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47.【俺】知らぬ間に天敵?を手中に収める

 イミール  :隠し事はなしという約束だったはずだが?

 エリー   :ごっごめんなさい

 ライザ   :エリーは悪くないよ私が……

 レナ    :どんな理由にせよ。嘘は裏切りよ


 二人がしょんぼりし、レナはしょうがないわねとそれ以上怒ることはなく肩の力を抜いた。ツンツンしてるけど何だかんだこの子優しそう。


 イミール  :話してくれるか?仲間が死にかけた。君達が犯罪者なら

 ライザ   :犯罪なんかじゃない!私達は


 そこで止め、エリーがサブサブロを見た。


 エリー   :全部話しますからサブサブロさんも聞いてください


 聞いたら思いっきり巻き込まれそうだがまあサブサブロが知りたいつったしなと俺は飲み物を出しチューと(すす)る。あのバワンも神妙な空気に大人しくしているという奇跡。皆がじっと見つめれば学生たちが話し出した。


 エリー   :ずっと狙われていたわけじゃないんです。誓って言います。学園にいた私達は安全な生活を送っていました。ただ……


 レナ    :ただ?

 ライザ   :幼少期に狙われたことがあって


 レナ    :女性は狙われるもの。態々言うってことはエルフや女だからじゃないってことかしら?


 ライザ   :はい 私達のジョブが理由で

 イミール  :魔法使いじゃなかったのかっ!?

 エリー   :ごっごめんなさいです


 パイネ   :それは変。貴方たちはあのメルカトル魔道大国で学園に通えるほどの優秀な魔法使いの卵。実際、私達も貴方たちの魔法使用をこの目で見てる。ジョブをなくして専用スキルは放てないがエルダインの理なはず


 そうらしい。当たり前だが、プレイヤーとはまた違うようだ。へーっという俺の前(画面越し)でライザとエリーが頷き合った。そしてステータス版を出し、俺達に見せてくれた。


 ライザ   :これが私達のステータスです


 ◆───-- - - -            - - - – --───◆

 エリー(16歳)LV17 種族エルフ  ジョブ英雄

 全ジョブスキルツリー解放  ステータス略

 ライザ(17歳)LV17 種族人間   ジョブ英雄

 全ジョブスキルツリー解放  ステータス略

 ◆───-- - - -            - - - – --───◆


 ステータスやスキルがつらつらと書き連ねられているがそれは省略。大事なのはやはりジョブ。ぶふっと現実で水分補給していた俺は噴出した。


 魔王サブサブロ、まさかの英雄を救助していた。


「おいおい、大丈夫なのか?これ」


 従来のRPGじゃ天敵といっていい間柄。魔王とバレれば戦闘になるんじゃないかと恐々とする。そして、ストーリーの都合上かもしれないが、多分俺はどれだけスキルを上げても英雄のジョブを看破できない。鑑定が一切効かないのだ。


 イミール  :英雄だとっ

 レナ    :エルフの英雄……


 当たり前だが凄い存在なのだろう。白銀連盟の三人が呆けてしまった。


 ライザ   :確かに過去ではそうだけど、現在魔族の多くは淘汰されてるからそれほど必要とされる時代じゃないよ


 エリー   :だからひっそりと生きるべきだと“神様”から言われました。このジョブのことも絶対に誰にも喋るなとも。それで……私達言えなくて


 イミール  :かっ神に会ったのか!?

 エリー   :えっと、はい。声だけですけど。特にライザが聞こえて


 そう苦笑するエリー。そこにまたもパイネの指摘が入る。


 パイネ   :でも、命を狙われている。やっぱり魔族?


 エリー   :分かりません。ただ、彼らも英雄どころではないと思いますから。ジョブ自体に恨みを抱いている者かあるいは──


「人間か……か」


 俺、最上一郎はパジャマ姿でシリアスな顔をしている。


 レナ    :大元が何者かは分からないけれど、かなりの大物が加担してるのは確定的でしょうね。でなきゃ辺境だろうとギルドを動かすなんて無理よ


 大勢(たいせい)が決まり人間が魔を圧倒している以上、魔族側が音頭をとったと考えるのは難しい。暴れている英雄や功績を残した者ならまだしも彼女達は何もせずひっそりと暮らしているのだ。(やぶ)をつついている場合ではないだろう。勿論、よくある親族が恨みを買ってるってパターンや早めに芽を摘んでおくって筋書きはあるけど、俺の長年におけるゲーム経験が言っている。この絵を描いた犯人は間違いなく人であると。理由はそっちのがシナリオ的に面白いから。この勘が正しいなら英雄が人サイドから狙われている。被害者である彼女達には申し訳ないが、テンプレストーリーじゃなくてワクワクしてしまう。


(こりゃ単純な勧善懲悪(かんぜんちょうあく)ものじゃなさそうだ。物語まで面白いとかマジかよ)


ハイパー俺好みである。


 ライザ  :私たちがペルシアに来たのはスキルの力を信じきっていたからで

 イミール :スキル?


 エリー  :英雄は直感というスキルを持っています。私とライザはそれを使って危険を回避してきました。幼少期に一度襲われて以来、狙われることもなかったのですが、また脳に強くスキルが訴えてきて……それで


 イミール :私たちに依頼を出し、無事に襲われたと


 ライザ  :ごめんなさい。私たちの勝手な思い込みで、白銀の皆さんを 危険な目に巻き込んでそれに命の危機まで……。どう償えばいいんだろうって


 またしょんぼりする二人にイミールはハァっと大きく溜息をついた。


 イミール :思う所はあるが、正直に話してくれたなら今は許す。どうやら私達も狙われていたようだからな


 エリー  :え?


 レナ   :そうね、不落は私達を傷つけないように動いてた。ターゲットには私達も含まれていたと見てまず間違いないわ。貴方たちを従わせるために使う気だったのか、それとも……。まあ、あいつらの好色そうな視線を見れば嫌でも糞な理由って察しがつくけどね


 イミール :全く、折角人が大地を取り戻したというのに、これでは人が魔族のようじゃないかっ

.


 女剣士イミールの嘆きにシンとしてしまった。やがて彼女の目がサブサブロに向けられる。


 イミール :暫くは帰れないな。貴方には申し訳ないのだが、やはり暫くここにいさせて貰えないだろうか。無理を承知の上で頼む


 ライザ  :わっ私達からもお願いします。こんな目にあってしまいましたが直感が告げているのです。貴方を頼れって


 いやもう答えは決まってるけどもそういえば英雄って最初のプレイアブル選択にあったなと俺は何となく思い出すのだった。

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