81.【俺】2回目の生配信を行う
殺されたのに罰が甘いんじゃねとは思ったけどまあゲームだしこんなものなんだろう。慰謝料三百万エルダーコイン、日本円にて多分300万円ほど受け取ったのでこれを元手にマナでは生み出せないものを購入して迷宮街スパーダーに色々と齎したい。
そこで町紹介を兼ねての配信を行おうかと考える。思い立ったら即実行。ということで教会関連を追い返したかったがどう足掻いても付いてくるのでいない者として扱うことにした。
「あーやっぱまだちょっと緊張するや」
今回は完全にゲリラ配信。高瀬さんや弥彦にも知らせていないので動画再生数が初期より回っているとはいえ人が集まるかだけが心配だった。
開始ボタンを押して急遽生配信を開始する。作っておいたオープニング映像を流して待っていると一人、二人と増えてきた。新規っぽい人の中に見覚えのある名前の人がやってきてくれた。百獣さんと自宅警備員さん。待機中にし準備を整えながら彼らのやり取りを見守った。うん、オープニング出すタイミングミスったわ。
百獣 :こんにちは 急にやりますね
自宅警備兵 :俺でなきゃ見逃しちゃうね
モブ聖人 :初見
名無しB :shoken
名無しC :デュアミってなんですか?
百獣 :作者不明のゲームらしいです
名無し :え?マジ?ツクール製とか?
自宅警備兵 :いや結構しっかりできてるゲーム。現代の大会社作ったって言っても信じられるくらい。動画上がってるぜ
俺が言わずともリスナーが教えてくれてありがたい。
名無しD :期待
名無しC :VRタグ付けないですか?
百獣 :デュアミはVRじゃないですね
名無しC :えーマジかじゃあいいや
見た人からのウケはいいのに動画再生数、配信来場者がイマイチ伸びないのはトレンドがVRだからだろう。今、世間はVRMMOに夢中。そうでない時点で見る選択肢に入らないのは仕方がない。まあ趣味の範囲だし好きにやるつもりだ。繰り返しになるがチャンネル名は謎ゲー攻略サブイチチャンネルでアカウント名はサブイチである。
「どうも皆さんこんにちは。謎ゲー攻略サブイチチャンネルのサブイチです。あっ動画の頭取ってます。皆、生放送に来てくれて感謝。今日は俺が迷宮の中に作った自分の街スパーダを紹介したいと思います。ストーリー進行や迷宮制作が気になる人は動画で分けてるのでそっちをチェック」
ここで一呼吸おいて。
「これからバンバンこの謎ゲーの動画を上げていくつもりなので、もし良かったらチャンネル登録高評価をよろしくお願いします。では、今日も謎ゲー攻略デュアルミッシュ、そのエルダインの世界に全力で浸かってくぞ」
ふぅ、言えたーっと用意した文章を言い終えてホッとする。色んな人のレコチューバーを参考にさせて貰った。まだまだ俺は新米配信者。ここからゆっくりと自分の形を作っていきたい。
彩高 :挨拶決まったんだね。うん、いい感じだと思う
(う゛っ)
高瀬さん。先日、あんなことがあったためちょっと気まずい。ただ当人はまるで気にしてないようなので俺が考えすぎてるだけっぽいか。自然に行こう自然に。
夜ノ花 :そうかしら。私はちょっと硬すぎると思うのだけれど
こいつまさかお嬢様か?何でゲリラ配信なのにこの二人が揃う!?しかも早くね!?もしや俺の事を張って?いやいや、考えすぎだ最上一郎。美少女たちが興味を持っているのはゲームの方だ。とりあえず、ここではスルーしかない。後でお礼のメールを送ろう。
もしかしたら好意を持って貰えるかもだし。あれ?俺スマホ返して貰うの忘れてね?鬼瓦先生め、俺が普通に帰ったせいだけど1111という難解なパスワード解いて覗いてたら許さねえ。
って冗談はさておき、明日絶対返して貰お。
それにしても、俺が言うのもなんだけど君ら名前安直過ぎない?誰かバレバレなんですけど。何か前にもこれ言った気がする。そしてこれからも言う気がする。
「オホン、ちょっと街で買い出しさせてくれ。ここが最初の街ペルシア。もう動画で出したし何度も見せてるけどこうやって見せるのは初めてかも」
人通りが多い場所をカメラを一人称にして映す。
モブ聖人 :おおおおおお
自宅警備兵 :この視点、すげえ異世界っぽい
百獣 :リアルとは思ってましたが本当凄いですね
ふふんっと作ったの俺じゃないけど自慢げになってしまう。
名無しD :あのずっと気になってるんですけど、さっきからチラチラ映りこんでくるハゲはなんですか?後、シスターと
(う゛)
「あーっと餌あげたら付いてきた的な……。気にせんでくれたら助かる。説明ムズイんで気になる人は明日出す予定の動画見てくれると。とりあえず多分味方な」
自宅警備兵 :なんだそれw
夜ノ花 :これは一体どういうことっ!?まさか……そんな!?
何だかお嬢様が驚きを示しているが相変わらず考えていることがようわからん。喋ってるみたいにコメを打つ人だな。気になるが駄目だ、今は配信に集中しよう。スルーして俺は案内を始めるのだった。




