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35.【俺】激突ホワイトフラワー

 ボスの音楽が鳴り響き、(つぼみ)からギザ歯を覗かせるホワイトフラワーが咆哮した。ビリビリとコントローラが振動した後で、大量の根っこがブワリと宙を飾る。


【テンタクルプラント】


「なっ」


 開幕──植物の触手による連弾。まじかよとローリングを駆使して回避する。それでも何発か貰いHPが削れる。こいつ桁違いに強い。


「いきなり死にゲーみたいな難易度だな」


 ボス部屋は広い。剣よりも範囲の広い方がいいだろうと斧を取り出して攻撃してみれば相手の攻撃を弾けることに気づく。タイミングが重要だ。


「きゅいっ」


 大福も被弾してゴロンと転がり、そのまま後方に下がれと指示を送った。


【シードショット】


 蕾がぎゅっと空気を吸い込み、3つの種をポンポンポンと発射する。斧を盾にするが大きくノックバック。大福が押さえてくれた。


「ぴゅい」


 ぴゅいときゅいしか言ってないが不思議と意図が伝わってくる。共に行こう大福。二人で並び立ち向かう。そして激闘が始まった。


 ◇◇◇


 戦闘時間が10分を超えた。ギリギリの闘いが続き疲れてきた。相手も俺もHPが赤と瀕死ライン。ここで負けるとガックリするだろう。


(流石に第二形態はなさそうだな)


 あったらおわってた。まあ、最初からそこまで用意されてはいないだろうが……


 ホワイトフラワーに動きの変化が起き、ん?っとなる。体が光り輝いている。明らかに大技への予備動作だった。最後の一撃とでも言うべきか。


「マジかよ」


 指を置き、攻撃に備える。けれど、その速度は俺の想像を超えていた。


光轟光(サンレイ)


「っ」


 チカッと青白い光が輝いたかと思えば眩い限りの光線が放たれた。構えていたのに反応できない。受けるか避けるかで迷ってしまった。やべえ死ぬっとコントローラーから手を離しそうになったが俺ことサブサブロの前に白玉が立つ。


「ぴゅいいいいい」


 ≪大福:スキル使用 膨腹盾ストマックシールド


 膨らんだ大福が腹で受けて俺を庇う。凄まじい轟音と共に見る見るHPが減ってゆく。大福を失う未来が見えてぞっとした。ゴブリンフライデーの時から思っていたのだ。もしかしてこのゲーム……配下の蘇生手段がないのではないかと。


「ぴゅいっ」


「大福っ」


 弾き飛ばされた大福の姿にゲームなのに叫んでしまった。駆け寄ろうとした操作を止める。システムメッセージが流れない限り大福は生きている。今俺がやるべきことそれは──


 大福が作ってくれたこの千載一遇を生かすこと。俺は一気に距離を詰めるとあるスキルを使用した。実は誘惑に負けてとってしまった斧の必殺技≪ホームランスラッガーLV1≫。正直かなりの溜め時間が必要な割にただ下から上にフルスイングするという決め技以外の何物でもないがネームセンスが俺好みでとってしまった。


 ≪ホームランスラッガーLV1≫


「ホームランッスラッガーああ」


 システムと同時に俺は吠えた。見事にぶち当て、吹き飛んだボスの姿に気分が高揚する。糞技だろうがやはり火力は浪漫。


 ≪最終階層主ボス ホワイトフラワーを討伐しました≫


 ≪サブサブロのレベルが13にアップしました≫


「よしっ」


 思わずガッツポーズ。久しぶりにゲームでここまでの興奮を味わったかもしれない。サブサブロを振り返えさせれば大福が起き上がっていてホッとする。


 駆け寄ってポーションをかけてやると笑いそうになるくらい喜んでくれ、その姿に安堵の息が出た。どうやら短い出会いとはいえ大福には愛着がわいてしまっているらしい。


 ゴブリンフライデーことゴブフラさんはすまない。君の事は忘れない。


 しかし、今回の闘いは色々と学べた。相手の攻略情報やメンバーを厳選しないと確実に俺は仲間を失う。この仕様、魔物に愛着が湧くほどヤバそうである。


「これ結構鬼畜ゲーかもな……」


 だからこそ備えよう。そう決意した俺は大福を乗せると、開かれた扉を抜け切り株ダンジョンのコアがある最終部屋に辿り着いたのだ。


 ≪大福のレベルがあがりました 7→8≫


 ≪大福の好感度がアップ≫


 ≪サブサブロは仲魔思いの称号をゲットしました≫

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― 新着の感想 ―
[一言] ペットで大福って普通にありだよね。かわいいじゃん。
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