24.【俺】このゲームのジャンルに気づく
魔王である俺は魔物を狩っても微々たる経験値しか貰えない。よって俺にとっての当面の敵。それは冒険者ということになるだろう。
≪初級鑑定を覚えました≫
ゴブリンの依頼をこなした後、俺はギルドへと帰還して結果待ちをしていた。結局一匹も倒さなかったが使役したせいかレベルが6に上がった。そこで得たスキルポイントを使って、俺は初級鑑定をゲットする。
正直、これはもっと早く取得すべきだったと後悔する。
「こいつら強え……」
周囲にいる冒険者の力を知って俺は愕然とする。隣で依頼料が少なく受付嬢にごねている者まで俺の想像よりも遥かに強い。
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ヒューイット(21歳男) LV14 種族人族 ソロ ジョブ戦士
HP180 MP90 ATK90 DFS30
ブロードソード+2 蜥蜴小竜の軽鎧
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周囲の面々もレベル一桁はほとんどおらず10台を維持し、中には20台もちらほら見かける。何より奥の酒場で飲んでる連中がヤバい。
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【PT不落】RANK C
ゴード (31歳男) LV27 種族人族 重戦士
ニアム (24歳女) LV21 種族人族 治療師
パティー (24歳女) LV20 種族エルフ 弓士
ポーネソン (126歳男) LV22 種族半竜人 剣士
サイン (18歳男) LV26 種族ヒューム 魔剣士
【PT白銀連盟】RANK C
イミール (25歳女) LV22 種族人族 双剣士
レナ (21歳女) LV21 種族エルフ 治療師
パイネ (19歳女) LV20 種族ドワーフ 重騎士
ライザ (17歳女) LV16 種族人族 魔法使い
エリー (16歳女) LV16 種族エルフ 魔法使い
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ランクCの二グループ。『不落』はPTでリーダーであろう強面巨漢の男ゴートが強烈な存在感を放ち、それに連れ添う者達が彼に信頼を向けている。PT全体として見てもMMOにいそうな見た目でバランスも考えられている。
5人が基本ってことか?まあ、ゲームなので適当かもしれないけども……。
続いて『白銀連盟』。魔法使いのライザとエリーの二人が学生のような衣服を着ており、それを人族、エルフ、ドワーフと種族が見事にばらけた女性冒険者が囲っているという印象。先生と生徒というよりは貴族とその護衛といった感じ。初級鑑定で見られるだけでも結構な魔法を有していて強いと分かる。
ただ前のグループよりはレベルもやや低いし構成的に脆そうか。
これがCランク冒険者。そして更なる問題が俺に声を掛ける。
受付嬢シアラ :やっぱりお強かったのですね、サブサブロ様は。F級
ソロでここまでゴブリンを倒された方は初めて見ます
猫耳受付嬢シアラ。レベルは10で、ステータスはそれほど高くはない。問題は彼女のスキル欄にある簡易鑑定スキルである。ちなみに全受付嬢がこの力を持っていたのでギルド側でそういう取り組みがあるという演出なのだろう。
「やべえなこりゃ」
頭では理解してるつもりだった。ただ想像以上に敵中である。こんなの獅子の中に放り込まれた魔王という名のウサギである。サブサブロLv.6だぞ。鑑定スキルを持つ存在は要注意……というより対策を練らないといけないだろう。
簡易鑑定がどれほどのものか調べなければならないし、ステータスを隠蔽しなければならない。
そしてこのゲーム性と俺は口角を上げた。
「アドベンチャーRPGってやつだなこのゲーム」
アドベンチャーRPG。情報を手に入れて行動しなければ忽ち劣勢に追い込まれるゲーム性。今、ソロ用VRゲームの方で人気を博している一大ジャンルである。
人気になったというかVRゲーが出てから登場したジャンルだと思っていたがまさかオフゲーにもあったとは驚きである。
受付嬢シアラ:おめでとうございますサブサブロ様。これまでの依頼達成とゴブリン10体を倒したことでEランクに上がりました
依頼達成とゴブリン10体を倒したことでEランクに
上がりました
≪Eランク冒険証を獲得しました≫
考えなくてはならない。この冒険者達と闘って俺が生き残り、配下達の命を守る方法を。
「うし、滾ってきた」
俺はゲーマー。難易度は高い方がより燃える。