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93.【森騎団】発覚 動き出す事態①

 ペルシア郊外。止まった馬車に凭れ掛かり地べたに座る紫髪の少年が一人。フォーマルな剣士のようでロングソードと盾を背に背負っていた。


「だりぃー」


「ねえ、ユーリ。駄目だよ。こういう所もC級試験の査定に入ってるんだから」


 咎めたのは赤髪を三つ編みにした女の子、名をキャスカ。魔法使いでありユーリーと二人でPTを組んでいる。16歳という若さでC級見習いというペルシアの星だ。


「嬢ちゃんの言う通りだ。もっと面倒な依頼をこなさなきゃならなくなるぜ」


「ボッシュさん!?」


 二人の間に入ってきたのは彼らの担当官でもあるC級『森騎団』に属するボッシュだ。リーダーではないがベテランであり、冒険者からの信頼は高い。紹介されてユーリ達が頼み込んだ。


「はぁ……めんどくさ。魔物を倒した実力で評価して欲しいですよ俺は」


「依頼あっての冒険者だ。依頼主の前で態度が悪いと評判が落ちる。せめて前では取り繕えるようになれ。後は好きにすればいい。が、忠告するなら全ての行動はPTに返ってくることだけは理解しておくことだな」


 そう言われ、ムスっとして立ち上がったユーリを苦笑してみるキャスカ。仲が良いなと穏やかな目でボッシュは見守る。


「そういえばボッシュさん、これって何の依頼なんですか?西の森のゴブリンはいなくなったって話は私達も聞いたんですけど」


「その調査だ。群れがいなくなりましたで終わる問題ではないからな。むしろ、居場所が分からなくなった分、より面倒になったと言える」


「はっゴブリンなら上位種がいたって俺がぶっ飛ばしてやる」


自信満々に応えたユーリにボッシュが釘を刺した。


「俺はそう言って死んだ冒険者を腐るほど見てきたがな。それもC級B級の実力者がだ」


「え?」


「いいか、魔物で一番気を付けなければならんのはランクじゃない。数だ。たとえ、ゴブリンでも100に囲まれてみろ。息をつく暇もなく殺到する。スキルを撃てば最後、その一瞬の隙でお前は刺し殺される」


「そんな……」


「迷宮と違って外の魔物はそうした危うさがある。あいつらは群れるとヤバい。だから俺ら冒険者が定期的に奴らを狩るのさ。っと……ちょうどいいタイミングで来たな、見ろ」


「なっ」


 ユーリが目を見開いたのはC級PTがずらりと並んでいたからだ。ペルシア最高戦力の揃い踏みと言っても過言ではない。


「改めろ。これがギルドとお前の認識の差だ。できなきゃお前はいつか死ぬ」


◇◇◇


 少しお灸を据えすぎたろうかとシュンとするユーリを見てボリボリと頭を掻くボッシュ。その彼の下へ同じPTであり共に偵察を行なったウィルソンがやってきた。


「ボッシュさん、見終わったら団長が来いと」


「了解」


 見るというのは鑑定でライバル達に探りを入れろという話だ。ふとボッシュはある事に気づきウィルソンに聞く。


「そういえばケルベックの野郎がいねえな」


「あれは降りたって話です」


「降りた?緊急依頼だぞ」


「何でもリーデシア兵と揉めたらしく、それ関係で」


「帝国か。そういえば来てるって話を聞いたな」


「それでボッシュさん。実は不落もそいつにやられたって噂が流れてて」


「何?何故処断しない?いくら帝国兵とはいえ冒険者殺したとなれば……まさか」


「ええ、落ち度はこちら側で手が出せないんじゃないかって」


「あの馬鹿ギルマスが。悪事をやるのは勝手にすればいいが自分のヘマに俺らを巻き込まんで貰いたい」


「この件、帝国の息が掛かっていたとしたら?」


「そうじゃないことを祈るしかねえな。それに流石の奴らも手に入れた国を破壊するなんてことはせんだろう。相変わらず何考えてるかさっぱりな連中ではあるがな……」


 敵国を降伏まで追い込んでおきながら王国の実効支配を行わない帝国。ハッキリ言って気味が悪いとボッシュはウィルソンを見据えた。


「ウィル、悪いが今回お前の力を使わせて貰うことになるだろう」


「あっはい。団長からもそう言われました」


「お前の力を求める奴らは多いだろうが俺らが守る」


ボッシュに言われウィルはふっと笑った。


「ええ、期待してます。だから僕はここ森騎団を選んだんですから」


 青い瞳を持つウィルソン。魔眼の片鱗なのか片側が赤色に染まりオッドアイになっていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 数は力ねぇ。 あれ?こんなところに一般人なら捻り潰せそうなトレントが10万程いるなー?
[一言] ああ、リーデシアって他プレイヤー勢なのか。 そりゃ統治する気はないですよね。
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