52.【俺】ユニーク『疾風のワーグ』
ワーグ。北欧神話にも登場する大型のオオカミはこのゲームではユニークと呼ばれる存在で君臨していた。
ユニークは特殊なモンスターで強い個体、名前付きでありこいつは疾風の称号を冠している。ランクC相当であり高額の懸賞額が懸けられるだけあった──
近づいただけで威圧感がある。やはり格の違いを感じる。
絶対に仲間にする。そして名前は既にハヤテで決定だ。
近づけばフェンリルほどではないけれど十分な青色の毛を持つ巨狼であることが分かる。これまでで一番の格上の敵であろうとして俺は不満を露わにしたがバワンを下がらせた。
現状、犠牲者はゴブリンフライデーだけとはいえ仲魔を復活させる手段が分からない。格上との戦闘で彼らを出すのをやめたのだ。
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疾風のワーグ 賢狼 LV18
通常の個体よりも頭がよく、旅人を罠にはめる。幾人もの冒険者を毒牙にかけ、名付きとなるまで成長した。風魔法を操ることができる。
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音楽が変わった。俺は斧を選択。多分、剣の方がいいけれど一番の武器で闘いたくなった。体毛を逆立て、グルゥルルっと唸る疾風のワーグ。使役を使ったが弾かれた。やはり弱らさなければならないようだ。
(来るっ)
コントローラーをぎゅっと握り込む俺に狼の咆哮が轟いた。
◇◇◇
凄い迫力、ゲームなのに身が凍るようだと音量を落としながら俺は戦う。
【風魔法:疾風】
「っ」
風を纏ったワーグが突進──一気に襲いかかってくる。いきなりかよっと俺はスティックを倒して連打する。避けきれず被弾し、体力が大きく削られるだけでなく鎧の一部が弾けとんだ。
「つえええ」
流石ユニークだ。俺の想像の上をいった。大福が初心者ダンジョンのボスだったからという理由もあるかもしれないが、迷宮ボスより強いかもしれない。
【風魔法:エアロカッター】
「ちょちょちょっ」
わおーんっと遠吠えをしたかと思えば風の刃が俺を襲った。回避するのが精一杯で攻撃に転じる暇がない。これが魔法。早急にこれを覚えなければならないし、これを使える仲間を増やさないといけない。
でなければアイツら冒険者には勝てないし、迷宮を維持することなんて不可能だ。
≪スピニーエッジLV1≫
回転する薙ぎ払いで風刃を叩き落とす。が、力負けし体が泳いだ。そこに体当たりを貰い俺は大きく吹き飛んだ。体力が赤になり──
「くっ」
ポーションを使おうとした俺にワーグが容赦なく肉薄し、俺はガードボタンを押した。ガード中はアイテムが使用できない。更にダメージを重ね瀕死となってサブサブロが膝をつく。
バワン :フルッフゥううう
案外懐いていたのかもしれない。バワンが心配してか騒ぐが俺は再度待機を選択。ゲーマーとしての経験測。タッグで勝っても意味はない、この敵にソロで勝てなければこの先やっていけないのだ。
「回復する暇がねえってなら一発も喰らわなきゃいいんだ」
一撃即死状態となってゲーマーの血がより騒ぐ。難易度は高い方が燃える。最近、温いゲームが多かったので超楽しい。一度見た技はモーション含めもう覚えた。
「こいよ犬コロ」
俺は気合を入れなおしスティックを弾いた。
◇◇◇
薄氷を踏むかのようなギリギリの闘いが続く。回避に次ぐ回避によって反撃の機会を窺う。
(ここっ)
スキルは打てない。それくらい隙がないくらいこいつが素早いため弱攻撃を挟む。小回りが利くのは剣だが、持ちかえる暇もない上に多分それでは怯まない。ガッと掠めただけだがそれでも大きく仰け反った。やはり火力は正義。
「いけっ」
≪パワースラッシュLV1≫
斬っとヒットして疾風のワーグが悲鳴を上げた。よしとガッツポーズしようとしたが、起き上がろうとして身構える。しかし、出血が入りスリップダメージで瀕死となったようだ。ガクッと膝が落ち、崩れた。弱らせるだけのつもりだったが加減ができなかった。生きていてホッとし、使役が通ったことでふうっと安堵の息が出た。
≪疾風のワーグを使役しました≫
≪初めてユニークモンスターを配下にしました≫
≪サブサブロのレベルが15に上がりました≫
≪バワンのレベルが9に上がりました≫
マジで死んでもおかしくなかった。そういえばこれ死んだらどこまで引き戻るんだろうか。ちょっと疑問に感じながらも俺は新たな配下ハヤテを手に入れたのだ。
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result
サブサブロLv15
new member
グレーターウルフ
エット(一番)、トヴォ(二番)、トレ(三番)、フィーラ(四番)
フィム(五番)
ユニーク 疾風のワーグ
ハヤテ
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