72.【俺】自称伝説となる
「あー成程」
前回、俺は流石にこれ以上繁殖すんな設定をした。なのに何で無かったことになってんだと調べた結果、どうやら大量の魔物に命令する場合幹部設定した魔物を設置する必要があると分かった。
要するに俺がツリーとキテンをスパーダに移したことで彼らが受け持っていた群れの設定が外れてしまったということだ。絶対その説明無かったよねと若干システムに不満を持ちつつもファームに残していた何かドヤってる幹部キトゥエの横に新たな幹部候補生たちを並べる。多分能力値で見るべきなんだろうけど面倒なので番号だけで採用する。
「えーっとじゃあ、100番がキーハンド、1000番がセンキ、一万がモクマンで」
これでトレントの幹部が6体。遂に総数も十万匹という大台を超えてしまった。もう絶対増やさないと心に誓う。トレントを見る限りどう考えたって枠って制約はもうなさそうだしトレントは場所をとるという以外のデメリットは無さそうだが、できれば色んな種族で揃えたいところである。
「とりあえず強い魔物を狙うとして狼やゴブリンに素材でも取ってきて貰うか。これ魔物の武器とかもあんだよな」
魔物育成には手を出したら沼りそうな項目がズラリと並んでいるのだ。一個ずつ丁寧に消化していきたいところ。とりあえずツリーも置いていきトレント達には大地緑化というファームレベル上昇の仕事を任せる。これで魔物側は一先ず終了と俺は人サイドへ向かおうとし──
≪トレント10万匹の偉業を達成しました≫
≪それを加味して貴方のジョブが変化します≫
「ん?」
何か不穏なことをおっしゃるシステムの声を聴いたのだ。
◇◇◇
人と魔物にしっかり分けられたスパーダ、その人居住区サイド。
「こいつらめっちゃ寛いでるやん」
流れで保護した白銀連盟+学生の面々はビックリするぐらい寛いでいた。ある者は寝転びながら漫画を読み、ある者はゲーム内ゲームで遊んでいる。健康グッズでダイエットに勤しむ奴がいると思えば迷宮料理に舌鼓をうっている者もいる。たった一日で彼女達の異世界人感が消滅していた。
配信のためにここから出て行かないよう誘惑しようと思ってたけどもはや勝手に住み着きそうな勢いである。
俺が来たことに気づき、慌ててリーダーであるイミールが取り繕うも時すでに遅しである。
イミール :サっサブサブロ。やっと戻ってきたか。一体何があったというのだ
エリー :本当に心配してたんです。貴方に何かあったらと思ったら私達は
うん、とりあえず君ら手に持った漫画置こうか。その台詞ホントかって思っちゃうから。
魔王サブサ風呂:オ前達ヲ 追ッテイタ 不落ト戦闘ニ ナッタ
イミール :なっ!?
パイネ :ハムッ
全員驚愕したようで固まる。いや、ドワーフのパイネは何か食ってるな。隠れてるけど会話欄に出てるぞ。
レナ :アンタが無事なのは見れば分かるけど大丈夫だったの?
魔王サブサ風呂:問題ナイ 三人殺シタ
イミール :こっ殺しただとっ
「おーちゃんと人数反映されてるのすげえな」
いや、ストーリーなんだから当たり前か。でも、ゴート逃してたらちゃんとそれも反映されてた気がする。あいつは何が何でも許さなかったけどな。
魔王サブサ風呂:避ケラレヌ戦イダッタ 手ヲ抜ケバ此方ガ ヤラレテイタ ダロウ
「っつか普通にアホほど死んだしな」
見方によってはサブサブロを大量虐殺してる不落である。それだけ倒しても魔王が無限に湧いてくるのだ。向こう側だったら俺はコントローラー投げてる。
イミール :いっいや責めてるわけじゃないんだ。貴方を巻き込んでしまったことが申し訳なくて
エリー :それを言ったら私達が……
魔王サブサ風呂:気ニスルナ
レナ :ねえ、3人って言ったけど後の二人は逃がしたの?それって不味いんじゃない
魔王サブサ風呂:元々三人シカ イナカッタ 分カレテ イタノダロウ 見ラレテハ イナイガ 疑ガワレハ スルダロウナ
ライザ :そんなっ私たちのせいでサブサブロさんがペルシア連続殺人事件の容疑者にっ
ライザちゃんコ〇ン読んでない?ペロッこれは……とかやりださないでね。
魔王サブサ風呂:バッツノ仇ダ 生カシテハ オケヌ
レナ :そう、貴方が血相変えて出ていくものだから何かあったとは思っていたけれどあの鳥……死んじゃったのね
魔王サブサ風呂:生キ返エラセタガナ
バッツ :クワッ
!!っというマークが彼女達の上に表示される。何というか一昔前のRPGっぽい演出である。いや、昔のゲームだったわこれ。
イミール :生き返らせただとっ貴方が嘘をついていないというのは分かるがしかし……いやリーデシアの魔道具ならば蘇生すらも可能だというのか
いよいよリーデシアの魔道具がドラ何とかさんみたいになってきた。あっ22世紀だけど青い狸は販売されてません。ノビさんみたいな駄目人間ならここにいるがな。
魔王サブサ風呂:魔道具デハナイ 我ノ チカラダ
レナ :待って!アンタ前にテイマーって言ってたじゃない
魔王サブサ風呂:我ノ ジョブハ サキホド 変ワッタ
レナ :かっ変わったですって
魔王サブサ風呂:今ノ我ハ 伝説ノ キコリ ナイト ダ
拝啓、お母さま。息子に関西の血を入れてくれてありがとうございました。改めて声を大にして言わせて下さい。なんでやねんと。後、伝説って自称するもんじゃないって俺、最上一郎は思います。




