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名無しキャストの短編集

主役たちを引き裂く端役でしたが、幸せになりました。

作者: 月嶋朔

「彼女が、お前のほうが似合う、婚約者に贈り物なんて素敵だ、と言ったからな」

 そんなことを言って、まるで捨てるように婚約者が私に寄越したのは、古いブローチでした。きちんと手入れがされていて汚れも欠けもなく、薄い白色の宝石も濁っていません。

 私がブローチから目の前の婚約者に目をやると、あからさまに『面倒くさい』と『喜べ』を混ぜて張り付けた顔をしていたので、黙って笑みを返しました。

 恐らく目についたアンティーク品を買って浮気相手にプレゼントしたけれど、また(・・)彼女がお気に召さなかったのでしょう。

 これまでも彼女は、私に似合うとか、自分には勿体ないとか、外聞のいい言葉を吐いて気に入らないものを、あたかも下げ渡すように私に寄越してきていました。

 一度断ったときに婚約者が「何様だ」とねちねち五月蝿かったので、それ以来一応受け取って保管しています。ですが、笑みは返しても、礼を言ったことは一度もありません。


 そもそも、浮気相手が受け取らなかったものを婚約者に渡すほうもどうかしているし、要らないと言った浮気相手も私にやればいいとか提案するのも、どうかしています。

 今ごろ浮気相手は優越感に浸っていることでしょう……。

 馬鹿にされている現状に腹は立ちますが、かくいう私も目の前の婚約者をただの『契約者』としか見ていないので、はしたないですが、頭の中で舌打ちすれば溜飲は下がります。




 私も彼も伯爵家の生まれです。

 ですが私の家は不運にも姉夫婦に代替わりのタイミングで負債を出して傾いてしまい、長く交流のあった彼の家に援助を求めたところ、現伯爵様が条件として私の家からの嫁入りを望んだのです。

 一番上の姉は婿を取って家を継いでいたので、彼と年の近い二番目の姉が嫁ぐと思っていました。

 だけど彼は姉ではなく、年の離れた、当時十一歳の私を選びました。

 初めて顔を合わせたときは眉目秀麗な彼にときめきましたし、素敵な結婚生活を夢見たりもしました。


 ですが、彼は初対面の、しかもまだ幼かった私に対して

『私がお前を愛することはない。私が愛する唯一は他にいる』

『結婚も援助も我慢してやる。だから、私のすることに口を出すことは許さん』

 と、憎悪を一切隠さずに冷たく突き離してきました。


 彼の言う『唯一』ーー浮気相手とは、とある男爵家の次女のことです。

 絹のように柔らかな髪と、宝石のように煌めく虹彩、舌足らずだけどはっきりした物言いをするところ。なにより華奢だけど柔らかく、胸から腰のラインが艶かしい。肌も白く触り心地が最高なのだと、婚約者は事細かに私に語ったことがありました。

 今思えば、出会ったばかりの子どもに一体なにを聞かせたのでしょう。ただのセクハラです。


 彼が伯爵家を継ぐための条件に婚姻があり、彼はずっと彼女との結婚を望んでいましたが、現伯爵様と夫人に猛反対されたそうです。

 後で夫人に伺ったのですが、男爵令嬢だからというよりは、気質が平民に近いうえにマナーが全然できていないのに努力する気持ちが皆無なのが原因だったそうです。

 本気に愛し合ってるなら、相手の身分に合わせた所作を身に付ける努力や、いっそ身分を捨てる覚悟を見せればいいのに。

 その際に夫人がそうこぼしたので、婚約者や彼女の態度次第では一考したようです。

 ですが、婚約者は平民になるのは嫌だと言い、浮気相手も今のまま囲われて気楽に過ごすと周囲に吹聴しているようです。

 そんな考えだから反対されているのだと気付かないまま、私と結婚した後に浮気相手に家を与えるとか、そこで仲良く暮らすとか、たまには私の顔も見に来てやるとか、そんな温い人生設計まで彼は語ってくれました。

 まだ初対面の、幼い私に。


 私はこのとき、婚約者が次姉を選ばなかった理由を理解しました。

 姉は自分にも他人にも厳しい人で、現在通っている学園でも年上の方であっても目上の方であっても、間違いがあれば臆せず指摘しているようです。

 苛烈な性分だと知られている次姉だったら、怒り狂って婚約者の頬に平手を張ったかもしれません。……それだけで済めばいいのですが、罵倒もついてくるでしょう。彼もそう思ったようです。

 まだ幼い私になら立場を理解させることが容易いと考えたのでしょう。要するに、幼い頃から『お前はただの隠れ蓑だ、お飾りだ』と教え込み、結婚後も私に仕事を押し付けて、自分たちが楽しく逢瀬しやすい環境を作る予定だったのです。

 こちらが援助を受ける側だったので、どんな扱いをされても文句を言えないだろう、という考えもあったのでしょう。


 かくして私は、主役の二人が思い描く『身分に引き裂かれ、それでも愛し合う』といった内容の恋愛劇で、『二人に疎まれる婚約者』という名のない端役を頂きました。


 正直言えば、嬉しくありません。

 婚約者は援助する側なのを理由に私のことを見下して、嫁いだ後は使用人がするような態度でいることを求めてきます。

 一度だけでしたが、娼婦のような振る舞いをふざけて求めてきたことがありました。私が本気で怒って両親たちに訴えると言い返すと「冗談に本気になるな」と面倒そうにぼやいて、二度とそういった類いのことは言わなくなりましたが……そもそもいい年の男性が成人前の女性に求めるものではありません。なにより冗談であっても、とても気持ち悪かったです。

 この件で私の心は完全に婚約者から離れました。それまでは……ええ、確かに、中身がクズでもそれを補う見た目に惑わされていました……反省しています。

 浮気相手まで私を下に見ていい相手だと認識しているのは、婚約者が私に対してそんな扱いをしているからです。だから平然と爵位を無視して下げ渡しみたいな真似をしていますが、もし私が訴えたら自分がどうなるのか、理解していないのでしょうか。婚約者でも恐らく庇いきれないと思うのですが……。


 今のところは、訴えるのは最終手段にしようと思い、私は無知を装って聞き流すか無視をしていますが、もしかしたら失策だったかもしれません。二人の態度が段々とひどくなってきています。

 私に対する言葉遣いや扱いも乱暴になってきましたし、伯爵様たちの猛反対もあってか、最初は隠れてひっそりと愛し合う背徳感を楽しんでいたようですが、今では私と出掛けるのだと家に言って堂々と外で逢い引きしています。

 もちろん、私は口裏を合わせろと言われるだけで、お二人に同行してません。

 街まで馬車に同乗して、その後は言われている通り、一人で行きつけの喫茶店の前に降ろされて、言われた時間まで店の個室で一人お茶を飲んで、帰りは手配していた自宅の馬車で帰って、おしまいです。

 さすがに店の方や従者の皆さんは早い段階で察しましたが、私が口止めしているため露呈はしていません。多分。


 両親や姉夫婦に相談すれば、きっと婚約解消の手続きをしてくれるでしょう。現伯爵様もお優しい方なので理解してくださるかもしれません。

 そうしてさっさと役を降板して他に譲りたいのですが、恐らく両親も伯爵様も私なんかに気を遣ってしまい互いに距離を置いてしまうでしょう。その状態でも引き続き援助を、なんて図々しいことはできません。

 かといって他の援助先を探している間に家が没落してしまうと、路頭に迷ってしまう人が大勢います。

 だから私は、嫌々ながら、端役に専念しているのです。




 受け取ったブローチを傍らにそっと置いて、少し冷めた紅茶を頂きます。私は猫舌なのでこれくらいがちょうどいいのです。

 熱いのを好む婚約者は顔をしかめますが。

「まあ、お前とはこれで最後になるからな。餞別代わりだ」

 いつものように話を聞き流そうと思いましたが、『最後』という言葉が引っ掛かりました。

 婚約者の表情を窺うと、せっかく整った顔をしているのに侮蔑で醜く歪んでいます。


「お前との婚約を破棄する」


 まさか浮気相手との結婚が許されたのかと思いましたが、どうやら違うようです。

 まあ、結婚できるとなったのなら、今頃は私なんて放っておいて彼女といちゃいちゃいているのでしょうけど。


「あの、援助の件は……」

 重要なことだから確認したら、婚約者に、それはそれは大袈裟な溜め息を吐かれました。

「お前は口を開いたら金の話しかしないな」

 それはそうです。

 言ってしまえば、私はお金目当てで彼と婚約したのですから。

 なんのために私の名前を使って浮気相手に会うため口裏を合わせていると思っているのでしょう。

 決して二人の『悲恋』に同情して協力してるわけじゃありません。

 家のために我慢してるだけです。


「彼女なら明るく楽しい話で私を癒してくれるのに……」

 それはそうです。

 私の行動には何百人もの生活がかかっています。

 だけど浮気相手は、自分の生活さえ安定していればいいお一人様。しかも現在進行形で婚約者に貢がれているので気持ちに余裕があるのでしょう。羨ましい。


 だけど、今その余裕がなくなりそうなのだとか。


 婚約者は『悲劇の主役』の顔で忌々しそうにテーブルの上の拳を強く握りました。

「私の癒しに半年前から縁談が来ていて、今は返事を保留しているそうだが……先月から彼女の父親が返事を急かしてるとか。理由を聞いても今は言えないとばかりだとかで……。もし彼女がその男と結婚してしまうと共にいることは叶わないのは確かだ。……だが」

「貴方が先に結婚して伯爵を継いで迎えようとしても、私の年齢では無理なので、すぐに結婚できる方に婚約者を変える、ということですか?」

「…………まぁ、そういうことだな」


 確かに、私が婚姻できる十八歳になるまでまだ三年以上あります。三年も求婚の返事を保留することは、余程の理由がない限りは無理でしょうね。

 婚約を解消されてもその理由が『早く結婚する必要ができたのに相手がまだ幼い』ということで、互いに醜聞にはならないでしょう、多分。

 なので、婚約解消自体は私とって大した問題ではありません。

 一番問題なのは……。


「お前の家への資金援助は継続してやる」

 あ、よかった。じゃあなにも問題ありません。

「両親への説得も済んである。来月うちが主催するパーティーで発表するから、余計なことは言うなよ」

「伯爵様にはどのようにお話ししたのですか?」

 私も当事者だから話を合わせるために必要だと思って訊いたのですが、婚約者は心底面倒くさいという顔をしました。

 私がうっかり『余計なこと』を言ったらどうするのでしょうね。

「……父には『早めに領地で療養してもらうために、すぐに結婚できる年齢の令嬢と婚約し直して相続の手続きを早めたい』と言ってある。新しい婚約者の選定も、婚約破棄の手続きも、そこでする」

「かしこまりました」


 初めての共同作業が『婚約解消の手続き』とは物悲しさを感じますが、役を降りても援助を続けてもらえるなら願ったり叶ったりなので、私は頷きました。

 内心浮かれていた私は、婚約者が終始『解消』ではなく『破棄』だと言っていたことに全く気付きませんでした。




 * * *




 婚約者の話では『伯爵様に領地で療養してもらうため、すぐにでも結婚できる年齢の令嬢と婚約し直したい』ということになっていたはずなのだけれど。

 目の前にいる婚約者と浮気相手の役は、何故か『浮気された悲劇の婚約者』役と『縁談相手を奪われて傷物にされた令嬢』役になっています。


「私は婚約者である彼女を心から信じ、想っていました! ですが……彼女は私を裏切っていた……! まさか私と会うと嘘を吐いて、ここにいる男爵令嬢の縁談相手と密会していたうえに奪うなんて……!」


 さらっと浮気相手の腰を慣れた手つきで抱き寄せて、浮気相手も慣れたように婚約者の胸にしなだれました。

 

 ついさっき『今日初めて顔を合わせました』みたいな小芝居してませんでした?

 というか、毎回人の名前を使って浮気相手に会っていたのはそちらなのに、どの口が仰っているでしょう。証人は山ほどいますのに。


 と、言い返したいところですが、婚約者側が主催のパーティーなので、私の味方は両親以外に誰もいません。

 行動に失敗すると、逆に証拠を潰されてしまう可能性があります。


 というのも、婚約者が浮気相手と外で会うとき、互いに家に行き、そこから婚約者の手配した馬車で街まで行って、一人で降りると行きつけの喫茶店の個室で長時間過ごし、一人で自宅の馬車で帰っています。

 婚約者に会うと言って家を出るのに互いの家に向かわないのは不自然ですし、確認されてしまえばすぐ発覚するので、彼もそこは徹底していました。

 そして、目立つからと言って伯爵の紋が入った馬車ではなく、婚約者が手配した馬車を使っていました。そこから私一人で降りて真っ直ぐ喫茶店に入る姿を『密会前』だと言われてしまえば、そう見えます。

 しかも行きつけの喫茶店となれば、店ぐるみで隠蔽していたとも言えますし、個室を使っていたのでずっと私一人だったと従者が証言しても、私が命じたのだろうと言われてしまえば、覆すことは難しいです。

 婚約者がここまで考えて言ったことだったのかわかりませんが今のところは、自分達が隠れて会っていた、という意識が強いらしく密会の話は早々に切り上げました。

 ……もう少し黙って様子を窺うことにしましょう。


 ですが、そう思案している間、ずっと周囲の怪訝そうな視線が私と、私の浮気相手にされてしまった見知らぬ青年に刺さって、居心地がとても悪いです。

 この見知らぬ方が、浮気相手の縁談相手の男爵様なのでしょう。

 凛としたお顔もですが、所作もとても綺麗で、男爵と言われなければもっと上の爵位の方のようにも見えます。

 年齢は、婚約者と同じくらいか、少し上のようです。


 彼は私の浮気の証拠だと言って、先日私に寄越してきたブローチを指差しました。

 そして男爵様に覚えがあるか確認する。彼は、素直に頷きます。

「ええ、私が婚約の証として贈ったものです。ですが」

「聞きましたか! 彼女はあろうことか! 浮気の証拠を堂々と、身に付けているんですよ!」

 今日絶対にブローチをつけてこいとしつこく言ってたのはこのためか、と役に入りこんでいる婚約者を、私は遠い目で眺める。

 私の両親は、卒倒しそうになっています……。

 伯爵様と夫人は、戸惑いながらも話の真偽を判断しようとしていますね。


 だけど、私の浮気相手にされてしまった男爵様は、毅然とした態度で婚約者と浮気相手に向き直りました。


「このブローチはこちらの伯爵令嬢様に贈ったものではなく、そちらの男爵令嬢様に贈ったものです」

「そんな証拠がどこに? 事実、ブローチは男爵令嬢ではなく伯爵令嬢がつけている!」

「ならばあなたは私が伯爵令嬢様にお渡ししたという証拠をお持ちなのでしょうね」

「貴様……男爵のくせに伯爵家に歯向かうのか!」

「私は確認が必要だと思ったので尋ねただけです。それに、あなたが先程挨拶で仰ったじゃないですか。身分の壁を越えた交流を深めるため今宵は無礼講だ、と」

 まあ、身分を越えた交流と言っても、男爵の彼と浮気相手以外は、全員爵位が同等か上の方たちばかり。しかも元々親交がある方々なので、わざわざ壁とやらを越えていくような間柄でもありません。

 傍らに浮気相手を侍らせても違和感のないように『無礼講だ』と言っただけなのでしょう。


 言質を取られた婚約者は、わかりやすく顔を歪ませて、男爵様をどう言いくるめるか思案しているように見えます。

「伯爵令嬢様」

「え、あ、はいっ」

 不意に彼が私に振り返りました。

 その視線は柔らかではないけれど、敵意のようなものは感じません。

「あなたはそのブローチをどちらで?」

「これは……婚約者様から頂きました。あちらの男爵令嬢様が、私に似合うから、と仰ったとのことで」

「そうですか」

 私の言葉に婚約者と浮気相手がわずかに動揺したように見えました。男爵様の低い声に気圧され浮気相手は黙り込みます。

 しかし婚約者は、どうあれ今は私の手元にある、男爵様の求婚を受けたのは私だ、とばかり主張し始めました。


 ご友人は修羅場を単純に楽しんでいますが、一部の親御さんたちは私の言葉の意味に気付いて表情が険しくなってきていますよ?


 それはそうでしょう。

 男爵が伯爵に対して下げ渡しみたいなことをしていたのですから。


 しかも、このブローチ。ただの贈り物ではなく、婚約者の浮気相手がこの方から婚約の証として渡されたもののようです。

 なのに受け取っておきながら、要らないからと婚約者を通して私に押し付けた。

 彼女……頭がお花畑どころか、宇宙になっているのではないでしょうか……。


「と、とにかく! 私の婚約者に縁談相手を奪われて傷をつけられたこの哀れな男爵令嬢は、私が責任を持って生涯庇護すると約束しよう!」

 なるほど。

 浮気相手を『傷をつけられた可哀想な令嬢』に仕立てて、元婚約者がやらかしたことの尻拭いなんです、だからこれは愛人でも浮気でもないです、ただの保護なんです、ってことにして堂々と手元に置くことを宣言すると。

 そうすれば今後浮気相手に縁談は来づらいし、この後婚約者が別の誰かと婚姻するとなっても、彼女は保護しているだけ、となにをしても言いくるめられるだろう、と?


「同時に! 不義を働いた伯爵令嬢との婚約を破棄する!……まぁ、彼女はまだ幼いともいえる年頃だからな。分別がつかなかったのだろう。そこを考慮し、慰謝料の代わりとして、伯爵家への資金支援を断たせてもらう!」

 ついでに私を今回の悪役として社交界に知らしめたうえに、面倒くさい出費も抑えて、しかも浮いた分で浮気相手との生活が潤うと?

 なるほど、なるほど。


 その辺りのテーブルをひっくり返したい衝動に駆らました。


 けれど、婚約者、もとい、元婚約者のご両親が今にも倒れそうになっているのが目に入ったので、その衝動は心の奥に押し込みます。

 伯爵様の体調不良って、十中八九、元婚約者があの通りなせいなのでしょうけど、浮気相手を堂々と囲える大義名分を与えてしまったので、私も同罪ですね。

 ……せめて抑えた出費が隠居するお二人の生活に役立てばよかったのですが……。


「婚約者候補の令嬢を紹介すると言うから来てみれば、随分と難解な余興ですね」


 そう溜め息混じりに入ってきたのは見たことのない男性でした。

 周囲の方も に驚いていますが、男爵様や一部の方は彼を知っているようで、どうしてここに、といった表情に見えます。


「……公爵様、どうして入ってきてしまったんですか」

「この状況、あなたでは収拾がつかないでしょう。

あちらの伯爵家から援助を受けていたんですか?」

 突然乱入してきた男性ーー公爵様は、言葉が通じないと判断したのか元婚約者と浮気相手には目もくれず、私に問いかけてきました。

 公爵という言葉に驚いて一瞬呆けてしまいましたが、慌ててご挨拶をして、私の代わりに両親が簡単に婚約に至った事情を話すと、彼らは少し考え

「男爵令嬢様はあちらの家の方が面倒を見てくださるようなので、あなたへの責任はこちらで負わなくてはいけませんね」

 と言って、公爵様は男爵様に視線でなにかを伝えます。

 男爵様もそれに頷いて返し、改めて私と私の両親に向き直り、綺麗な礼をしました。


「改めまして。以前は賜った男爵を名乗っていましたが、先月から養子に入ったため、今は一応(・・)こちらの公爵家の者になります」


 その言葉に、押さえきれないように周囲から驚いた声が漏れ聞こえてきました。

 というか、元婚約者も浮気相手も知らなかったようで、口を開けて呆然としています。

 そういえば、浮気相手のお父様が先月から求婚の返事を急かしていたとか言ってましたが、もしかしたらこのことを知っていたのでしょうか。


「昨年第三王女が降嫁された、あの公爵家の」

「しかし養子とは、どういうことだ……家は長男の彼が継いだのだろう?」

「そういえば、前公爵様のお姉様が平民に嫁いだ変わり者だったとか……もしやその息子では……」

「確かに、目元が先々代の若い頃に似ていらっしゃる」


 公爵の名前を出した途端に目の色が変わった周囲を見て、男爵様は苦笑し、首を横に振ります。

「事情は後ほどお話致しますが、私は今後また男爵を名乗ることになりますので、変わらず男爵とお呼びください。

少々込み入った立場ですので、私個人での僅かばかりの援助ということになりますが……」

「助かります! あ、いや、しかし……」

 両親は喜びかけましたが、すぐに落ち着きました。

 彼を不信に思ったのではなく、縁もゆかりもない男爵様に対して遠慮したのでしょう。男爵様も察したようで私に振り返りました。

「あちらの言い分は、そのブローチを持っているあなたが『私からの求婚を受けた』そうです。ならば、あなたに対する責任は私が負うべきだと思うのですがーー」


「何故ですか!」


 私でも両親でもなく、浮気相手が驚いて声を上げました。

 本当に何故。あなたが驚くでしょう。


「あなたは私の縁談相手なのですから、あなたが責任を負わねばならないのは、その子じゃなくて私でしょう!?」

「おい、なにを言うんだ!」

 明らかに伯爵より公爵のほうが地位が高いからいい暮らしができると思ったんじゃないでしょうか。頭の中が宇宙のお花畑のようですし……。

 でもさっき「また男爵を名乗ることになる」と言っていたから公爵家の養子は一時的なことのようですし、彼女が思うような生活はできないでしょうね。


「だってこの方に求婚されたのも、あのブローチを渡されたのも、本当は私だもの!」

 しかもさっきの元婚約者の主張をあっさり覆してしまいました。

 確かに彼女は否定も肯定もしていなかったから、なんとでも言い訳はできますが。


 周囲の空気が、二人への祝福ムードから怪訝そうなものに変わっていくのがわかります。


「婚約の証にお渡ししたはずのブローチは、あなた手元には無いでしょう」

「で……でも……」

「私は初めてお会いしてブローチを渡す際に『まだ互いを一切知りませんが、幸せにする努力をします』と誓いました。あなたはその時なんと答えたか、覚えていますか?」

「えー、えっとー……」

 ……覚えてないみたいですね。

「よい返事を考えると言っていたので、私は何ヵ月も待ちました。なにせ全く知らない男との婚姻になりますから、あなたが充分に考える時間が必要だと思ったので。……ですが、今日まで一言も頂けなかった。そしてあなたは、ご自分ではなく、こちらの伯爵令嬢に似合う(・・・)と言ってブローチを譲った。それが求婚に対するあなたの『返事』なのでしょう?」

「で、でも、物はなくても直接言われたのは私です! あなたはご自分の発言に責任を持たないんですか!」

 正論ですけど、あなたはどうなのですか。

 返事を考えると言ったのに、返事をしないどころか、もらったブローチを無下にしたじゃないですか。

「……このブローチについてお話ししたことを、覚えていらっしゃいますか?」

「え、えっと」

 それも覚えてないんですか。

 男爵様は呆れて、そして全てを諦めた表情で首を横に振りました。

「もういいです。それを忘れてしまった時点で、あなたとはご縁がなかったのでしょう。幸い、そちらの伯爵令息様が生涯あなたを庇護してくださるとのこと。それがあなたの幸せなのだと思いますよ」




 その後。

 慌てて会場に駆けつけた浮気相手の父親が土下座しそうな勢いで私たちに謝罪し、伯爵様も夫人も、公の場で貶めるようなことをした息子の愚行に頭を下げてくださいました。

 伯爵様は「息子の処遇を今一度考え直す」と言って、パーティーはお開きになりました。

 なおも男爵様にすがろうとする浮気相手は、父親に引きずられるように会場を後にしました。お父様は良識のあるように見える方でしたが、何故あのようになってしまったのか……。

 元婚約者は伯爵様たちからの叱責と、今夜選定された、と前もって決められていた新しい婚約者とおぼしき令嬢からの平手と罵倒をもらっていました。






 私たちと男爵様は、互いに相手の有責で婚約破棄の手続きが行われたことを確認した後、改めて我が家で話し合うことになりました。

 両親、姉夫婦、そして私。次女は学園なので同席していません。

 男爵様に同席したのは、パーティーに来ていた公爵家当主である長男を補佐している次兄様と、執事です。


「まずは、私のことを説明しておきましょう」

 そう言って男爵様が公爵家の内情を、口外できる範囲で話してくださいました。


 男爵様は噂されたとおり、前公爵様のお姉様の子で、平民の男性との間に産まれた方でした。

 お姉様ーー男爵様のお母様は、結婚に反対されたため家を出た後、昨年彼のお父様と共に事故死するまで、元は公爵令嬢だったとは思えないほど平民に馴染んで生活していたそうです。

 彼女は愛する男性と生涯を共にするため、そういう努力をされたのでしょう。

 彼のお父様も、家族が衣食住で困ることのないように懸命に働いていたといいます。なので、平民の中でも金銭に余裕のある暮らしをしていたとか。

 男爵様もご両親のおかげで学校へ通えて、その結果、爵位を賜るほどの功績をあげることができたそうです。

 身分差を越えて愛し合うとは、こういうことなのでしょう。どこぞの主役気取りたちにも聞かせたいです。

 ……まぁ、聞いたところで数秒後には忘れて贅沢をするのでしょうけど。


 話を戻しましょう。

 ご両親が亡くなられたのと同じ頃に、先々代の公爵様がご病気で倒れられて、その際に男爵様のお母様——家を出た娘に謝罪がしたから捜せ、と命じたそうです。

 死に際の妄言だと、ほとんどの血縁者が無視したそうですが、彼女の弟である前公爵様だけが懸命に捜索して、つい数ヵ月前ーー男爵様が浮気相手の男爵令嬢に求婚した後ーーに、彼を見つけたそうです。

 ちなみに、浮気相手の父親が男爵様を嫁入り先に選んだのは、元々公爵家の血筋だったこととは一切関係なく、彼の功績が目当てだったとか。

 その後強引に婚姻を進めようとしたのは、恐らく公表前にどこからか養子の話を聞いて、公爵家と繋がりができると考えたのではと……。良識的な方のように見えましたが、なかなか強かな方のようです。

 

 また話を戻します。

 残念ながらお母様は既に亡くなられていたため、前公爵様は男爵様に事情を説明し、先々代の公爵様の元へ連れて行ったそうです。その際、男爵様は渋ったそうですが、身内ちとはいえ自分より上の身分ですから、お断りできないと判断したとか。

 男爵様はご自分で思っていたよりも外見も内面もお母様に似ていたらしく、その場で先々代の公爵様が気に入り、連れてきた前公爵様に『養子として迎え入れて不自由なく世話するように』と命じられたそうです。

 さすがに男爵様も前公爵様も慌てて、そこまでは結構です、できません、と断ったそうですが、二人がどう言っても断れないどころか、逆上して首を跳ねられそうになったとか。

 その後公爵家で話し合った結果『一応養子として迎え入れるが、相続等の権利は放棄すること。期間は先々代が亡くなるまで』と決めたのが、先々月のことだそうです。


「なので私は、先々代が亡くなると公爵家を出て再び男爵に戻ります。……まぁご病気で倒れたといっても『首を跳ねるぞ!』と起き上がって剣を振り回す元気がありますから、もう数年は先のことでしょうね」

 そう言って苦笑する男爵様と、無言で気まずそうにする次兄様に、私たちは「はあ……」としか言えませんでした。


 そんな微妙な空気の中、本題に入りました。

「義弟個人での援助、という話でしたが、祖父の耳にこの話が入ってしまいまして……。孫の婚約者(・・・)の家なら、支援するように、と……」

「それは……!」

 さすがにお断りしようとする両親を制して、公爵様側は話を続けます。

「そう仰ると思いましたが、私が援助するよりも、そちらにとっては都合はいいかと」

「ですが……」

「ただし、条件をつけさせて頂きます。確認を」

 そう言われ、両親は差し出された書類を確認し、驚いたように私のほうを見た。

「……あの、『仮婚約』とありますが……」

「はい。義弟は責任を取ると言いましたが、やはり懇意の方とご結婚されたいでしょうし、なにより伯爵家から男爵に、ということになりますから、仮婚約としたほうがいいと判断しました。

しかし、仮婚約といっても二度婚約を解消された令嬢として見られてしまうこともあると思うので、婚約の話はお断りして頂いても構いません。その場合でも祖父と当主にはこちらから可能な限り好条件で話をします」

 両親も、姉夫婦も、そして男爵様たちも私に振り向きます。

 男爵様と次兄様の気遣いはとても有り難いです。だけど、私は首を横に振りました。

「婚約者のほうが援助の話を通しやすいのであれば、そのように。家の利益になるのであれば、私のことは構いません」

「その後の婚約に不利になるでしょう。家のことはもう気にしなくていいのよ」

「そうだよ。元婚約者のせいでずっと嫌な思いをし続けてきたんだ」

 姉夫婦の言葉にも、私は首を横に振ります。

 正直、結婚願望というものが、あの元婚約者のせいなのか薄く、結婚できないならそれなりの余生でいいか、と考えていました。

 それこそ家のためになるなら、どこかの後妻になることも構わないし、修道院に入ってもいいとも考えています。

 なのに、そう伝えると私以外の方々は、深い溜め息を吐きました。

 家を継がない三女なのですから、そうしたほうがいいと思うのに、何故そんな残念そうに見つめてくるのでしょう。


「…………契約内容に、彼女の将来の保障も付け加えて検討しましょうか?」

「私たちも姉夫婦も、この子がこのままこの家で暮らすのもいいと考えているのですが……」

「この様子だと、恐らく家の不利益になると判断したら、出奔すると思いますが……」

「……そうですね」


「ところで、解消前提で話をしてしまっていますが、弟の元へ嫁ぐ気持ちはありますか?」

「義兄さん、それは」

「嫁ぐ気持ち、ですか」

 それは全く考えていませんでした。

 男爵様はお優しい方だとは思います。元婚約者と違って大事にして頂けそうだとも思いますが、今はそれだけです。

 言ってしまえば、元婚約者と同じ、お金目当ての相手です。


 ちらりと両親を見ると、困ったように苦笑しています。ですが、私が男爵様の元へ嫁ぐことに反対ではないようです。

 両親はずっと、家とは関係なく自由にしていい言ってくださいました。

 ですがそれは家のために学ばれてきた姉二人に申し訳ないですし、今まで元婚約者がいたため他の男性と交流したことがないので、特別好いた方もいません。

 それにもし婚約を解消しても、その後の公爵家の援助が家から私に代わるように話をしてくださるそうなので、それで充分です。

 なのに、どうしてでしょうか。


 男爵夫人として生きるか。

 独り身を通して生きるか。


 どちらか、迷う自分がいます。

 ……私は、どうすればいいのでしょう。


 ふと前を見ると、男爵様が困ったように、だけど柔らかく笑みを浮かべています。

 家族以外の男性から好意的な微笑みを向けられたのは初めてで、思わず目を逸らしてしまいました。

「まだお若いですし、これから入る学院でも新しい出会いがあるでしょう。私のことは気にせず、ゆっくりと考えてください」

 そう言われ、私は、心のどこかが暖かく、だけどそわそわと落ち着かない気持ちになって、小さく頷くことしかできませんでした。




 * * *




 あのパーティーから、三年が経ちました。


 伯爵様はあの後すぐに爵位を返上して、元婚約者と浮気相手を婚姻させました。今お二人は夫人の実家がある領で療養されているそうです。


 婚姻した元婚約者と浮気相手は、私を悪役にするほど『愛し合っていた』のに、平民になったことが原因で仲が冷えきっているそうです。

 しかもパーティーでの一件や、その後の顛末で元婚約者の信用はすっかりなくなってしまい、代々繋がっていた貴族の方々も縁を切りました。

 どこもそんな厄介者を雇おうとはしないそうで、彼らは現在無職だとか。


 我が家も、私を貶めたとして家同士の縁を切せて頂きました。

 だというのに、元婚約者は堂々と我が家に来て、追い返そうとしても門前でべらべら愚痴をこぼし、ついでのように私に復縁まで迫ってきました。

『今のお前は公爵家と縁あるからちょうどいい』

『あの男より私のほうがいいだろう。だから長い間言うことを聞いていたんだろう』

 等々。

 どこまで自分勝手なのだろうと飽きれ、何度も追い返しているうちに来なくなりましたが……。

 彼はもう既婚者なので、私と復縁もなにもないと思うのですが……厚顔無恥とはああいうのだと思います。


 しかも似た者同士だったのか、浮気相手のほうも男爵様に言い寄ってきていたそうです。

『ブローチを譲ったのは、あなたの気持ちを試しただけ』

『元婚約者がしつこくてうんざりしてる』

 と何十通も手紙が届いていたとか。

 全てに断りの返事を送ったそうですが、それを聞いたときは、今まで感じたことのない怒りで感情が焼ききれそうになりました。

 それは焼きもちだと指摘されたときは、恥ずかしさで数日ほどまともに男爵様の顔を見ることができませんでした。


 今では元婚約者と浮気相手のことは全く聞かなくなりました。元々浮気相手の実家のことは我が家と関わりがありませんでしたし、今あの方たちがどうしていようと、もうなにも思いません。

 ただ、伯爵様と夫人は別です。両親が密かに手紙のやり取りをしているのですが、遠方で健やかに過ごされていると聞いて安心しています。

 やはり心配事(・・・)がなくなると違うのですね。




 私は十八になり、綺麗になった、と昔を知る方によく驚かれます。

 三年前のパーティーでの騒ぎは今でも語り草になっていて、表立って口説かれたことはありませんが、学園の男性から匿名で熱烈な手紙を頂くことが時々あります。

 ただ、どれだけ素敵な言葉を贈られても、私が選ぶのはたった一人です。


 そのたった一人の方は、幼い私があの場で貶められている様子に、同情して手を差し伸べて下さりました。

 十五にして男性不信気味になった私だけれど、その人はいつも優しく私に寄り添い、一途に私を想ってくださいました。

 必要以上に触れることも、元婚約者のように欲を無理矢理押し付けてくることもありません。

 その誠実さに絆され、私は、長くお預かりしていたブローチを改めて受け取り、常に身に付けるようになりました。


 ええ、そうです。

 私は男爵様の、正式な婚約者になりました。


 ブローチは公爵家の習わしで、産まれたその日に対になるようにアクセサリーを二つ仕立てて、片方を常に身に付け、生涯の伴侶にもう片方を贈るのだそうです。

 男爵様のお母様は家を出られてもその習わしは大切にされていたそうで、男爵様もお母様のお話を聞いて、大切にしたい伴侶に贈るのだと幼い頃から決めていたのだとか。

 そんな大事なものを、あの方たちは軽んじた。

 思い返すと腸が煮えくりかえる思いですが、だけど今は私の手元にあって、彼もそれを望んでくれています。


 数ヵ月後の卒業式を終えると、そのまま男爵様へ嫁ぐことが決まっています。

 周囲には格下の家に嫁ぐことを嘲笑ったり憐れむような目を向ける方々いますが、私は気になりません。

 式には私の両親と、学園の友人。そして、男爵様の友人と、公爵家の方々の出席も予定しています。

 支援して頂いていた間に公爵家の方々と何度か交流して、契約期間が終わった今でも親しくさせて頂いています。

 というのも、公爵家では女児がめったに産まれず、男爵様のお母様が待望の女児だったそうです。そのためお祖父様が大層溺愛していたそうですが、彼女にとってはその干渉が苦痛だったらしく、結婚を反対されたことをきっかけに出奔したのだとか。

 だからなのでしょうか。

 初めて姉夫婦とご挨拶に伺ったときに、総出で歓迎され、公爵家の女性方に囲まれてまるで孫か娘のように扱われました。

 その後、援助の条件について再度お話した際に将来を心配されてしまい、私と次姉の援助まで決まってしまったのです。

 いまや私や我が家は『婚姻相手を奪った令嬢』から『公爵家に認められた令嬢』となり、男爵夫人になるというのにまるで公爵家に嫁ぐかのような扱いです。


 男爵様は「周囲の期待に応えなければね」と笑って、その後も功績を上げています。

 だから私も、そんな彼の隣に相応しい女性になりたくて、厳しい淑女教育も勉強も挫けずに頑張ることができました。

 公爵夫人様には作法も完璧だと太鼓判を押して頂き、公爵様には学園でトップを維持したことを誉めて頂いたこともあります。

 皆さんから誉めて頂くと、彼との仲も祝福されている気持ちにもなって、とても嬉しいです。


「あなたと結婚できる、私は果報者です」

 白いタキシードを着た男爵様が、幸せそうに笑っています。

 その笑顔で、私はとても満たされた気持ちになるのです。

「私もです。元婚約者のせいで男性は皆浮気性なのだと信じられずにいました。だけどあなたは、淑女として不完全だった頃から私を想い続けて下さいました。

あなたを信じて、寄り添うことができる。今、とても幸せです」

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