84.【教会】ここが天界? ミハエルがハーレム
私ミハエルはサブサブロ様の守護者となり、彼の傍を片時も離れないように気を付けた。時に向けられた拳銃の盾となり、悪名高きギルド長ダンプストにサブサブロ様の肩越しからやんのかコラと睨みを利かせた。
何故サブサブロ様が拳銃を向けられたかって?そんなこと考えるだけでも不敬だ。神を疑うことなどありえない。何故なら絶対正義であるから。
「あの……司祭様、あの人って本当に神の使いなんですか?思いっきりギルドと敵対してて銃まで向けられてたんですけど」
「シスタークレハ、神子サブサブロ様を疑ってはいけません。彼は神言を使用したのです。それこそ彼が神子であらせられる証明。そもそも無抵抗の人間に銃を突きつけ、自分の事を俺ちゃんなどとのたまう男が善人であると思いますか?」
「いえ……それはそうですけど後ろに限っては偏見……。それにすっごく言いにくいんですが、これ置いてかれてますよね」
急にサブサブロの身が光り輝いたと思えば二人は見知らぬ土地に降り立っていて、また輝いたかと思えば彼だけどこかへ消えてしまったのだ。そう、クレハの言う通り、かれこれ一時間ずっと棒立ちとなっている。
「……これは神の試練です」
「ホントに!?本当に!?ここどこなんですか」
「恐らくは神が住まうとされる地シャン」
「あー疲れた。ホント疲れたわ。帰ってきたらアイツに文句いってやるんだから」
「しかし、あいつらもやるな。まさかこの私が魔怪鳥に後れを取るとは思わなかった」
声に遮られバっと振り返ると女たちが歩いているのが目に入った。美しい。それは汗だったがミハエルには輝いて見えた。
「まさかゴブリンを可愛いと思う日が来るとは思いませんでした」
「うん、それに魔物がここまで頭がいいとは思わなかった」
仲が悪いとされるエルフとドワーフが話している。ヒューマンを含めた美少女達が一堂に会している。
「アイツ、サブサブロがテイムしてるからでしょ?野生じゃこうはいかないわよ」
呼び捨て不敬。いや、違う。これはやはりここはシャンバラであり、彼女達はサブサブロ様の同一なる存在かその上に当たる者、つまりは女神達なのだとミハエルは確信した。
これはご挨拶に向わねばと駆けだしたミハエル。その後ろで今、ゴブリンを可愛いって言わなかったとクレハは戦々恐々としていた。
◇◇◇
白銀連盟の前におハゲな司祭が現れた。
「うわっビックリした!?魔物!?じゃなくてハゲのおじさん?」
「横からハゲ」
ハゲハゲ言わないで欲しい。だが相手は女神、ミハエルはぐっと堪える。
「誰だか名乗って貰えると嬉しいのだが」
前に出てきたのはオレンジ髪の女性。身につけたものは訓練着だというのにその立ち姿はまるでヴァルキリーのよう。彼女がリーダーということなのだろう。神気を感じミハエルは自然と膝を折っていた。
「私はサブサブロ様の守護者であります」
カッコ自称とクレハがボソリと呟く。自分の上司の暴走ぶりに本当に大丈夫なのかと不安な視線を送る。
「サブサブロ殿の守護者?」
「まーた変なのでて来たわよ。アイツどんだけヴァラエティー豊かに色んなものを飼ってるのよ」
レナが言い、それで君はとイミールから視線を受けたクレハもペタっと跪いた。
「わっ私はしっシスターです」
「いや、それは恰好を見れば分かるが……。そうだなサブサブロ殿に直接聞いた方が早いだろう。案内しよう。ここに君達をよこしたということはそういうことだろうからな」
「え?でも男の方ですよ」
エルフの学生、エリーがコテンと首を倒した。
「部屋は分かれているし、我々の方が強いのだから問題ないだろう。ここに放置できんしな。ほら、立てないほど疲れこんでいるじゃないか」
キョトンとする教会グループについてこいと言われ慌てて後を追う二人。彼女達の背を見てミハエルは自分の環境に気づいてしまった。
「これが噂に聞くハーレム。何故こんな環境をサブサブロ様は私にお与えに……。っは!?まさか私に伴侶がいないことを憐れんでっ。一生!一生ついていきますぞサブサブロ様」
ゾワっとして振り返ったクレハ。あれは絶対碌な事考えてないとスっと女性陣に加わる。どういう人たちなのかさっぱり分からないが煮て食われることはないだろう。
シスタークレハはため息をつく自分は玉の輿でいい生活を送るのが夢だったのに一体どこへ向かってるんだろうと。
(いい人と結婚して安定したいわ)
奇しくも似たようなことを考えていた教会グループであった。




