49.【俺】Aランクの男との遭遇
俺が想像してた以上に敵(冒険者)の平均値が高い。迷宮を稼働させるためにも魔物達を鍛え、そしてより強い仲間がいる。俺は再び町に戻ることにし、白銀連盟の人たちに退屈だろうからとマナを使って訓練場や図書館などの施設を開放した。
やることが多いので白銀さん達には好きにやって貰って暫くはお別れだ。ここから俺は自己強化に力を入れる。まずやるべきことはこれだろうとメニューを開く。
◆───-- - - - - - - – --───◆
Eソロ冒険者
サブサブロ(年齢不詳) LV13 種族魔王 影薄ローリングナイト
HP480 MP190 ATK100 DEF40
自作斧 リーデイルの直剣 初級リーデイルの黒鎧
斧 ≪パワースラッシュLV1≫ 剣 ≪スラッシュLV1≫
≪スピニーエッジLV1≫ ≪カットブレードLV1≫
≪ホームランスラッガーLV1≫
専用
≪魔物使役≫≪迷宮運営≫≪魔界街制作≫
共通
≪隠蔽≫≪初級鑑定≫≪ローリング無敵時間向上≫≪斧の心得≫
◆───-- - - - - - - – --───◆
うん、C級冒険者や英雄のステータスをみたせいか糞弱く感じる。多分、能力値は抑えめ。だから仲間にできる魔物の数に制限がないのだろう。その分を魔物で補えということ。後、俺が碌にパッシブスキルとらずにネタ必殺ホームランスラッガーにポイントをぶち込んだせいでもある。だがロマン砲は大事だ。
「もしかして魔王が一番難度高いのか?」
英雄を選んでいたら彼女達みたいなステータスだったのだろうか。だとしてもその方がゲーマーとしてはずっと燃える。HPが低い?当たらなければよいのだ。何より配下の魔物可愛いし魔王を選んだことを後悔などするものか。
ここでつい能力値を上げたくなるがもう焼石に水。俺はなけなしのポイントを使って鑑定を中級に上げることを決意。対応を練るため何より情報が大事だと白銀のステータスを見て改めてそう思った。魔王は配下を利用し、様々な手を使うヴィランだと感じる。
それでも、最初の方は極力自力で攻略したい。でもキャラ的に不可能だと感じたら配信映えしそうな搦め手も使っていこうと思う。そのためにもゲットだ。
≪中級鑑定を覚えました≫
まあ自己強化はこんな感じ。そしてスパーダという拠点を得たことで魔物育成ができるようになった。とりあえず適当に設定して6傑達に訓練を施す。
「いいかお前ら。もういっそ進化しろ。配信するから可愛い姿のまま怪物となれ」
「きゅい」
「クワッ」
「フルッフウ」
よし、実にいい感じだ。布団から出ないゴブリンは見なかったことにして。一通りの予定を終えた俺はまたペルシアの門の前に立っているのだが──応対するのはいつもの門番だった。俺がシアラちゃん攻略のためプレゼントレベルをこいつで上げた結果、ペルシアで一番好感度が高いという謎の事態に発展している。一体誰のせいなんだ。
門番アラン :おっ!お前さんまだいたんだな。どこ行ってたんだ?
魔王サブサ風呂:ソザイヲトリニナ ガ シッパイシタ
門番アラン :くはっ天下と名高いリーデイル兵でも失敗するんだな。あーっとだ。一応聞かなきゃならねえんだが、アンタ切り株には行ってないよな?
魔王サブサ風呂:閉鎖サレテイルト聞イタ イッテナイガ ナニカ アッタノカ?
門番アラン :いや、行ってないならいいんだ。まだ暫く閉鎖されるって話でな。絶対に近づかないでくれ、面倒になる
魔王サブサ風呂:ココロエタ
門番アラン :ああ待て。いつも貰ってばっかだからな。こいつは俺からだ
≪魔銀の短剣を手に入れた≫
「おお!結構いいやつじゃん。ありがてえ」
いや待つんだ最上一郎。これ男同士で延々とプレゼント交換してる絵面になってないか? 変な噂たたない? まあゲームだしな考え過ぎか。どうやら好感度を上げておくとNPCがものをくれたりするようだ。ゲームでよくあるやつだな。
魔王サブサ風呂:スマヌナ イタダコウ
門番アラン :いいってことよ。お前が作る武器は最高だからな。待ってろ、お前が驚きひっくり返るようなものを用意してやるからよ
魔王サブサ風呂:フッサセテミロ
門番ポール :ねえ君らせめてもうちょっと人目を気にしようか
もはやプレ交換オジと化したアランとのやり取りを終えて、ふむと俺は考える。町総出ではなさそうだが、少なくともギルド上層部は白銀連盟の追跡を容認していると言える。
「英雄狩りか……」
果たして犯人は人サイドという俺の予想は当たっているだろうか。そしてどんなお話となってゆくのか……非常に楽しみである。後、ゲームでも負けるの嫌なので来るだろう戦いに備え俺は全力で準備する。ただレベルは上げ過ぎない。配信するから激闘になるよう俺は調整する。
◇◇◇
久しぶりのギルド到着。ずらずらと冒険者達が酒場や談笑していて人が多い印象を受けた。サブローが入る事で一瞬会話が止まる。目立っているから仕方がないが流石の俺も異変に気付いた。
「なっ」
もしも俺がゲームの中にいたらその動揺を拾われていたに違いない。さらっと見た者達のランクが想像していたものより遥かに高かったのだ。その中でも一際目に付いたのは黒槍のリーダーと書かれた男。
◆───-- - - - - - - – --───◆
【PT黒槍リーダー】ノストラ RANK A
◆───-- - - - - - - – --───◆
「Aランクっ!?」
サブサブロと同じ黄金の髪を持つ男。明らかに装備の質が違いまるで主人公のようで思わず見惚れ、手が止まってしまった。まさかいきなりこんな奴が出てくるとは。戦わないよな?だったら難度高すぎるぞ。
そこに更に入ってきたのは『白銀』を襲ったCランクパーティー『不落』。彼らは最初から俺が目的だったとばかり真っ直ぐサブローに向かい声をかけてきた。不落リーダー、重戦士のゴート。31歳の大男。こちらもフルアーマーなので暑苦しい。後、顔グラだけの判断だが凄く悪そうだ。
ゴート :よおリーデイル兵。早速で悪いがアンタ切り株にはいかなかったか?姿を見なかったが
サブサ風呂:ソザイヲ トッテイタ
ゴート :碌な魔物のいない西にか?
サブサ風呂:我ハ鍛冶ガ デキル ソウイッタ素材ダ
ゴート :ほう、鍛冶ね
サブサ風呂:鍛冶屋ニ聞ケバ ワカルダロウ アマリ センサクハスカン
サブローが苛立ちをみせたのかゴートは降参だと両手をあげた。
ゴート :おっとリーデイル兵と敵対する気はねえよ。悪かった。ちょいと気になってな。おい
そう言うが明らかに確認をとりにきた。疑われているのだろう。
(白銀連盟が姿を消し、丁度俺がいなかったからな。そりゃ疑われない方がおかしいか)
しかし、よくできたゲームだと感心するが、バレないように徹底した場合シナリオに変化があったのかは気になるところ。
ノストラ :やあ、何の話だい?僕も入れてくれないか?
AランクPT『黒槍』のリーダー、ノストラ。自然を装ったようだが、生憎と俯瞰視点なのでバレバレだった。




