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59.【俺】異変に気づく

 魔王サブサ風呂:本題ダガ 奴等ハ 英雄ヲ ダンジョン内デ 殺ソウト シテイルソウダ


 エリー    :ダンジョン内でですか?

 ライザ    :だから……わざわざ

 サブサ風呂  :理屈ハワカラン ダガ コダワッテイタ


「うん、そう。でも肝心なところがボカされて分からねえんだよな」


 レナ     :ちょっと待ってどうして貴方がそんなことまで分かるのよ


 そう突っ込まれて仕方なくサブサブロが魔物召喚を使った。現れた大福がぴょんと肩に飛び乗り体を擦り付ける。いや擦りつけ過ぎ、匂いつきそう……。


 ライザ    :あっその子

 魔王サブサ風呂:我ハ テイマー ダ 魔物ノ聴力ヲ モッテスレバ タヤスキコト


 そう魔物には各自特殊なスキルが割り振られていて、大福の地獄兎耳(ヘルラビットイヤー)は遠く離れた者の声を拾える。これを使って情報収集を行い冒険者から情報をぶっこ抜いたのだ。まあ俺はシステムさんの指示に従っただけだけど。


 レナ     :ただのテイマー?本当かしら?貴方叩いたら馬鹿みたいにゴロゴロと肩書が出てきそうだけど

.


「むしろ馬鹿みたいな肩書が出てきます」


 パイネ    :テイマー初めて見た

 イミール   :魔物の活動範囲が減ったことでテイマーも少なくなったと聞くが。それもリーデシアの魔道具によるものなのだろうな

.

 魔王サブサ風呂:ソレデドウスル?オ前達 白銀モ狙ワレテイル ノデアレバ 国ニ 戻ロウト ツミ ヲ キセラレ 弄バレル ノガ ヤマデアロウ

 イミール   :くっ


「殺せ」


 ふざける俺の前で皆が俯いてシュンとする。何かごめんついと反省する俺を知ってか知らでかサブサブロが肩を(すく)めた。


 魔王サブサ風呂:シバシ 時間ヲ貰ウ コトニナル ガ 隣国マデ 飛バシテヤル コトモデキル

 イミール   :なっ本当か!?


 パッと明るくなるがイミールは眉をひそめた。


 イミール   :いっいやだがいい加減貴方に頼り過ぎだ。ここに留まっていることも碌に対価を払えていないというのに。これ以上は


 魔王サブサ風呂:対価ナラ貰ッタ ステータス ハ ソレダケノ 価値ガアル ソレデモ 何カ シタイト 言ウノナラ


 サブサブロが腕を伸ばし、身構えたイミールに魔道具を渡し予想外だとキョトンとした。選択肢を選び知っていた俺もちょっとドキドキしたのは内緒だ。


 イミール   :通信の魔道具?

 魔王サブサ風呂:我ノ拠点ハ ココ スパーダ ダ 動ケル時間ハ 少ナイ 外ノ情報ヲ 齎シテ クレルト アリガタイ


 イミール   :分かった。生涯かけて私は貴方の目となり耳となる  

        

 「サブサブロそこまで言ってなくね?」


 大丈夫か?この女戦士。比較的真面なMOBだと思ったのになんかドM方向にひた走ってない?


 魔王サブサ風呂:……スキニシロ

 イミール   :ああ、これだけの恩を受けたんだ。貴方が望むのならその足裏だって舐めてみせる


「もう怖いよ」


 レナというエルフはまだ疑っているようだったが、他国に逃げられるかもと知り全体的に空気が弛緩した。でも君ら一生出さないよ?だってこの子ら視聴者人気でそうだもん。ストーリーなら仕方がないが選択肢があるなら俺は全身全霊をもって懐柔し引きとめよう。現代施設の中毒性侮ることなかれ。我は魔王、この楽しくご飯の美味しいスパーダから逃れられると思わぬことだハッハッハ。


 そうやって白銀イベントをキャッキャと楽しんでいた俺だったが……


 ≪バッツが死亡しました≫


「は?」


 突然の凶報に俺の思考が止まる。スティックを動かしてしまいサブサブロがガタリと立ち上がった。


 イミール   :サブサブロ殿?


 ≪ケイズスライム×5体が死亡しました≫

 ≪モックモック蝶 モースが死亡しました≫

 ≪ネイドキッド  トレパが死亡しました≫


「なっ!?」


 バッツが死んだのは意味が分からない。だが、適当に迷宮配置していた魔物で流石に俺も気づいた。侵入者が現れたのだと。


「まだ開店してねえのに入ってくるとかマジかよ……」


 想像だにしていなかった。やはりこのゲームの難易度はかなり高い。自分のお気に入りである魔物に犠牲者が出たことに俺はショックを隠せない。


 イミール   :サブサブロ殿何があった?

 魔王サブサ風呂:侵入者ガ キタラシイ

 エリー    :わっ私たちも戦います

 サブサ風呂  :不要ダ

 エリー    :でっでも


 ≪白銀のメンバーに助力を請いますか yesかnoか半分か≫

 

 最速でノーを選択。そうだ──


 魔王サブサ風呂:仲間ヲ ヤラレタ 我ガ ケリヲツケル

 レナ     :っ!?


 その通りだ。サブサブロ。その怒りはプレイヤーである俺と通じているかのようだった。バッツは初期メンバーであり、幹部に上げたのは最初からいただけという理由だが、鍛えメキメキと実力を上げていた有望株だ。


 家鴨のように鳴いて五月蠅かったが、これからどう育てていこうかリスナーとも相談したりもした。それを勝手に殺された。コンコンと現実でノックされた。


「イチ兄ご飯だって」


「悪い奈々、今日はいいって言っといてくれ」


「いいの?」


「ああ」


「分かった」


 熱い息を吐いて、コントローラーを握り込む。久しぶりにゲームでムカついた。


「どこの誰だか知らねえが絶対に許さねえ」


 俺は侵入者を潰すと誓った。

※デュアミはストレスフリー

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― 新着の感想 ―
[一言] 貴重...か分からないけどバッツがァッ!!!!
[一言] バッツー!!
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