236.【俺】ガチで迷宮つくります②
俺はティッシュ一枚をしゅっととって、水を垂らす。
「薄い紙で受け止めることはできないが」
そしてシュッシュッシュっと複数枚とって重ねる。
「重ねることで厚みとなり簡単に突破できない壁となる」
丸助 :滴ってますが
ゆうゆう :どっかで見たな。サブイチの知識全部アニメじゃね
はい君らモザイク。
「スパ迷宮全6層」
自宅警備兵 :少な
ヤヒヤヒ :これはダンジョンではない洞穴だ
俺は編集でコメを消し、ここで壮大な音楽を流すと決意する。
「第一層バワンと大福、第二層バッツとハヤテ、第三層白銀連盟、第四層ゴブリンライダー部隊とケルベック、第五層プニキとトイドラゴン、そして最終層ファザ&チルたどり着いた相手は過労で死ぬ」
百獣 :白銀連盟とケルベックさんのような冒険者の分身体まで作れることに驚きですが正体のバレなどは大丈夫なのですか?
「うん、そんままだとヤバいって警告があったんでこのスキンってシステムを使ってガワを変更する予定だな」
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≪お洒落スキン≫
キャラクターの見た目を変える。ミミックなどの分身体にも適用されるスキンを貼ることができる。一つ500メイズポイント使用
同じ個体であるとNPCが認識した場合、様々な問題が生じます。それを防ぐために気軽に使用しましょう
露見度が表示 露見度50%以上で脅威度が上がる可能性があります
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保持している冒険者軍団もミミックメイカーでコピー体を生み出すことが可能。そしてコピー冒険者に不死者のスキンを被せてゾンビ化。他の魔物もよくRPGなどに登場する水増し色違いを採用だ。
「迷宮主レベル3でもボス部屋のみにすればコスト無しで階層主を2体まで配置できる。そこからメイズポイントを支払えば各階層三体、四体にすることも可能だけど平均化するんじゃなく4層に全つっぱして死層にする」
4層のケルベックとゴブウェイ魔銃使いコンビは凶悪だ。ただ後衛型だからこそ直接攻撃されないように整えてやる必要性がある。そうなると冒険者戦で彼らを翻弄したゴブリンとグレーターウルフの組み合わせは外せない。
木のみん :なぜ4層なの?
「迷宮必殺の項目から見ても、NPCはセーフルームでアイテム使って体勢を整えてくる。多分、ある一定のHPが削れたらそれをやってくるって踏んでる。セーフルームに仕掛けられる迷宮必殺が罠タイプだからあらかじめ行動を読まなきゃいけねえ」
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≪迷宮必殺≫
メイズポイントを使用し、様々な効果を侵入者に与える 設置型は侵入者がいるタイミングでの設置不可
・回復食い
セットした階層での回復量を減らす 一回のみ
・転移封殺
転移効果のある魔道具の設置不可・破壊効果をセーフルームに付与する 一回のみ
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自宅警備兵 :カードゲームみてえだな
丸助 :要は使ってくる場所を制限したいってことか
「まあそんな感じ。ただこれは運だから上手くいけばいいやくらい。外した時少しでも仕掛けられるようにちょっとラグが欲しいから4層。全快してくるだろうけど最終層でアイテム使いきってくれるのがベストだな」
ヤヒヤヒ :やっぱポーターとかいんのかね
「どうだろうな。そういうのいたとして直接狙えりゃいいんだけど」
荷を奪える得能を持つ魔物が揃ってたりすれば道中を長めに作って仕掛けるのもありだったかもしれない。しかし、迷宮もので敵に消耗戦仕掛けるゲームってマジでデュアミくらいなんじゃなかろうか。ほんとリアル寄りのシステムを組んでる。
ココアイ :ねーねー死者に見せかけるって話だけどケルベックのことはダンプストっておじさんにバレるんじゃない?殺したって思われてたよね
ゆうゆう :確かに流石だココアイ
ココアイ :見た目はギャル。頭脳もギャルってね
そう、それはただのギャル。
「そこは工作パート見てからだな。それによって面子を弄るかもだけどこのクラスの敵には多少危険でも出し惜しみしない方がいいって思ってる。この一回で捕まえるつもりだし、無理なら殺すまで行く。それくらいもう脅威度がヤバいからな。攻略組はリスクを冒してでも全力で狩りにいく。メイン迷宮潰れるとマジで終わっからこのゲーム」
自宅警備兵 :サブイチのせいで騙されっけどこのゲームかなりハードコアだよな
丸助 :潰されたら新しく設置できないのか?
「メインはできない。後、取り返さねえと復活させるのも無理になる。それが大量の魔物率いれるダンマスの大きなデメリットだな」
低めなステータスも加えるともしMMOなら誰も選らばない外れキャラ臭がすごい。奈々を見てると魔王が特別難しそうな印象。まあまだあっちは超序盤なので分からんけど。
丸助 :きっついな
小蕎 :しんどいですね
ヤヒヤヒ :でも配信者はそれくらいじゃねえとな
確かに、この短期間で一万突破できたのは高難度な部分がウケてるのもあるはずだ。とはいえ、奈々のプレイとかも需要はありそうだけどアイツは配信しないんだろうか。
「せっかく募集したのにあんま反映させれなかったのは申しわけねえ。ただここ突破さえすれば必ず使う……。ん?何か進んだな」
≪スパ迷宮完成≫
≪サブサブロの演説のため皆を集めます≫
シャンと効果音が響いてあちこちで法螺貝が鳴らされた。多分、俺が職人レベルのために生産した奴が勝手に使われている。いいけど時々どうなってんのと怖くもなるデュアルミッシュである。
百獣 :これは……
ヤヒヤヒ :イチ、これ流すべきだったろ
「だな。やったかもな」
モブ聖人:感無量
小蕎 :ずっと見てきたからこそ感動しますね
わりと適当に集めたはずなのに有象無象の魔物達がズラリと並んでいる姿は壮観だ。全てではないが綺麗に整列しているせいもあるだろう。改めてどれだけ厳しい状態になってもこの場所を譲りたくないという感情が湧いてくる。変だなゲームなのに。
ムービー、中央の高台に向かうサブサブロにここは譲らんとバワンと大福がすり寄る。うん……何か急にヘンテコ感が。頼むから上にだけは乗ってくれるなよ。
≪スパーダ大集会≫
≪ゴブウェイ就寝中のため欠席≫
何でも様になってしまう魔王サブサブロが皆を見下ろした。そして──
魔王サブサ風呂:察シテイル者モ多イヨウダガ 我ノ口カラ告ゲヨウ 人間ガ コノ迷宮都市ヲ目指シ 意志ヲモッテ ヤッテクル
その一言で普段おちゃらけた空気のある迷宮都市スパーダがピリッとひりついたのだ。




