265.【俺】もう一つの兄妹③
RPG :とはいえ、断片的でサブサブロ様に満足して頂けるものかはわかりませんが。貴方様が価値を判断してください
魔王サブサ風呂:ヨカロウ
「これ配信した方が良かったかな」
サブだと思ったけどメイン並みか?まあいっか。文句言われたら謝ろう。何か二人から糸見たいなの出てきてキュッと結ばれたけど何それ?
≪浸食率30%≫
≪起動シークエンス chaos field Dual Misch≫
≪NPC RPG視点 hack成功 再現率92%≫
おっとまた何か出た。と言いたいが前回高速過ぎて捉えられなかったこれは編集時に停止して既に把握済みだ。多分NPCプレイヤー真四角の視点を覗いた時と似たような感じだろう。
(サブロ、主人公だけの能力って感じか?ハッキング的な力ってことだよな。重要そうなのに限って説明省くんだよなこのゲーム)
パッとロードが入って視点が二段階下へ下がる。RPG視点なのだとすぐ分かる。モクモクと煙が立っていて見通しが悪い。暗さから見て迷宮だろうか。晴れるのが待ちきれないとばかり影がのそっと顔を出した。見下ろしたのは出会った時と同じローブ姿の剣豪13番。あのインビジブルソードを身に着けている。
Player13 :ほう、聞いた通りこの手法凄い再現率じゃないか
コテっと視界が傾いたがRPGが不思議そうに首を捻ったのだろう。ぼんやりとしたこの雰囲気とこの一言からの予想だが召喚されたてだろうか。13番の全身が霧を抜けて右手に迷宮カタログを開いているのが分かった。
Player13 :あぁ分かっている。五月蠅い奴だ。全てお前のお陰、これでいいだろう?
「ん?」
誰かと通信でもしているのか。RPGではない誰かと言葉を交わしている。デュアミ面白いんだけど、マジで物語が断片的なんだが整理しないと訳分からなくなりそうだ。さてっと彼はRPGに視線を合わせるように屈んだ。
Player13 :お前の名前はそうだな……RPGでいいだろう。存在しない13の時を刻む俺はマルチなるタスクの責務を負っている。
日本語合ってるのかそれ?こいつ中二だろ。間違いないこいつは俺と同等の知力を持ちし者っとキリっとする。
RPG :あっ
player13 :まだ同期(Synchronization)が終わっていないか。不安がる必要は無い。ドラムニュート王とも誓いを交わしているし、他の熟練プレイヤーがここに入ってくることもない。俺が作り上げたエレメンタルダンジョンは完璧。お前はここの運営を粛々とこなせばいい。あー後、中にいる鬼人族は好きに使え
確かにこいつのダンジョンは凄かった。俺のボスラッシュ(笑)と比べると天と地。だが13番よ俺は迷宮主としていずれお前を超えて見せるパクってな。また独り言のように13番がぼそりと呟く。
player13 :そうだな。急ぐ必要があるし、もっともっと手法を編む必要がある。このエルダインに俺という|刻印《carved seal》を刻むために
アタタタ、中学時代の古傷が。ミミックだと13番無口なイケメンキャラなのでまさかこんなキャラだとは想像してなかった。
「熟練プレイヤーがこねえつったよな」
これでピタッと真四角+人形遣いとの話とまだ全貌が見えないにせよ食い合ったか。これは後半ストーリーで熟練者達がガンガン出てくる流れだろうか。
そうなるとマップ拡大がありそう。リングベルもこっちで出てくるとしたらかなり熱い。そのタイミングでナーナ動画公開有りか。奈々が応じてくれればだけど。
「あれ?」
まだ見たかったのにパッと元に戻っていた。
RPG :ここまでです。後これもお付けしますがどうでしょう
≪迷宮構造基礎知識と食料を交換しますか?≫
◆───-- - - - - - - – --───◆
≪迷宮構造基礎知識≫
知識が無くても設計図が表示され、真似するだけで貴方もダンジョンマスター
◆───-- - - - - - - – --───◆
RPGちゃんしっかりしてる。まあ食料はアホほどあるので問題なし。
≪クエスト・RPG達との会話 clear≫
≪迷宮構造基礎知識ゲット RPGの信頼度が向上しました≫
もうちょい情報が欲しかった気もするけどそろそろ配信の時間。すぐストーリーにいけるように準備する。ラザニアをチェックしようかと思ったけどマップで見ると何故か捕虜のウィルソンと一緒にいた。
脱獄しとるし様子見るべきなんだろうけど、どういう訳か二人揃って反逆値が従順ラインまで下がってたのでまあ確認せんでいいかと判断。復活し輝くバッツや一匹だけ知力方向に進化してしまったゴブリンフライデー、ウイスピーに乗って空飛ぶプニキなどがあまりにカオス過ぎてどうでもよくなったってのもある。
何か配下が勝手に暴れてるけどついていけん。
パチッと配信を開始。いつメンをチェック。大会前なので高瀬さんはいないが後はほぼフルメンである。
ヤヒヤヒ :フライデーが悲惨な事に
丸助 :いや、むしろ特殊個体だろ。他と違うユニットは絶対役に立つ
自宅警備兵 :おいっす
百獣 :良かった……間に合いました
百獣さんって社会人っぽいけど何してんだろ。自宅警備兵もヤバいけどこの人編集スキル化け物なんよね。
「今日も今日とてデュアルミッシュって言いたいけどちょい裏で重要そうなのやったんで気になる人は動画チェックしてくれ。RPGとの会話ってクエストな。すぐでなくていい人は纏め上げるんでよろ」
もう慣れたもんだと挨拶をこなし、ストーリークエストにチェックを入れる。
≪ストーリー『 殲滅者 』ヤクドとの面会を受注しました≫
赤の貴公子 :これってしっかり調査こなさないと出ないんだぜ?
「そっ、まあオートセーブだし試してないからどうなるかは知らんけど出さずに進むと不利になるってイメージで」
うずまき姫 :面会ってヤクドという御仁と親しかったですの?
「全く、会話すらなし。指定ポイント行ったら出会うんじゃねえかな。時間帯指定まであるし。ほら」
転移し、指示に従い歩いていると向こう側からやってきたヤクド・リッパー。町人に紛れているがやはり色白の優男は異質。ジョブが暗殺者なため、町でやられないよう警戒し距離を空けようと面倒な注文がついて来た。けれどそれよりも注目すべきはフードを目深に被った少女だろうか。
ヤクド :ヤハハ 初めまして 帝国兵 同じ配置ノ者同士 仲良く飯を食うってのはどうだい?
魔王サブサ風呂:……
まだどんなキャラか不明だが、恐らくこいつと一緒とか罰ゲームだろ絶対。ニっと笑ったヤクドは──
ヤクド :あーそれとぉーこの子も一緒ってことでいいだろう?同じ帝国の者同士つもる話もあるだろうから
と女の子の背を押すと少女のローブがパサっと取り払われ黄金の髪と整った顔立ちが露わになった。頭上に表示された第五王女ミルコットという表記。ヤヒヤヒのなあこれもしかしてイチというコメントに思わず頷いてしまった。
「ああ、間違いない。この子オープニングで泣いてたサブサブロの関係者だ」
少しだけ成長して大人になってる?
ミルコット :こんにちは帝国兵さん。私は帝国の第五王女なのですが貴方のことをまるで存じ上げないのです。王女にすら知らせない任務とは一体何なのか私興味があります。あっ別に洩らさなくてもいいですよ。私のジョブは審問官。相手が嘘をついてるかは分かってしまうので。ぜひ、お話ししましょう
青色の光を瞳に纏わせ、ニコッと微笑むミルコット。糞可愛いが糞ヤバい状況ではと俺は口元をひきつらせたのだった。




