97.【俺】来るイベントに備える
40層を突破、目標を10分オーバーしてしまったのがちょっとだけ不満。ボスのドロップ品を拾ってアイテムボックスに放り込む。画面端でゴブウェイとハヤテが息切れしてへたり込んでいる。隠れ体力ゲージ的なものでもあるんだろうか。
まあ、何だか可哀想だし予定通りここで打ち止めだ。
「町行かなきゃだし、迷宮は終わっとくか。半分までいったしな」
俺はスパーダに転移してハヤテとゴブウェイを帰還させて、軽く白銀連盟や教会グループのいるエリアを覗く。
うん、アホほど馴染んでいる。特に教会連中が酷い。ミハエルなんかマッサージチェアに座って携帯ゲームをやりながらご馳走を頬張っていた。おい、現代人の俺よりいい暮らししてんじゃねえ。ってかあんなのまで完備されていたとは驚きだ。明らかに世界観をぶっ壊すオーバースペックな代物だが流石ゲーム、何でもありである。
俺が入ってきたことでミハエルがサッとゲームを隠した。肩を叩いてもう手遅れだと耳元で囁いてあげたい。
ミハエル :こっこれはサブサブロ様
レナ :あ!アンタどこ行ってたのよ。この司教は何なのよ!説明してから行きなさいよ
魔王サブサ風呂:教会ノ者ダ 付イテクルノデ 連レテキタ
レナ :ついてきたから連れてきたって犬猫じゃないんだから。貴方どういう状況か分かってるの!彼が敵かも知れないのに
ミハエル :聞き捨てなりませんな。私が敵であるわけがないっ!私はサブサブロ様の守護者ですぞ
レナ :しゅっ守護者?いや、それは散々聞いたけどさっぱり意味分からないって言ってんのよ
大丈夫だチョロ姉。俺もA連打したせいで教会連中はよう分からん。
ミハエル :そんなことよりサブサブロ様、私をここに連れてきたというのはそういうことで?
魔王サブサ風呂:ヨクワカラヌガ オ前ノ 好キニシロ
ミハエル :はッ
「何だこのイベント」
男としてハーレムに一人だけ男性が入ってしまったことに思うところはあるが、配信で多くの人に見て貰いたいので男女バランス良く住人にしたいところである。とりあえず、町で購入した物資を置いていく。何かを察したレナがすっと近くに寄ってきた。
レナ :時間がある時ちゃんと説明して貰うから。それで?また何かあったでしょ
魔王サブサ風呂:スマナイガ マタ 出ルコトニナル
レナ :助けて貰ってる身だから強くは言わないけど、私達に関係していることならできればちゃんと説明してって前にも言ったと思うんだけど?
少しだけ悩む素振りを見せたサブサブロだったが口を開いた。
魔王サブサ風呂:近ク ペルシア ノ 冒険者ガ ココヲ 攻メテクル
「ここっつうかファームな」
あーでもサブロがダンマスでここが迷宮って話は一応内緒にしてんだっけか。何かもうここにいる連中にはバレてもしょうがない感あるけど。
レナ :!?
レナは苦虫を嚙み潰したような顔を伏せた。
レナ :何でそこまで……。いえ、英雄にはそれほどの価値があるってことなのね
おっとそういう話じゃないがサブロも否定しない。俺が白銀をここに残したいって選択肢選んだからそれが影響しているのかも。
魔王サブサ風呂:オ前達ハ コレマデ通リ ココデ待機ダ
レナ :待って。いい加減貴方だけに迷惑を押し付けるわけにはいかない。貴方が戦うっていうのならたとえ相手がペルシアの人だろうと私達も一緒に戦うわ。皆もそう言うはずよ
魔王サブサ風呂:不要ダ オ前達ハ既ニ死ニ 我ト オ前達ニハ 繋ガリ ガ ナイ事ニ ナッテイル 姿ヲ見セレバ 余計ナ 面倒ヲ 生ムコトニ ナルダケダロウ
大丈夫かなこの嘘。まあ多少ガバでもストーリーだし大丈夫なはず
レナ :でもっ
魔王サブサ風呂:ドウシテモ 助力シタイト 言ウノナラ コレマデ通リ 我ノ従魔ヲ 鍛エルコトダ アレラガ 守リノ 要トナル ソレガ 我ノ望ミ
レナ :貴方が強いことは理解してるし、あの子達も普通の従魔じゃないってのは分かってる。でも、ペルシアの冒険者を舐めちゃ駄目。特に徒党を組んだ時の恐ろしさは桁違いよ
魔王サブサ風呂:ツマリ 組マセネバ ヨイノダロウ?
レナ :え?
魔王サブサ風呂:幾ラデモ 方法ハアル ソレニ徒党ヲ組ム 強サハ 人ニ 限ッタコト デハナイ ソウ思イ込ンデイルノナラ 思イ知ラセテヤルサ イズレナ
くっくっくっと笑ったサブサブロの姿で俺はやはり決戦イベントは大規模戦闘なんだなと確信。そういえば初めてサブロが笑った気がする。無感情キャラかと思っていたが……あれ?これ芽生えていく感じ?




