80.【俺】付いてくる奴が仲間に見える現象
あの後、見ていた連中に揶揄われるという更なる地獄を味わった俺はもう真顔で過ごすしかなかった。弥彦がいなかったのが唯一の救いか。忘れよう。記憶から消せば人間生きていける。ゲームをして逃避しよう。
さて前回の俺はギルドでぶっ殺された。どうやら町から即再開できるようで教会で蘇った俺は町復活のチュートリアルを終えたところだ。
信者がいるーとかどうのこうの。適当に読み飛ばした。
「続くなーイベント」
右上にギルドへ向かえの指示が出ている。ストーリーシーンが続くがこれで終わりだろうと感じたので素直に向かっている。ただと俺は操作して後ろを振り返った。
「何でこいつら付いてくんの!?」
どう見てもズラの司祭とそばかすシスターが当たり前のように付いてくる。後方を歩くだけで仲間みたいに見えるのでやめて欲しい。それどころか教会関連者を引き連れる黒甲冑などもうヤバい奴だ。
高瀬さんが遊びに来るのでなるだけ変になりたくないのだが……。そうだ。高瀬さんが来るのだ。部屋片づけた方がいいだろうか。まだまだ先の話だが、何となく俺はシュッシュっと部屋をファブった。
ギルドに辿り着くと門番アランが待っていた。モブかと思ったけど結構出番があるキャラクターだ。
門番アラン :やっぱりな。にしても早すぎだろ旦那
魔王サブサ風呂:フン ネタハ 明カセンゾ
門番アラン :どうせリーデシア御用達の魔道具だろ?分かってるさ。にしても後ろの連中はなんだよ?
魔王サブサ風呂:知ラン 勝手にツイテキタ
「いや、ホントな」
門番アラン :ホント無茶苦茶だな。あっと俺も行くぞ。なあ、旦那……ありゃあいつらが悪いし好きにしてくれていいが町には手をださないでくれ。この町はリーデシアと敵対するつもりはないんだ
サブサブロは答えずズンズン進む、ガタっと青ざめたシアラちゃんを押しのけてギルド室の扉を蹴り破った。どうです?うちの子ファンキーでしょ。呆気にとられるダンプストとケルベックに『不落』の生き残りであるサインとパティの全員が揃っていた。
パティ :嘘……
ダンプスト :馬鹿なっ
ケルベック :おいおいー驚いたなー兄ちゃんは確かに殺したはずだぜ
サイン :化け物がっ
ケルベックが再び銃を構えたがミハイルが庇い立った。ただ、足がガクブルしている。クレハは腰が抜けたようだ。あの、そこ立たれるとお前の後頭部で画面半分持ってかれるんですけど。
ってか銃あるんだなって改めて思ったけど撃った時、リーデシアの道具的なこと言ってなかった?こいつ。サブサブロの体の国、マジでどんなところなんだか。
ミハエル :使徒様に何をするつもりだっ
ケルベック :おいおい何で坊主がここにいる?俺ちゃんの邪魔をするなら容赦しないぜ?
ダンプスト :待つネ。ケルベック
ケルベック :冗談?もう手を挙げてる。ここで止めるのは正気じゃねえぜ
ダンプスト :そこの僧侶。今、使徒と言ったのネ
ミハエル :左様、使徒様は神の言葉を扱いしお方。サブカル教会は全面的に彼を支持しますぞ
「絶対勝手に言ってない?この人」
後、サブカル教会ってなんだその雑な名前は。作ったの日本人かよって言いたくなる。
ダンプスト :ケルベック引くネ……教会まで敵に回すのは拙いネ……
ウンザリした表情でトリガーに指を掛けたまま銃をクルリと回した。不落の装備も手に入ったし、こいつ倒したら貰えるかな。まぁどれだけ強くても斧使いますけど。
門番アラン :どうする旦那。アンタには要求を通す権利がある
ダンプスト :アランっお前はどっちの味方なのネ
門番アラン :怪しいだろうがいきなりぶっ放す奴らの味方は兵士としてできんだろうさ。田舎だろうと守るべき法はある
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≪選択≫
・ミナゴロシ
・許してあげる
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「ふむ」
≪ダンジョンマスターの心得。お隣の街とは仲良くするべし。ダンジョンにとって人は養分です。警戒されないよう振る舞えば情報を得られるでしょう≫
「いやだったら選ばせる意味」
まるで二重人格のようにシステムさんが天邪鬼である。仕方なく許してやる。ちょっと上選んだらどうなったか気になるけど。
魔王サブサ風呂:我ハ平穏ヲ 望ム 我ニ手出シ セヌナラ 罪ハ問ワヌ
門番アラン :お優しいことでと言いたいところだがそれがいい。こんな奴らでも町では名が通っている。害すれば面倒ごとになるだろう。誓約書を書かせよう。勿論、慰謝料も。いいなダンプスト。相手は撃たれても平然と戻ってくる魔道具持ちだぞ?おまけにリーデシアと繋がってる
ダンプスト :ぐぬぬ
魔王サブサ風呂:アア、アト白銀ト学生モ 死ンダ トイウコトニ シテオイテ 貰エルト 有難イ
ダンプスト :ッ!?
サイン :ギルドマスターこいつが全ての原因だぞ。見過ごすっていうのか
あっ媚びた顔グラになった。
ダンプスト :わかったネ……全て要求を飲むネ。だからどうか水に流して頂けると
パティ :ギルド長っ
ケルベック :諦めな嬢ちゃん。依頼者が降りた依頼は俺ちゃんでも続けられんよ。冒険者なんだ、新しい依頼を探すさ。例えばそこの兄ちゃんに恨みを持ってる奴とかからな。なあ、お前らも行くだろ?
パティ :私はケルベックについてく
サイン :俺もだ
そう言って不落メンバーであるパティーとサインも彼についていった。その際こちらを睨む姿がスローで流される。
「ケルベック、アイツがボス的な感じかな」
こいつらの出番がこれで終わりとは思えない。もうボス級の敵として出てきそうな雰囲気がある。
「っと鑑定っと」
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魔操者ケルベック RANK C〈ソロ〉Lv33
HP15,500 MP10,000
魔銃バトロス (リーデシア製)
隠蔽の効果のある装備を所持 スキル鑑定不可
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うん、このゲーム序盤からインフレしてない?こんなもんか?しかし、漸く長かったイベントも終わりを迎えそうである。これで迷宮整えたり冒険ができそうだ。あっ後勿論、配信もだ。




