『ハイヒール!』。



すると…………。


何と!



私の両手が、温かい空気に包まれ始めた。

その空気は当然、目には見えない。


しかし私には感じる。

両手に現れた、温かい何かを…………。


それはまるで、気の塊と言うか、気功と言うか…………。


そう、これは…………。


何かのエネルギー!



これ もしかして…………。


念?




私は、すぐさま念を、傷口から私の体へと、送り込んだ。


すると…………。


私の体がポカポカと温まり始め、全身、何かのエネルギーに、包まれてゆく。

と同時に、私の傷口が、淡い光を放ち、みるみるうちに、治ってゆく。



もしかして私…………。


能力者?


そんなぁ…………。




私は、一瞬、心が折れそうになった。



異端者だけでも手がいっぱいなのに その上 更に 能力者だなんて……。


こんな事って ある?


しかし…………。


よく考えてみたら…………。



能力者は選別の儀式がないので、黙っていれば、誰にも気づかれない。


それに、探し求めていた能力者が、今、私の目の前にいる。

て言うか、私自身が、そうなんだけど…………。


これは逆に、喜ぶべき事ではなかろうか…………。



よし!


そうしよう!


やった~!


能力者 みっけ!




その時である。

玄関先で、馬の蹄の音が聞こえた。



やば!



私は、再び傷口をぬぐい、血の跡を完全に消した。

そして、物置にゆき、レオナを樽に浸し、居間の椅子に腰掛けた。



「チャリン チャリン」。



玄関の扉が開く、ベルの音が鳴る。



「ただいま リディア。 あら 1階で 待ってるなんて 珍しいわね」。



そう言って母は、買い物籠を、テーブルの上に置いた。


と同時に、私の服の汚れに気づいた母は、



「一体何があったの~? まさか転んだの?」。



そう慌てて、私の身体を表、裏と反転させながら、私に怪我がないかどうか、

確認を始めた。



「庭で遊んでて ちょっとつまずいて 転んだの…………。 でも 大丈夫

よ 怪我はないから…………」。



「本当に 怪我はないみたいね。 今後は、気をつけないと駄目よ!」。



そう言うと母は、安堵の溜め息を1つ、ついた。


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